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短いお話など。書いています。
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#土曜日の猫通信

温泉と言えば

温泉と言えば

あまり投稿が目立たない時間帯に書いてみる。

僕の中での温泉といえば、河津の今井浜。

東伊豆のね。

ちょっと前までは、写真を見返すのも結構きつかったけど、ようやく「良いところだったなぁ」って思えるようになってきた。

東伊豆の海岸だから朝日が部屋からすごくキレイに見える。

ここに来ると、その辺のオッチャンもどこか芸術的で映画のようだ。肖像権、大丈夫かな?(笑)

朝日を浴びるサーファー。この

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歌を書く意味

歌を書く意味

僕の音楽友達の littlebird 君とやり取りしたツイートの抜粋。

これこそが歌を書く意味。

自分にしか書けない歌。ただカッコイイとかそういうのではなく、自分の分身としての歌。

名もないミュージシャンだけど、自分を偽りなく表現した歌がそんな風に誰かの心にずっと残ることがあればこんな幸せなことはない。

僕たちの真実

僕たちの真実

君の古い記憶が、真実かどうかは、僕には分からない。

街外れにある図書館に行って、司書のねずみに訊いてみるといいかもしれない。その図書館には世界中の記憶が全部載っている古い本があるそうだから。

その本から、君の古い記憶を小さな小瓶に写し取ったら、川沿いに歩いてゆこう。そして、川が海につながるところまで来たら、小瓶を開けて流すんだよ。

君の古い記憶は、さら、さら、と静かに海に消えていく。

君の

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4月の終わりのメロンソーダ    【ひと色展/エメラルドグリーンノーバ】

4月の終わりのメロンソーダ 【ひと色展/エメラルドグリーンノーバ】

「あのね」

と彼女は、メロンソーダの氷の上に浮かんでいるチェリーを眺めて言った。

「私、こういう時間って、なぜか後からよく思い出すのよ。」

4月の終わり。
僕らは休暇で古くからある保養地にいた。
遅い朝ごはんの後、海沿いを散歩して浜辺を見下ろすレトロな喫茶店に入って、窓際でボンヤリと海を眺めていた。

「あ、なんとなくわかりますね。そういうの。」

と僕が言うと、彼女は「またテキトーに答えた

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冬の夜の夢

冬の夜の夢

その日、僕は深夜の高速道路を走っていた。

少し疲れたので、途中のサービスエリアに寄ってコーヒーでも飲むことにした。こじんまりとしたそのサービスエリアは、夜中ということもあってひっそりしていた。
カップベンダーコーナーの窓だけが不釣合いなくらい明るく手前の舗道を照らしていた。

僕はコーヒーを選び、後ろのポケットに突っ込んだままにしていたコインを引っ張り出して、ベンダーに入れようとした。

そのと

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新月前夜、窓、そして君の事。

新月前夜、窓、そして君の事。

文・イラスト: セキヒロタカ

(マガジンで連載していた小説を通して読めるようにしてほしい、というご要望頂いてまとめたものです。番外編についてはマガジンでお読みください。)

第1話: 「窓」

あれは何年前の冬だったかな。 骨のように白く細くなった月が新月になる前の晩だった。僕が「そのこと」に気づいたのは。

その日はとても晴れていて、放射冷却で外は冷え込んでいたのだけど、ブラインドの隙間から見

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15年という長さ

15年という長さ

僕がこのギターに挟んでいる絵を描いたのは、2006年の今日、つまり、ジョンの命日だった。

うろ覚えで、「確かこんなジョンの顔の絵、あったよなぁ」と記憶の中の絵を真似して描いた。

いつのことだったかな、と、僕は記憶をたどった。

そんなに前のことだと思わず、僕は、SNS やもうずいぶん前に更新が止まっているブログを 1 年ごと、12 月の日記を見返した。

去年の12月は、写真をやり始めた頃から

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終わり、について

終わり、について

宣言明けの昨日は、本当に久しぶりのマーシーオーガモンで浅井さんの追悼。浅井さんが好きだった「春夏秋冬」をみんなで歌った。

今の音楽活動を始めた頃から本当に良くしてもらってた浅井さんはもういないんだよな。
僕の書いた歌「終バスにて」のモデルのラーメン屋さんはドラッグストアになってた。
Calm South も今年いっぱいで当面ライブは休止になる。

ずっと続くことなんてありはしない。
いつか終わり

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そう言う日もあるよね、って歌です

そう言う日もあるよね、って歌です

今日もヤなことばかりがありまして
          /詞・曲: 土曜日の猫通信(セキヒロタカ)

今日もヤなことばかりがありまして
クタクタになって部屋に帰り、ひとり
コンビニで買ったイチ押しのタンタンメン
袋を上手く切れなくて
スープをテーブルにぶちまけた

あー、どうしてこんなときもおなかがすくのかな
あー、どうして僕は生きてるのかな
あー、あしたもご飯が食べられるかな
日曜日には君に会える

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内省的自我についての考察

内省的自我についての考察

家に帰ったら、彼女が内省的自我になっていた。

内省的になっていたのではない。
「内省的自我」そのものになっていたのだ。

抽象概念を彼女にした経験がなかった僕は、最初は戸惑ったが、3日もしないうちに慣れてしまった。

朝起きると、内省的自我的寝ぐせを直しながら、内省的自我的にコーヒーミルでコーヒーを挽き、内省的自我的にお湯を沸かし、内省的自我的なベーコンエッグを作る。

「抽象概念なのに、おなか

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上昇気流

上昇気流

入梅 (つゆいり) 前のからっと晴れた日に T シャツを干すことくらい気持ちの良いことって他にあるかな?

  ・・・

入梅前の晴れた金曜日、僕は君が会社に行くのを見送ってから、部屋の窓とカーテンを全開にして、洗濯機に洗濯物を放り込んだ。
ポットでお湯を沸かしながら、仕事の準備をする。
公園の上を通り抜けた風が勢いよく部屋の中に入ってきた。

  ・・・

洗濯物を干し終わってから、僕は落とした

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生き続けることに疑問を持つ君に

生き続けることに疑問を持つ君に

以前、子供のいる知り合いから電話があって、

と訊かれたので、答えた。

  ・・・

実は、生きる必要なんていうものは、存在しない。

冷静に考えたら、生きて行くのは生きるのをやめるより辛いことだ。人生、良いこと 1 つに対して、悪いことはその10倍くらいはあるからね。

じゃあ、なぜみんな死なない?

それは種の保存のために、無条件に「死とは恐ろしいものだ」という感情が本能にプログラミングされ

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ドーナッツ

ドーナッツ

ドーナツ、好きなんですよね。やっぱりコーヒーにはドーナツ。
曲を書いちゃうくらい好き。
正確にいうと、ドーナツ屋さんがスキ。
この歌のタイトルは「ドーナッツ」だけど。

「ドーナッツ」/ 詞・曲:セキヒロタカ

そうだ、一緒にドーナッツ屋さんに行こうよ。
コーヒーを飲んで、ふたりでドーナッツを食べよう。
君はピーナッツクランチ、僕はシナモン。
通り沿いの窓辺のテーブルで。
 
一口かじったドーナッ

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