SatoshiIwasa

岩佐聡。現代詩人会HP投稿欄新人賞。季刊「Recipe」。詩誌「凪」参加。日本現代詩人…

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岩佐聡。現代詩人会HP投稿欄新人賞。季刊「Recipe」。詩誌「凪」参加。日本現代詩人会員。詩集準備中。詩の下書き用。マガジンにて過去作を掲載しております。Twitter:@iwasasatoshi 1984iwasasatoshi0428@gmail.com

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記事一覧

〜7/22

時計のまわりに散らばる点描は、微かに時間を含み、小さな表現を配っている。それらは日記の脱字のように、わたしのなかだけで零れるだろう。6で割りきれる数の幻想。春先…

SatoshiIwasa
1日前
9

~7/4

影は、暦を、伸ばそうとした。一日は、身体を創り、でき上がる前に、亡くなる。亡くなった影は、沼として静かに広がりその水は、たえずお互いを産み続けている。だから必ず…

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2週間前
4

~6/28

運ばれた不在が、次の部屋へ移った音がした。秋野菜の種が、種苗屋から郵送された。厚さの無い便箋ふうに折りたたまれて、偶然がほんの少し重なっている。種が常に、自分か…

SatoshiIwasa
2週間前
1

~6/18

皮膚から樹木が芽生える。皮膚の下では盲目を飼っていて、偏頭痛のなかの木々が、間隔を置いて数本のこる。かつて無人駅の、駅舎の撤去工事を、ながめたことがある。立ち上…

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2週間前
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zanngai

*はじめる読書。 、神さまに捧げなくてはならない。空気にのった自分の欠片から、悪意が次々と生まれ、やがて名前のない祖母がつくられる。子どもを愛せない親ではないは…

SatoshiIwasa
4週間前
2

〜六月十一日

水底の泥に、思春期がかくれていて、隠し子にもならない生命の狭間が、貧血に戸惑いながら例えば妹が、祖父を産んだりしている。水流には、心がいくつもあって他人の、指先…

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1か月前
1

6月2日まとめて

肋のない空虚が、不安のバランスで支えてくれる。老婆のような霧に、体温をめぐらす死。日記を書き忘れてしまった日の焦燥で、産まれた魚が、空気を泳ぐ。釣り上あげた口で…

SatoshiIwasa
1か月前
4

主に水について

微熱がひいていく。その瞬間だけ別の惑星を、近くに感じられる。昨日より身体の使い方が、上手になっていった幼い頃。ほつれたボタンを、しつらえようとするもどかしい猫背…

SatoshiIwasa
1か月前
3

~5/15

新雪は、人を耳で、睨む。冬を知る人が根菜を、片手に持つ。いづれ風雨が、しずかに煮込まれるだろう。木漏れ日から、生まれる光の幾何学を、いつか屋根裏部屋に、もたらし…

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2か月前
3

~5/6

辞書の、文字から雨音がする。午後の、言葉たちは、濡れた欠片だった。牛の、破れ目から、植物の一節が、芽をだそうとするとき、影踏みで遊んだときのようにとても感覚的な…

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2か月前
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〜4月24日

河口のように睡眠して、鼾は緩やかな抑揚を描いたが、寝言は立体だった。人でありたいならば、馬に内臓を蹴られる必要がある。死に、直結した意思が、言語の直訳しかゆるさ…

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2か月前
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墓(朗読)

00:00 | 00:00

凪、朗読会のためのもの 会の運営、お世話様です。 録音にて、失礼いたします。 第5号、16ページ、です

SatoshiIwasa
3か月前
9

~4/10

人でありたいならば、馬に内臓を蹴られる必要がある。 生き残った最後のネアンデルタール人は、自慰も忘れて、刃物を研いだ 絶滅危惧種が、水辺で、虚空にとけようとする。…

SatoshiIwasa
3か月前
4

~4/3

見ず知らずの霊性を、乱視に、取り込み、少しずつ、純血を、こぼす。頭文字のような母親が、声をあげた。子どもの、便の軟らかさが、元にもどった。薬箱は、まだ夜の味方で…

SatoshiIwasa
3か月前
2

~3/26

日記を開いてうつ伏せにする 夏が猛暑だったからといって 暖冬とは限らない 過去を含んだままの肺が 未来の空気を吐き出す 大きい息の塊をもった 誤差のような人が 早めの…

SatoshiIwasa
3か月前
1

生活のアスタリスク

詩集 掲載 予定 です 以前、ココア共和国と、日本現代詩人会投稿欄に、投稿した作品を、詩集に載せる為に、仕立てたものです。約4000字くらいありましたか。すいません…

SatoshiIwasa
3か月前
7

〜7/22

時計のまわりに散らばる点描は、微かに時間を含み、小さな表現を配っている。それらは日記の脱字のように、わたしのなかだけで零れるだろう。6で割りきれる数の幻想。春先の、かなしみをいつ秒針は弾いたか。他人と、交わらない透明水彩を、うすく重ね着し続け、孤独があたためられて、孵化していく。

繰り下がりの引き算。下の位に、十を貸してから、吐き出される酸素が濃い。一つ一つの夜を、小さく閉じ込めながら零れないよ

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~7/4

影は、暦を、伸ばそうとした。一日は、身体を創り、でき上がる前に、亡くなる。亡くなった影は、沼として静かに広がりその水は、たえずお互いを産み続けている。だから必ず偶数の、言い訳が作られて、一つは沼の静寂に、丁寧に折りたたまれ、一つは放埒に、植物のことばで、おこなわれる虐殺を待つ。

垂直な、T字路の現実から、少しはなれて不意という、自然に人にそなわった不安定と、遭遇したときのことだった。名前など無い

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~6/28

運ばれた不在が、次の部屋へ移った音がした。秋野菜の種が、種苗屋から郵送された。厚さの無い便箋ふうに折りたたまれて、偶然がほんの少し重なっている。種が常に、自分から霊性を一筋、はみ出さずにはいれないことを配達員は、気づいていただろうか。封を開けて、含まれていた他人を、抜いていく。

馬に水をのませる、という他人の生活が突然、自分の日常に、潜んでいたことがあった。暮らしの行間に、馬の咽があふれた。昨日

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~6/18

皮膚から樹木が芽生える。皮膚の下では盲目を飼っていて、偏頭痛のなかの木々が、間隔を置いて数本のこる。かつて無人駅の、駅舎の撤去工事を、ながめたことがある。立ち上った、砂煙が皮膚にまだ、染み付いていて、駅の輪郭を、肌が憶えている気がした。以前感心した詩の一片が、今はそうでもない。
古代が、吹いていて、旧姓が、雨よりも濡れている。 果糖のような夜を、迎えた。

こんな時期に野焼きでしょうか、と山の煙に

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zanngai

*はじめる読書。
、神さまに捧げなくてはならない。空気にのった自分の欠片から、悪意が次々と生まれ、やがて名前のない祖母がつくられる。子どもを愛せない親ではないはずだった。一抹の不安となる。そこからやがて、新種の蛾がうまれるだろう。

とその中の擬人化が、風の前をプッと吹き出す。

唯一の人の所有が、時間を目深にかぶった帽子のなかに薄められる。

屁はどこまで、人の身体であるのか。

百足に拾われる

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〜六月十一日

水底の泥に、思春期がかくれていて、隠し子にもならない生命の狭間が、貧血に戸惑いながら例えば妹が、祖父を産んだりしている。水流には、心がいくつもあって他人の、指先の切り傷を、望み、そこから繋がる肺の虚空に、風の到達点が運ばれると、会話のいらない配偶者が、夏野菜を先に食べている。

夕暮れには方言が、番茶のなかに深く沈み、孤独の成分が、水面の味を薄くしている。父親と、月経の距離。生命にならない半液体が

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6月2日まとめて

肋のない空虚が、不安のバランスで支えてくれる。老婆のような霧に、体温をめぐらす死。日記を書き忘れてしまった日の焦燥で、産まれた魚が、空気を泳ぐ。釣り上あげた口で、この世がいっぱいだったとき、口のなかは、やさしい孤独で溢れていたが、死は美味で未来に向かい、新鮮であり続けた。

孤独は、

だった。
離島は
墓は、秋の夕方の同じ風。 風は、自分の髪の毛から、
信仰は、

静かな無意識が伺いをたてている

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主に水について

微熱がひいていく。その瞬間だけ別の惑星を、近くに感じられる。昨日より身体の使い方が、上手になっていった幼い頃。ほつれたボタンを、しつらえようとするもどかしい猫背から縫い糸が、やわらかい角度で身体の外へ、はみ出ていく孤独を眺めた。雨上がりよりも遠くて自分の声が、異なって聞こえる。


今も水は、水を深く泳いでいる。そして水は目の、裏側で水であることを、疑い続ける。水の不安が、流れ着くところで魚が産

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~5/15

新雪は、人を耳で、睨む。冬を知る人が根菜を、片手に持つ。いづれ風雨が、しずかに煮込まれるだろう。木漏れ日から、生まれる光の幾何学を、いつか屋根裏部屋に、もたらしたのは誰か。雨漏りの比喩がしたたり、一文の述語が、さだまらない会話文。海月水族館を、しずかに聴いていたことがある。恣意が、指のかたちで、水槽に、触れ る。水母に、耳を澄ます。わずかな静電気から、心のにおいが漂ってくる。暗緑色の光の、屈折のな

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~5/6

辞書の、文字から雨音がする。午後の、言葉たちは、濡れた欠片だった。牛の、破れ目から、植物の一節が、芽をだそうとするとき、影踏みで遊んだときのようにとても感覚的な少女が、自分の名前を、逆さまに唱え続ける。静脈の色を、幾筋もためこんで、漁のための歌の、嚥下を繰り返し、駆けている。

アトピーは、宙に浮くもの。午睡の、私はわたしと手を繋いだ。はじめに、手を繋ごうとした私はすでに、余白になっている。肌は静

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〜4月24日

河口のように睡眠して、鼾は緩やかな抑揚を描いたが、寝言は立体だった。人でありたいならば、馬に内臓を蹴られる必要がある。死に、直結した意思が、言語の直訳しかゆるさない。隠語のような微笑みで、夜を膨らませたい。闇には結構、薄荷が混じっているから、拒食症の気配を、少量ずつ食う。

風が、不意に鹿だった。どの消去法で、現れたかわからない。目に少し、青空を溶かして、次は誰が、殺されるのを望むのか。静脈の続き

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墓(朗読)

岩佐聡

00:00 | 00:00

凪、朗読会のためのもの
会の運営、お世話様です。
録音にて、失礼いたします。
第5号、16ページ、です

~4/10

人でありたいならば、馬に内臓を蹴られる必要がある。
生き残った最後のネアンデルタール人は、自慰も忘れて、刃物を研いだ
絶滅危惧種が、水辺で、虚空にとけようとする。次の語源を、待っている。
最後に、役割を考え、罪悪感を、排泄することで、妥協した。
白亜紀からつづく山土に、いくつもの受精があった。遠くの人間の、静脈が、ほぐれているのか。
林床の、ネアンデルタール人は、消滅した。陽光にあたり遺伝子が、ひ

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~4/3

見ず知らずの霊性を、乱視に、取り込み、少しずつ、純血を、こぼす。頭文字のような母親が、声をあげた。子どもの、便の軟らかさが、元にもどった。薬箱は、まだ夜の味方で、黙秘権を、使い続けている。指先に刺さった棘を、抜いてくれた人を、時折、思い出し、身体のどこかで不安を飼い続けるだろう。

舌ったらずの歩行で、神さまがサ行を運んでいく。遠くの森林が夜を、吐き出すのを、諦めきれない雨の朝。発音記号に、石鹸を

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~3/26

日記を開いてうつ伏せにする 夏が猛暑だったからといって 暖冬とは限らない 過去を含んだままの肺が 未来の空気を吐き出す 大きい息の塊をもった 誤差のような人が 早めの時間を連れていると 言葉に引き止められるが どこまでも書きかけの手記で 先送りがまだ到着しないから 寓話をあてにして続ける

空耳は、別の空耳を探す。空耳の快活さで、神経は身体の外にはみ出すことがある。空耳は、齧歯目のみる夢に繋がる。

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生活のアスタリスク

詩集 掲載 予定 です

以前、ココア共和国と、日本現代詩人会投稿欄に、投稿した作品を、詩集に載せる為に、仕立てたものです。約4000字くらいありましたか。すいません、、
組版? などを現在、やっておる。出版、は、七月堂さまに、おねがいしています。
今年中に間に合えばよいが、、、読んでいただいた方、ありがとうございます。。