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見ず知らずの霊性を、乱視に、取り込み、少しずつ、純血を、こぼす。頭文字のような母親が、声をあげた。子どもの、便の軟らかさが、元にもどった。薬箱は、まだ夜の味方で、黙秘権を、使い続けている。指先に刺さった棘を、抜いてくれた人を、時折、思い出し、身体のどこかで不安を飼い続けるだろう。

舌ったらずの歩行で、神さまがサ行を運んでいく。遠くの森林が夜を、吐き出すのを、諦めきれない雨の朝。発音記号に、石鹸をつけて、揉むように洗う。神経かけらが、散らばって、排水口に、痛み、が残されているから、言葉の始まりかもしれない。付け合わせの、野菜を残す日々が、訪れるだろう。

アトピーは、季節への巡礼を経て、夕暮れには皮膚に、無数の窒息が、しなやかに到着する。いくつもの霊性を、通り越して、後悔の痕が、白鷺の姿にちかい。明確な、感情だから、片仮名で書く子音。頓服を飲むと、不安の場所が、小さくずれてくれた。明日は素数の日。皮膚にはまた、暴動がおこるだろう。

私たち、揃って、梨の樹。果実の不揃いさと、細い幹に似つかわしくない質量と。秋の、不安定を、通り越せない。稜線は、水平線をみて、性の奔放に、嫉妬する。裏返しの、軽蔑を手に入れてから、果物が、甘くなる。果樹園は、正直屋の泥棒を、呼び込み、野焼きの煙は、犯罪を愛するきっかけになる。

間違えないように、骨を食うこと。まだ未来を、吐き出していたのか、と驚く。だれの所有からも、逃れた忘れ物だから、ただ性でしかない。光のように、呼吸しはじめ、温暖化が骨を、律儀に、存在させると、固まりに近い、異性の吐息に似て、忘れんぼうの記憶からも、艶かしく、独立する。

畦で、お互いの、膀胱について、喋った。朝の水田は、不安が、かたまらないように、軟い悪意を、産んでいる。とても幼い頃、神は、ただ折り紙だった。所有格を、探している水たまりを、避けようとするほど、近づいてしまう。散文詩の文脈に、縛られて、利尿作用を、手のひらに、見失った。

中空と、虚空のさかいに 人々ような人が、たたずみ、いずれ 無人駅になる、と言った 漂泊しながら、移動する声 点検のための、人差し指がまだ生えず 近眼が、空気のまえの、風を吸う 蹄の、音がまだ白く積もりながら 駅員の痰には、微かな色がつく 完成した声で、案内が始まると やけに耳垢が、軽い

とても白く薄く、眼鏡を置き忘れる 借り物の所有を、不在にあげるために 言葉で、他人を傷つけたこと その記憶が、たしかな皮膚になる 手提げを、仮に置くところ 手のひらの重力が、薄く積もる 折りたたみ机の、意味は 所有を、白く剥がし、おはなしの 一部を、放棄するということ そこに眼鏡は、
網膜から、産まれ続ける他人が、地平線を、食いながら、遠くで増える。

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