SatoshiIwasa

岩佐聡。現代詩人会HP投稿欄新人賞。季刊「Recipe」。詩誌「凪」参加。日本現代詩人…

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岩佐聡。現代詩人会HP投稿欄新人賞。季刊「Recipe」。詩誌「凪」参加。日本現代詩人会員。詩集準備中。詩の下書き用。マガジンにて過去作を掲載しております。Twitter:@iwasasatoshi 1984iwasasatoshi0428@gmail.com

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最近の記事

鳥について

鳥は、人の色盲を食う。 あるとき湖は、鳥の看守で、一羽は死に続けながら、なにかの語源になりそうな脚を、水中に差し入れる。湖岸を引き入れるために、波うち際の砂利を、少しずつ巣に持ちこむ。その軽やかなタブーを、鳥は鼓動で犯す。誰からもかけ離れた心で、地球へ近づいたり遠ざかったりする。 日めくりカレンダーを、一枚捲ったら、雀がこぼれ落ちて笑った。 雀は、虚空の先を見つめて、時間を追うから、誰もが滅亡している未来を、生きている。 雀、と、木々、と、虚空、の関係について書くことm

    • 凪 第六号 行乞記 朗読

      凪、朗読会用です 第六号 16P 17P 鈴木奥さま作品 行乞記 よろしくお願いいたします🙇

      • 凪 朗読会用 P18 アトピー

        いつもお世話になっております。 よろしくお願いいたします。

        • 金魚注意報? 鯨、刺繍、について 〜8/29

          詩を書くこと。金魚の 金魚は精神の方へ 鯨が、水の 背中がしまわれていく 金魚は、他の金魚の色を、 気が遠くなるほどの手仕事が 過去からつづくこの風にも晒されている 例えば刺繍に施される祈りは薄れるけれど 想いは濃く積み重なる その一筋の個性を怖れたい 誰もが物語になりたかったとしても 鼓動のような無意識でしか たしかにそこにいた自分を置くことが ゆるされなかった人々がいたこと 金魚の死骸から、 憎まれている、という沈黙から少しずれて、夜をやさしい嫉妬に染めてい

        鳥について

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        • 詩作、過去作品 公開保存用
          31本

        記事

          鯨、水、雨滴、金魚について  〜8/20

          日めくりカレンダーが捲られるごとに、雀が零れでると甥は、雀を虐待しようとする健全な青春をたどった。大地が、雀の遺骨でできている事実を、昨日の夕暮れを、取り残しながら、他人を吸い込んだ肺で、理解する。 切り傷の、痛みより先を生きてはいけなかった。痛み以前のモトを、見つけた時の声は、生活を掻き分ける独立した言葉だった。日常とは混ざり合わないはずの、特別な音を見失うことになると、

          鯨、水、雨滴、金魚について  〜8/20

          〜8/7

          後悔は、白鷺の姿で寄り添う。鷺の脚は、川原で読書できる水温を、探しながら時間のように静物と反射の間に立ち、肺呼吸からはじまる古典をなぞろうとする。明日には今よりも軽い吐息の、雨月物語が朗読されるだろう。夏風邪の、嘔吐の感覚を通り越したさきに、いくつもの古典を読み終えることになる。 母の目眩を、借りにいく。夏野菜が、一言多い。冗談みたいに転がっている豊かな足で、足りるだろうか。畦を、拙さを殺して歩きながら、かな遣いで滴る朝露の、語感をただ口中に咥えて、意味以前の、文字列を吐露

          〜7/28

          男の人の、架空の子宮のなかには、想像の離島が、身ごもられていて、離島の雨季の水たまりは、地球からかけ離れている。鳥の鳴き声には、去年の樹木が残されつづけて、葉の揺らめきの、連続する過去と未来が、交互に織り成される振幅の微かさにも、いくつもの霊性が、群れているわかる。 日記にやどる、現実から少しずれた過去が、わずかな静電気を、発生させる。その脈絡にたっている街路樹の、心のにおいが、漂ってきそうだった。時間が流れる、ということは幼い頃の突き指の、荒く施された治療だ。今日も一瞬、

          〜7/22

          時計のまわりに散らばる点描は、微かに時間を含み、小さな表現を配っている。それらは日記の脱字のように、わたしのなかだけで零れるだろう。6で割りきれる数の幻想。春先の、かなしみをいつ秒針は弾いたか。他人と、交わらない透明水彩を、うすく重ね着し続け、孤独があたためられて、孵化していく。 繰り下がりの引き算。下の位に、十を貸してから、吐き出される酸素が濃い。一つ一つの夜を、小さく閉じ込めながら零れないように、指の数におさまる列。マス目の細かいノートに変わる季節に、乱筆を覚えた。整数

          ~7/4

          影は、暦を、伸ばそうとした。一日は、身体を創り、でき上がる前に、亡くなる。亡くなった影は、沼として静かに広がりその水は、たえずお互いを産み続けている。だから必ず偶数の、言い訳が作られて、一つは沼の静寂に、丁寧に折りたたまれ、一つは放埒に、植物のことばで、おこなわれる虐殺を待つ。 垂直な、T字路の現実から、少しはなれて不意という、自然に人にそなわった不安定と、遭遇したときのことだった。名前など無い、そのものの説明さえ諦めているが、おぼろげな印象がたしかで、忘れることができずに

          ~6/28

          運ばれた不在が、次の部屋へ移った音がした。秋野菜の種が、種苗屋から郵送された。厚さの無い便箋ふうに折りたたまれて、偶然がほんの少し重なっている。種が常に、自分から霊性を一筋、はみ出さずにはいれないことを配達員は、気づいていただろうか。封を開けて、含まれていた他人を、抜いていく。 馬に水をのませる、という他人の生活が突然、自分の日常に、潜んでいたことがあった。暮らしの行間に、馬の咽があふれた。昨日の、馬の嚥下を明日、小さく排泄できた。馬が完全に、自分からはみ出した後も、馬の吐

          ~6/18

          皮膚から樹木が芽生える。皮膚の下では盲目を飼っていて、偏頭痛のなかの木々が、間隔を置いて数本のこる。かつて無人駅の、駅舎の撤去工事を、ながめたことがある。立ち上った、砂煙が皮膚にまだ、染み付いていて、駅の輪郭を、肌が憶えている気がした。以前感心した詩の一片が、今はそうでもない。 古代が、吹いていて、旧姓が、雨よりも濡れている。 果糖のような夜を、迎えた。 こんな時期に野焼きでしょうか、と山の煙に不安を向けている女の人かもしれない。年金が、入ってこないことを、曽祖母のせいにし

          zanngai

          *はじめる読書。 、神さまに捧げなくてはならない。空気にのった自分の欠片から、悪意が次々と生まれ、やがて名前のない祖母がつくられる。子どもを愛せない親ではないはずだった。一抹の不安となる。そこからやがて、新種の蛾がうまれるだろう。 とその中の擬人化が、風の前をプッと吹き出す。 唯一の人の所有が、時間を目深にかぶった帽子のなかに薄められる。 屁はどこまで、人の身体であるのか。 百足に拾われる。 もし、大人のりんご病に罹ったら、と仮定して、 アトピー 置いていけなくて

          〜六月十一日

          水底の泥に、思春期がかくれていて、隠し子にもならない生命の狭間が、貧血に戸惑いながら例えば妹が、祖父を産んだりしている。水流には、心がいくつもあって他人の、指先の切り傷を、望み、そこから繋がる肺の虚空に、風の到達点が運ばれると、会話のいらない配偶者が、夏野菜を先に食べている。 夕暮れには方言が、番茶のなかに深く沈み、孤独の成分が、水面の味を薄くしている。父親と、月経の距離。生命にならない半液体がつくり出す地面に、腹を上にして臓器で、脈動を聴く父親は、進んで埋もれるようになる

          〜六月十一日

          6月2日まとめて

          肋のない空虚が、不安のバランスで支えてくれる。老婆のような霧に、体温をめぐらす死。日記を書き忘れてしまった日の焦燥で、産まれた魚が、空気を泳ぐ。釣り上あげた口で、この世がいっぱいだったとき、口のなかは、やさしい孤独で溢れていたが、死は美味で未来に向かい、新鮮であり続けた。 孤独は、 だった。 離島は 墓は、秋の夕方の同じ風。 風は、自分の髪の毛から、 信仰は、 静かな無意識が伺いをたてているのは従姉。 植物は惑星からの続きなのだろうか 温和な戦争に挑もうとして、 維

          6月2日まとめて

          主に水について

          微熱がひいていく。その瞬間だけ別の惑星を、近くに感じられる。昨日より身体の使い方が、上手になっていった幼い頃。ほつれたボタンを、しつらえようとするもどかしい猫背から縫い糸が、やわらかい角度で身体の外へ、はみ出ていく孤独を眺めた。雨上がりよりも遠くて自分の声が、異なって聞こえる。

          主に水について

          ~5/15

          新雪は、人を耳で、睨む。冬を知る人が根菜を、片手に持つ。いづれ風雨が、しずかに煮込まれるだろう。木漏れ日から、生まれる光の幾何学を、いつか屋根裏部屋に、もたらしたのは誰か。雨漏りの比喩がしたたり、一文の述語が、さだまらない会話文。海月水族館を、しずかに聴いていたことがある。恣意が、指のかたちで、水槽に、触れ る。水母に、耳を澄ます。わずかな静電気から、心のにおいが漂ってくる。暗緑色の光の、屈折のなかでしか揺蕩えない。本当は、どこにいるのかわからない小さな表現。移動水族館が、街