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影は、暦を、伸ばそうとした。一日は、身体を創り、でき上がる前に、亡くなる。亡くなった影は、沼として静かに広がりその水は、たえずお互いを産み続けている。だから必ず偶数の、言い訳が作られて、一つは沼の静寂に、丁寧に折りたたまれ、一つは放埒に、植物のことばで、おこなわれる虐殺を待つ。

垂直な、T字路の現実から、少しはなれて不意という、自然に人にそなわった不安定と、遭遇したときのことだった。名前など無い、そのものの説明さえ諦めているが、おぼろげな印象がたしかで、忘れることができずにいるもの。なんの連想か、傘を置き忘れていた事を思い出し、その不意から逃れ助かった。

傘を、置き忘れる。雨雫と、地面のはざまで、喘息であえいだ夜のことを思い出す。嗚咽して何度も、酸性の霊性を、吐き出した。自分から少しずつ、はみ出そうとする自分へ、言葉が追いつかないから、明日の記憶には、沈黙する疲れだけ残っている。今日の、生意気な声のだし方に、薄くなった自分がいる。

傷口で、完成した身体。全身の表面に、張り巡らされた痛覚には、意味がずっとあとに届く。言葉の、音の側面だけが、身体を刺激して、自発という透明な精神から、原色が生まれる。体液をあらわすならば、自動詞を用いる。精神が、自分以外をながれると、行き交う人は、人々の殺意を、引き受けてしまう。人と人々。

入り江は、不定形で完全だった。廻された独楽が、回転を失うと、立ち続けることが、不安定となるように、入り江は浸食をやめれば、入り江としての体裁を無くす。人々は、虐待することへの、渇望をふと目覚めさせないように、人の誤作動する精神で、肉体の奥から緩んでいく入り江に、小舟を漕ぎ出す。

だれの腎臓も、透過していない冬の従姉に似て、朝露はまだ、精神だけで存在する乱視のなかの曖昧だった。生あたたかい血流に、恋愛した後の体液が、巡りはじめているのだろうか。偶数には、年下の異性が、散りばめられているから、純粋な時計に住む12進法の、胞子を半分、呑み込むことになる。

無人駅に、停車する。扉が開くと、止まった時間が、吹き込んでくる。そのとき乗客は例外なく、未来に生きることができない。駅員の、身体から吐息とともに、時計が吐き出されて、その身体は少年のもつものに変わっている。新しい時計が進むたび、眺めてきた古い時計の記憶が、隠喩を放心する。放心した隠喩の欠片になる。

memo 時計のまわりの時間が薄い。 時計は人の時間も薄くする。そして人に、欠落を与える。目で、その目を見たことがないが、時計は時計見ることができる。 時計は見られることで、時間を重ねていく。 時間を脱いだ純粋な時計を、見たことがない。見られないとき時計は、孤独とともに時計をみる。
子どもを、虐待することや、ネグレクト含む。 自分を、見失う行為、、自傷も含め、 考えること

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