#オールカテゴリ部門
ぽっかりと空いた穴が、教えてくれる。
冷たい風が吹いた。
風は肌を撫ぜる。
肌を撫ぜたはずだったのに、
風は僕の中に入ってきて
僕は体の中に穴が空いてるって気づいた。
知りたくなかった。
ぽっかり空いた穴なんて。
秋はこれだから嫌だ。
寂しくなる。
春に花が咲いて、
夏に弾けて、
いつの間にやら穴が空いて
秋になって落ちてゆく。
僕は地団駄を踏んだ。
踏めるだけ踏んだ。
足元が緩んでいく。
足が沈んでいく。
僕は泣い
かさぶたも、飲み込んで
かさぶたがポロリと剥がれた
「大人になるってそういうこと」
憧れのあの人の声が聞こえた気がした
傷ついて
悲しんで
涙して
落ち込んで
立ち上がって
前を向くしかなくて
そうでなければ
生きていけないから
「大人になるってそういうこと」
傷跡は少し白く
その皮膚はまだ生まれたてで
これから日に焼けて
周りに馴染んでいくのだろう
「大人になるってそういうこと」
それなら大人になんかなり