製造国プラスα。
■あるベトナム大手縫製業のいま。
・最近のニュース、「2022年以降、ベトナム大手縫製は収益悪化、現在従業員33人で売上1.17万円/日(以前4千人/3223万円/日)」。
・ベトナム大手縫製企業/ガーメックス・サイゴン(Garmex Saigon/GMC)は「かつて1日あたり3223万円の売上を誇っていたが現在は1万1720円にも満たない」、また「2024年上半期の売上は210万円(前年同期比で22.6倍も減少)」となっている。
・GMCの2024年上半期の財務報告では「製造販売からの収益がほぼなく、中古資産の売却や利息収入、固定資産の処分に依存している」状況である。
■活路を見出す経営陣。
・具体的には「銀行に預けられた4億9810万円による財務収益はわずかに増加し、固定資産の処分による特別収入として5098万円を記録した」が依然として業績は厳しい状態にある。
・GMCは「1976年に設立、2004年に株式会社化、2006年にはホーチミン証券取引所に上場」しており、最盛期には「5つの工場で4000人以上の従業員を擁し年間売上は117億2000万円を超えていた」。
・しかし「2022年以降、国内外の経済環境の悪化に伴い、輸出注文が大幅に減少し、特にアマゾンロボティクスLLCによる発注削減の影響で、収益が急激に悪化した」。
・今後GMCは「伝統的な縫製事業での収益が期待できないため、機器や製品の処分を進め、別の収益源を模索している。
例えばホーチミン市の既存の土地を活用した薬局事業、バリア=ブンタウ省での不動産プロジェクトの推進等。同社の経営陣は製造業に固執せず資産の処分や債務回収によって得られる資金を新たな分野に再投資する方針」を示す。
■「製造国」+「消費国」≒ベトナムの今。
・余談、本報道の企業に限らず多くの製造業にとって大変厳しい状況が続く。そんな苦しい状況下、上述の経営陣は発想の転換で活路を見出す。
・以前私の『note(「製造国」+「消費国」≒ベトナムの今)』でも書き留めているが、既にベトナムという国を「製造国=ベトナム」だけでは捉えら切れず、人々の所得は上がりベトナムは「製造国+消費国」であるという視点はこの国を考察する上で大いに役立つだろう。
・上述GMC経営陣は「ベトナム=製造業」という長い歴史の枠組みを残しつつ、新しい時代の流れを掴みながら事業継続を模索する。縫製業に限らずベトナムでの多くの製造業がこの苦境を乗越えた暁には、「製造国プラスα」を併せ持つより力強い企業として生まれ変わり、この国全体のレベルやプレゼンスの底上げになる事と察している。
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