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映画を早送りで観る人たちとサメ映画の隆盛

『映画を早送りで観る人たち』という本がある。

タイトルの通り、映画を早送りして観る人たちの行動原理や文化の背景を探る本らしい。

この本が出版されて以降、早送りする人たちが可視化された…ということはなく、その存在は以前より至るところで認知されていた。この本を読んだかどうかは知らないが、話題に上がるたびに「コンテンツが多すぎるから早送りでもしないと消化しきれない」「手早く消化しないと仲間の話題につ

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実写版『ゴールデンカムイ』が成功を収めた理由と今後の実写映画に期待すること

実写版『ゴールデンカムイ』が成功を収めた理由と今後の実写映画に期待すること

実写版映画『ゴールデンカムイ』が公開された。

昨今の漫画原作の実写映画は出来が良いので私は期待の感情を持ちながらずっと待っていた。そして、その期待を大きく超えて面白かった。今のところ世間のウケも大変良い。大ウケ。大絶賛。そんな言葉が似合うだろう。私ももちろん大絶賛だ。

ただ、実写版『ゴールデンカムイ』の大成功はスタッフが原作再現に粉骨砕身したから…ではないことは強調しておきたい。もちろん原作再

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色褪せるべき名作『オトナ帝国の逆襲』とトドメを刺した『しん次元』

色褪せるべき名作『オトナ帝国の逆襲』とトドメを刺した『しん次元』

映画クレヨンしんちゃんの『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』について考えていることがある。時代が進むとともに凡作扱いされていくべきではないか、ということだ。

色あせる『オトナ帝国の逆襲』『オトナ帝国の逆襲』は2001年、二十一世紀に入ってすぐの年に公開された映画クレヨンしんちゃんの第九作目である。「親子で観に行って親だけぼろぼろに泣いた」という噂まである、大人まで楽しめる

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『のび太とアニマル惑星』はまあるい

『のび太とアニマル惑星』はまあるい

『映画ドラえもん のび太とアニマル惑星(アニマルプラネット)』が好きだ。と言っても、ドラ映画の中で一番好きというわけではない。好きで好きでたまらない訳でもない。しかし好きだ。完璧であるとさえ思っている。

思うに、『アニマル惑星』はちょうど良いのだ。戦争、友情、科学、人間の愚行に善行、そして未来への希望と意思…。すべてが完璧に調和している。それゆえに私の心をつかんで離さないが、しかしその力も締め付

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映画ドラえもん 大谷ディスと空の理想郷(ユートピア)

映画ドラえもん 大谷ディスと空の理想郷(ユートピア)

ドラえもんの新作映画が公開された。まず、面白くなかった。

(以下、空の理想郷のネタバレを含む)

空の理想郷のあらすじストーリーを簡潔に述べると、誰もが完璧な人間でいられる平和で素晴らしい理想郷だと思ったらゲキヤバ洗脳施設だった。友情でなんとかなれーッとやったらなんとかなった。

映画ドラえもんというと私はひみつ道具を駆使した大冒険に悪役との大立ち回りを期待するのだが、本作は冒頭で冒険をダイジェ

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設定を読む男、人間を読む女

男は設定で読み、女は人間(関係)で物語を読む?

ジャンプ感想を漁っていると、漫画の読み方に男女差があるのではと思うことがよくある。

男は描写の妥当性や伏線の予感に言及することが多い。たとえば、「今週の〇〇という描写は第一話の〇〇を踏まえて読むと味わい深い」とか、「~が~であると考えると納得なんだよな」とか、そんなツイートをよく目にする。

一方、女は好きなキャラクターの顔がいいとか動作がかわい

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新海誠…お前………ラブクラフトファンじゃなかったのか…

新海誠…お前………ラブクラフトファンじゃなかったのか…

ずっとゴジラを描きたかったのか…仲間だと思っていたのに。

新海誠監督の最新作、すずめの戸締りが公開された。まず、面白かった。

私は君の名はから入った新海誠ニュービーなのだが、どうやらそれでよかったようだ。というのは、君の名は、天気の子、すずめの戸締りの三作はまとめて「新海誠災害三部作」とでも呼ぶべき内容だったからだ。

(以下、ネタバレを含む。)

この三部作の最後の物語、すずめの戸締りを観て

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漫画原作アニメの隆盛と実写映画に望むこと

漫画原作アニメの隆盛と実写映画に望むこと

漫画原作アニメの隆盛

チェンソーマンのアニメが始まった。

美麗な作画に、コンプラなどどこ吹く風とゾンビを相手に暴れるデンジ。期待以上のクオリティに、今後の展開にも自然と期待が持たれる。

チェンソーマンを見ていて思うのは最近のジャンプアニメのクオリティの高さだ。直近では呪術廻戦や鬼滅の刃が、やはり美しい画でバリバリ動く戦闘を繰り広げていた。BLEACHもそうだ。期待以上のカッコよさはため息が出

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実写版鋼の錬金術師を通して気づいた、シン・ウルトラマンの魅力

実写版鋼の錬金術師を通して気づいた、シン・ウルトラマンの魅力

今日、実写版鋼の錬金術師「復讐者スカー」を観た。

一言で感想をいえば「パッチワーク」だ。原作のシーンを限られた時間内で再現しようと腐心した結果、名シーンを並べ替えただけの高効率のファスト映画ができあがった、といったところか。(ファスト映画の使い方あってる?)

だが、たった二部作で前作の続きから原作ハガレンの最終話までやろうとするその心意気やよし。大統領やホーエンハイムのおっさんキャラの再現度が

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ゴジラvsコングについて、雑感

ゴジラvsコングについて、雑感

ゴジラvsコングを観た。観たが…2021年7月現在、待ちに待ったゴジラvsコングが公開されてネットは大興奮だ。

いや、大興奮『だった』というべきだろうか。少なくとも、私を含む一部の人の中では。

もちろん興奮できる部分はあった。ゴジラとコングのバトルが始まってからのボルテージの上がりようは並みのものではなかった。ネオン街で暴れまわる2大怪獣を見ても興奮せずにいられるだろうか。いや

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