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少尉が少尉になる前の頭の中

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#防衛大学校

「少尉が少尉になる前の頭の中」で読んで欲しいnote5選

毎日更新の6つ目の企画「少尉が少尉になる前の頭の中」。私が防衛大学校時代に考えていたリーダーシップや人としての在り方を、当時の資料をもとに改めて書き直したものです。

全25個の中からおすすめのnoteを5つ選びました。リーダーとしての在り方や組織の中での生き方に悩んでいる人にはぜひ読んで欲しいです。それでは、どうぞ!

第5位 「あなたが無駄に過ごした“今日”は、“昨日”死んだ誰かが死ぬほど生き

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正義を貫け

正義を貫け

今日は今月の企画の最後ということで、私が防衛大学校時代に他の学生を教育する立場のとき、その任を終えるにあたり最後に学生たちの前で話した内容を紹介します。

防衛大学校では例年入校式が終わってしばらくすると、1・2年生を対象に服務テストをしています。しかし、今年は昨年の反省を踏まえて全学年実施することにし、不合格者には学年関係なく再テストを課しました。

毎年行われる服務テストでしたが、その実態は形

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世の光であれ

今日は私が座右の銘にしている言葉を紹介したいと思います。それは中高時代通っていた学校の校訓でもある「世の光であれ」です。

この言葉は、新約聖書の「マタイによる福音書第5章14節~16節」から来ています。その部分を引用したのが以下です。

あなたがたは世の光である。山の上にある町は、隠れることができない。また、ともし火をともして升の下に置く者はいない。燭台の上に置く。そうすれば、家の中のものすべて

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ノーブレス・オブリージュ(高貴なる者の義務)

ノーブレス・オブリージュ(高貴なる者の義務)

今日は防衛大学校初代学校長・槇先生が、3期生の入校式の際に行った「修行の生活、義務」という話を簡単に紹介します。

幹部自衛官は昔であれば士官・将校と呼ばれ、軍事の専門知識と技術に加え、高い人格を備えていることを重んじる存在でした。欧米では士官の養成に際しては、「士官にして紳士」を重視した教育を行っています。

防衛大学校でも諸外国に倣い、「真の紳士淑女にして真の武人たれ」をモットーにしています。

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競技会を行う意義

競技会を行う意義

防衛大学校では開校祭における棒倒し競技会を始め、年に数回さまざまな競技会が行われています。競技会は4つの大隊が競い合い、優勝を目指して闘います。

競技会は毎回白熱した闘いが行われてとても盛り上がり、純粋に参加しても応援していても楽しいものです。

しかし、防衛大学校で競技会が行われるのにはちゃんと意義があり、日々の生活の息抜きにただ楽しめばいいというものではありません。

大隊内の学生間で団結力

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テーブルマナーの本質

テーブルマナーの本質

防衛大学校では毎年テーブルマナー講習会が開かれます。将来幹部自衛官となったとき、偉い人たちと会食やパーティーに参加する機会もあるかもしれません。そのときになって恥ずかしい思いをしないよう、学生時代からテーブルマナーを身につけておく必要があります。

しかし、ただテーブルマナーの形式にとらわれるのではなく、その本質を理解し、なぜテーブルマナーが必要なのかを知らなければなりません。

テーブルマナーの

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自衛官に求められる高いコンプライアンス意識

自衛官に求められる高いコンプライアンス意識

近年コンプライアンスという言葉を耳にする機会が増えました。日本語では法令順守と言います。企業などが法律や規則に違反することなく、公正な業務を行うことです。

コンプライアンスという言葉は、一般的には法律や規則を守ることという意味で使われていますが、広い意味ではそれらを守る倫理観を保持することとも捉えることができます。

特に最近は一般企業でも厳しく言われているところが多いと思いますが、防衛大学校で

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豊かな人間性の涵養

豊かな人間性の涵養

私は防衛大学校の4学年のとき、学生綱領の精神に基づいて学生の自主自律を促す組織の長をしていました。学生綱領の説明については以前書いたnoteを。

そのとき勤務にあたって立てた勤務方針が、「豊かな人間性の涵(かん)養」です。涵養とは、ゆっくり染み渡っていくように養成していくという意味。

それでは「豊かな人間性」とはどういうことでしょうか?私が考えるのは、教養や徳がある人間のことです。また、教養や

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防衛大学校学生の自主自律をうながす学生間指導

防衛大学校学生の自主自律をうながす学生間指導

防衛大学校の大きな特徴である学生間指導。上級生が下級生を指導・監督し、学生が主体となって生活面の運営をしています。

実際の自衛官が教官としているにもかかわらず、どうして学生が学生を指導しているのか?今日はそのあたりを考えていきたいと思います。

学生間指導を行う最大の理由は、将来幹部になったときに部下を指導する練習をするためです。幹部として部下を指導するのは避けては通れない道。そのため早いうちか

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礼節

礼節

昨日は防衛大学校の学生綱領の二つ目「真勇」を紹介しました。

今日は最後の三つ目「礼節」について書いていきます。

礼節とは礼儀と節度のことです。人として守るべき行動や、敬意を表す作法である礼儀。それに心が伴っている状態が礼節です。

防衛大学校では、礼節とは人を敬い、和の心を持つことだと教わりました。武器を扱う自衛官にとって、礼節がないのはとても危険です。いつも謙虚な姿勢で人を敬い、自分以外は皆

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真勇

真勇

昨日は防衛大学校の学生綱領の一つ目「廉恥」を紹介しました。

今日は二つ目の「真勇」について書いていきます。

真勇とは、読んで字の通り、真(まこと)の勇気。自衛官という職業は、戦いの中に身を置く可能性も十分考えられる職業です。戦いには勇気が必要というのは誰もが納得すると思いますが、ここで一般的に考えられる勇気とは、敵を恐れず立ち向かう心のことではないでしょうか。

もちろんそのような勇気も必要で

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廉恥

廉恥

昨日は防衛大学校の学生綱領について解説しました。

今日はその中の一つ、「廉恥」について書いていきます。

廉恥(れんち)という言葉はあまり聞きなれない言葉かもしれません。辞書によると、「心が清らかで、恥を知る心が強いこと」と書かれています。廉恥を破ることを「破廉恥(はれんち)」と言い、こちらのほうが馴染みがあるのではないでしょうか。

学生綱領にある「廉恥」「真勇」「礼節」。数ある候補の中から、

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学生綱領~防衛大学校学生の精神的基盤となるもの~

学生綱領~防衛大学校学生の精神的基盤となるもの~

防衛大学校には「学生綱領」というものがあります。以下全文。

国家防衛の志を同じくしてこの小原台に学ぶ我々は、我々の手によって学生綱領を定めた。
その目指すところは常に自主自律の精神をもって自己の充実を図り、厳しい徳性のかん養に努め、もって与えられた使命の完遂に必要な伸展性のある資質を育成するにある。
我々は、誠実を基調としてこの綱領を実践し、輝かしい防衛大学校の伝統を築くことを期するものである

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幹部自衛官に必要なもの

幹部自衛官に必要なもの

昨日のnoteでは、「防衛大学校は幹部自衛官となるべき者を教育訓練する機関である」と書きました。幹部自衛官とは、自衛隊の中核を担う存在です。

当時の教官の言葉を借りて部隊をラーメンに例えると、幹部は器、曹(幹部の下の階級)はスープや具材、士(曹より下の階級)は麺。ラーメンの良し悪しを決めるのは、スープや具材、麺です。しかし、これを受け止める器がなければ、食べ物として成立しません。器があったとして

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