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ブルームーンを眺めた、大雨の夜。
地方の街で、頓挫した撮影隊。
トーキョーの片隅でボロ雑巾のように働いてきた僕は、広告業界でいくつかの賞をもらえて、やっとアートディレクターとして認められはじめた。そんな頃に、知らない街で出会った切ないカップル。大雨が降った夜は、ふと思い出すんだ。
某飲料メーカーの広告キャンペーンを任された僕は、九州にロケシューティングで来ていた。有名タレントを起用したCMやポスターの仕事だった。80人ほどのス
サンセットに輝いた、傷だらけのレスポール。
少しだけハワイで暮らしたことがある。
トーキョーの片隅で、やっと広告代理店のアートディレクターになれた頃、ひとりホノルルに飛んだ。せわしないトーキョーを逃げ出し、しばらく何もしたくなかったんだ。
乾いた偏西風と、エメラルドグリーンの澄んだ海と、プルメリアの香りがするコンドミニアム。そしてKTKTにチューニングしたラジオからは、気持ちの良いスラッキーギターが低く流れる。
オープンGのワヒネチュ
米軍基地の爺さんに、宝石をもらった夜。
初めてYOKOTA AIR BASEに潜り込んだ日は、
忘れられない宝物。
トーキョーの片隅で拗ねていた若い頃の僕は、街でいろんな宝物を拾い集めていたんだ。モティベーションが下がっちまった夜は、いつもシケた街に繰り出した。忌々しい月明かりの下、ヤバいこともたくさんあったし、落ちていたのはガラクタばかりだったけど、ごく稀に宝物を拾うことがあるんだ。
その夜も、ちっぽけな人生の指針になる、かけがえ