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鬼と共に生きていく桃太郎。

――みんなを巻き込みながら、何でもない日常に彩りをくれる存在こそ、今の時代の桃太郎なのではないでしょうか。


人生は物語。
どうも横山黎です。

今回は「鬼と共に生きていく桃太郎」というテーマで話していこうと思います。



📚鬼ヶ島

5月21日(日)に開催される文学フリマ東京36に、僕は出品者として参加します。最新作『夜明けのうた』といううた集を販売する予定です。

詩のような、歌詞のような、うた。中学時代から400以上の作品を綴ってきた僕が、20作品を厳選して1冊の本に仕上げました。1日の終わりに1作品をじっくり味わう読み方がおすすめです。眠る前のあなたに小さな革命を起こしたい。ステキな夜明けを迎えてほしい。そんな願いが込められています。

Amazonで購入できますが、文学フリマ価格で少しお安くご案内します。是非、【N-38】のブースにお越しください!


文学フリマまで少し時間があるので、うた集に収録してる作品たちを毎日紹介していこうかなと思います。そのうたにまつわるエピソードを物語っていきますね。

今回取り上げるのは、「鬼ヶ島」という作品です。

今の時代にふさわしい「桃太郎」はどんな物語だろう?と考え、自分なりに出した答えが、このうたにはこめられています。勧善懲悪の物語よりも、共生をテーマにした方が良い。自分とは違う種類の相手を倒すのではなく、受け止めて、受け入れて、共に生きていくヒーローを描きたいと思ったんです。


📚今の時代の「桃太郎」

一年以上前のことではあるんですが、大学の授業で芥川龍之介の『桃太郎』と出逢ったんです。よく知られている物語とは違い、桃太郎は残虐非道な侵略者として描かれ、鬼は温厚な平和愛好者として描かれました。

描き方、語り方次第で、全く別の物語になってしまうんです。どうやらそれはこれまでにも繰り返されてきたことで、僕はこれまでにどんな物語の変化が生まれたのか、「桃太郎」の変遷に興味を持ちました。


そんなこんなで文献や論文を読み漁ったんです。調べてみると、なかなか興味深い事実が分かりました。時代によって、物語のメッセージ性が変わってくるんです。

戦争が乱発し貧乏な市民が多かった室町時代には、経済的に豊かになる物語がつくられました。

平和が訪れ文化が発達した江戸時代には、パロディアやアフターストーリーなど、滑稽な物語がつくられました。

強い国づくりを目指した明治時代には、大日本の勇姿を英雄に重ねた物語がつくられました。

国民が一致団結して戦争に立ち向かった昭和時代には、敵を鬼、敵国を鬼ヶ島とし、果敢に立ち向かう国民ひとりひとりを桃太郎に重ねた物語がつくられました。戦争のプロパガンダとして利用されたんです。

詳しくは、以下のマガジンをのぞいてみてください。一年以上前に投稿した「桃太郎」にまつわる記事をまとめています。



で、いろいろ調べたことをきっかけに自分でも今の時代にふさわしい物語を書いてみたいと思ったんです。今の時代の「桃太郎」は、どんな物語を書けばよくて、どんなヒーローを描けばよくて、何をテーマに持ってくればいいのか。

そんなに時間はかからなかったと思います。

鬼と共に生きる桃太郎共生をテーマにした物語を書こうと決めました。


📚共に生きていくヒーロー

昨日のことになりますが、住み開きシェアハウス「はちとご」におじゃましていました。シェアハウスでもあり、はなれを地域に開放している温かい空間です。ちょっと前からよく顔を出すようになって、はちとご主催のイベントにも積極的に参加するようにしていました。

昨夜、住人の方から「からあげ揚げるから来ない?」と誘われたんです。夜の十時くらいに連絡が来て「え、今から」とは思ったんですが、なんだか楽しそうなのですぐに「行きます!」と返事をしました。この時間から行くし、もしかしたらこれは泊まることになるかもしれないと期待(不安?)を抱えて向かったんですが、案の定、一晩越すことになりました(笑)

それにしても、濃い一夜でした。

からあげ会はもちろんのこと、深夜1時から2階の部屋の二段ベッドを解体して、1階の部屋の中に運び、組み立てる作業が始まったんです。誰もが「え、この時間から?」というツッコミをしたんですが、始まってしまったので仕方ありません。ノリと気合いで作業をこなしていきます。僕も住民じゃないのに、ちゃっかり参加していました(笑)

結局3時くらいまでかかって、お疲れ様―!といってまたリビングに戻って、ちょっと独特な風味のコーヒーやクラフトビールを飲みながら、「人生」や「自分」をテーマに語り合う会が開かれました。

結局、4時半くらいまでそんな時間が続いて、そろそろ寝よっかというお開きムードに。僕はソファに沈みこむように眠りました。

目が覚めてから、布団を干して、部屋の模様替えをして、模様替えをした部屋で住人の方とまた話して、最後にはお昼ご飯を食べて帰ってきました。

ほぼ住人みたいな立ち回りをしていた僕でしたが、それくらいアットホームな空間がそこにはあるし、必ずしも必要ではない石ころのような時間を一緒に過ごすことで宝石に変えてくれる仲間がいる。僕が「はちとご」に魅力を感じているのは、そういう一面があるからです。



話を元に戻しますが、きっと「はちとご」のような空間こそ、今の時代に必要な場所で、オーナーのはやぶささんのような人こそ、今の時代にふさわしいヒーローだと思うんです。

誰とでも仲良くして、誰かと住んだり、イベントでいろんな人と関わったり、応援したり、バカなことをバカ真面目にやったり……みんなを巻き込みながら、何でもない日常に彩りをくれる存在こそ、今の時代の桃太郎なのではないでしょうか。

だからこそ、僕はそんなヒーローになりたいと思うし、ヒーローのような人に憧れるし何度でも会いにいこうと思えるんですよね。

いつかは自分も誰かから憧れられる人になりたい、そしてそんな自分を胸張って誇れるようになりたいので、これからもどんな人とでも共に生きていく選択肢を選んでいこうと思います。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20230509 横山黎



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