見出し画像

母校のビブリオバトルに乱入してきた。

――「辞書は友達、予習は命」で共感を集めて、「僕も中一の頃に初めて人を好きになったんですよね」で共感を集めて、収録されている単語のロマンチックな意味を紹介して心を動かす。女の子が歓声を上げるくらいに、どうやら上手くいったようです。


人生は物語。
どうも横山黎です。

大学生作家として本を書いたり、本を届けたり、本を届けるためにイベントを開催したりしています。

今回は「届ける相手が違えば届け方も違う」というテーマで話していこうと思います。




📚母校のビブリオバトルに乱入⁉

少し前のことになります。11月18日の土曜日、僕の母校の白鴎高等学校附属中学校でビブリオバトルが開催されました。国語の授業の一環で行われたんですが、授業公開をして保護者や地域の方が見に来れる3、4時間目にあてるほど大々的に開催されました。

それを事前に知った僕が乱入した、今日はそんな記事です(笑)



僕は今、全国大学ビブリオバトルに挑戦しています。高校時代から公式戦に参加してきて、これまでに全国大会に2度出場することができたんですが、全国制覇の夢を叶えるまでには至っていませんでした。

僕は今、大学4年生なので、全国大学ビブリオバトルに参加できるのは今年が最後。ラストイヤーを有終の美で飾りたいという思いが強くあります。そんな情熱を手に挑戦した大学大会、地区大会では、無事に優勝することができました。残すは全国大会だけです。泣いても笑っても最後の舞台なので、後悔しないように、最近は優勝するための「種まき」をしているという状況です。

その「種まき」のひとつとして、その週の火曜日に母校の白鴎高校に伺ったんです。僕の学年の学年主任の先生がまだ在任していて、優勝の報告と、何か母校を絡めてできることはないか、その可能性を探るために相談しにいったんです。

近況だの将来のことだのいろんなことを語り合っているうちに、学年主任の先生の頭にある情報が思い出されたのです。

「そういえば、今度、中一がビブリオバトルやるらしいよ」

一応ちゃんと説明しておきますが、僕の母校は中高一貫校なので、中学と高校が別々に機能しているわけではなく、連携が取られているんですね。先生間の情報の共有もされているのでしょう。それゆえに学年主任の先生にも中一の情報がまわってきたのです。

こんなことがあっていいのか、僕は自分の運命を疑いました。しかし、すぐに有難いと思うようになりました。自分で種をまいた結果が結んだのです。

そんなこんなで僕は土曜日、保護者や地域の方々に紛れて聴講することにしました。

……が、本番当日、なんと白鴎の先輩、そして今もなおビブリオバトルに挑戦しているということで、担当の国語の先生が会の最後に僕の時間をつくってくれたんです。したがって、簡単な挨拶と、本の紹介と、ちゃっかり全国大会の告知をしてきました。



📚女子中学生から歓声が⁉︎

全国大学ビブリオバトルの全国大会に出場するくらいですから、生半可な紹介はできません。白鴎生に、しかも中学1年生に紹介する本は、どんなものがいいのか僕は考えました。

その結果、選んだのは『ロマンスの辞典』という本でした。こんなことがあろうかと、鞄のなかにひそめておいたのです。
#準備が良い

『ロマンスの辞典』は、収録されている言葉の意味が全部ロマンチック。普通の辞書からは程遠いときめきときらめきと恋に満ちた意味なのです。

たとえば、「忘れ物」

コトバンクには「うっかりして持ち物を置いてくること。また、その物」とありますが、ロマンのかけらもありませんね。どうしてもネガティブなイメージがつきまとう「忘れ物」という単語ですが、恋の魔法にかかればロマンチックになるのです。

『ロマンスの辞典』ではこう書かれています。

「時々、意中の相手の家にわざと残しておく約束手形」

望月竜馬『ロマンスの辞典』

そういえば僕も当時好きだった子の家に行ったとき携帯の充電器を忘れて、翌日も会うようになったことがあったけ。みなさんも心当たりがあるのではないでしょうか。ちなみに僕の場合はわざとではなくて本当に忘れてきただけですが(笑)

中学1年生といえば、初恋の時期です。かくいう僕も、そういえば初めて恋をしたのは中一のときでした。きっと今の白鴎生だって恋だの彼氏彼女だのに敏感になってくる頃だと推察しました。

だからこそ、『ロマンスの辞典』は刺さると思ったし、案の定、ロマンチックな意味を紹介すると歓声が上がりました。特に女の子が興奮していて、想像以上の盛り上がりをつくることができたんです。


📚届ける相手が違えば...

ビブリオバトルに限った話でありませんが、何かを届けるときに、その届け方に正解はありません。同じものを届ける場合でも、届ける相手が違えば、その届け方が変わってくるのです。

『ロマンスの辞典』を紹介する際、僕はある問いを投げるところから始めました。

「白鴎のキャッチフレーズ、ありましたよね?」

実は、白鴎生が嫌というほど聞かされるキャッチフレーズがあるんです。「辞書は友達、予習は命」というもの。進学校らしいですね(笑)

このフレーズ、ここ数年でできたものではなくて、本当に昔から脈々と言われてきたもので、ある種文化になっているんですよね。きっと今の中学生にも受け継がれているはずだと期待し、キャッチフレーズを訊いてみたんです。案の定、変わっていなくて、誰というわけでもなく「辞書は友達、予習は命」という言葉が聴こえてきました。

それを受け、僕は「今回、僕が紹介するのは、辞書……ではないんですけど、辞典を紹介していこうと思います。辞書が友達なら辞典は知り合いくらいかなと思って共感できるかなと思いまして……」と切り出したんです。

ここでちょうどいい「やや受け」が起きましたね(笑)



何がいいたいかっていうと、『ロマンスの辞典』を紹介する場合、白鴎の中学1年生に紹介するときと、別の学校の中学1年生に紹介するときと、あるいはこの記事を読んでくれているあなたに紹介するときとでは、少なからず紹介の仕方が変わってくるってことです。

ビブリオバトルは共感を集めないと、「読みたい」と思わせることはできませんから、聴き手が何を求めているのか、どんな情報を提示したら心が動くのかを想像しないといけないわけです。

今回の場合、中学生からしたら「初めましての大学生が乱入してきた」「誰だこいつ」みたいな感情から始まっているので、いっそう共感を集めにいく必要性が高かったんですよね。

「辞書は友達、予習は命」で共感を集めて、「僕も中一の頃に初めて人を好きになったんですよね」で共感を集めて、収録されている単語のロマンチックな意味を紹介して心を動かす。女の子が歓声を上げるくらいに、どうやら上手くいったようです。

届ける相手が違えば、届け方も違う。届ける先にいるその人の顔を想像して、届け方を探ることが必要だよねって話でした。最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

20231201 横山黎


※母校のビブリオバトルに乱入した様子↓↓↓



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?