マガジンのカバー画像

誰でもできる「科学的思考」

105
震災や感染症などで不安や混乱が取り巻く社会に決まって広がる似非科学、デマ。 SNSが発達した今、あなた自身がデマ拡散に加担しているのかも。 これは、ニセ情報に騙されないハウツーを…
運営しているクリエイター

#科学的根拠

一足飛びには発展しない人類の智慧

一足飛びには発展しない人類の智慧

東京都生活文化スポーツ局は2009年、
「『波動・情報転写による効果・性能をうたった商品』の表示に関する科学的視点からの調査結果について」
と題する調査報告書を提出しました。

「波動」というキーワードを用いた健康食品・機器や医療はちまたに多くあふれています。

それぞれに、利用者の体験談や独自のメカニズム論を展開して、その正当性を訴えています。

「波動」は超便利波動は特に後者、つまり当該商

もっとみる
「ある」エビデンス、「ない」エビデンス

「ある」エビデンス、「ない」エビデンス

運用開始された携帯電波5Gの電波によりコロナウィルスが活性化し蔓延した、と物理学者の先生が一般向けに講演したことについて、本ブログでお伝えしました。


この記事を書く際、私は何をしたのか?


当然、彼が主張するメカニズム、すなわちでコロナウイルスの「ヒゲ」がテレビアンテナの要領で5G電波に共鳴してそのエネルギーを吸収し、その結果ウイルスが活性化する、という事実が本当にあるかどうかを検証

もっとみる
イメージ先行?「波動生命体」論

イメージ先行?「波動生命体」論

「ウイルスは波動生命体」論、SNSで広まって久しい。
科学的なようで科学とは無関係。
他愛のない論調だが、影響を考えると見過ごせない疑似科学特有の問題点とは?

定義のあいまいな「ウイルス=波動生命体」だからPCR検査もワクチンも必要ない、と続きます。

まず、心の持ちようでウイルスの影響がなくなる、などというエビデンスはありません。

それにしても疑似科学でよく出てくるキーワード、「波動」がここ

もっとみる
日常生活に入り込む疑似科学

日常生活に入り込む疑似科学

2022年3月千葉県浦安市で、数年来市当局が市の施設の給水系に導入しようとしていた赤さび除去装置(以下「活水器」)について、担当者が正式に導入中止を宣言しました。
何が問題だったのか?

科学的根拠を問う活水器の販売業者によればこれは、配管内の赤さびを黒さび化して固定化し、赤さびが水に混入しないようにし、配管の更新を不要にする装置だとのこと。

業者のホームページ(HP)を見ると、一応理論めいたも

もっとみる
科学的実証に論文は必要、だが十分ではない

科学的実証に論文は必要、だが十分ではない

2022年3月、千葉県浦安市でちょっと面白い事件が起こりました。

数年来、市が市の施設の給水系に導入しようとしていた「NMRパイプテクター」なる赤さび除去装置(以下「装置」)について、担当者が正式に導入を中止すると宣言したのです。

販売業者によれば、動作原理はよく分からないけどとにかく赤さびを黒さび化して飲料水に混入しないようにし、かつ配管更新を不要にできる配管延命装置だ、ということです。

もっとみる
保存料、ゼロならいいの?

保存料、ゼロならいいの?

食品の原材料名のところを見て、添加物や着色料、保存料の記載があると何となく不安になりますよね。

逆に「無添加」、「無着色」、「保存料不使用」と書いてあると安心。
そしてこれらの文言は恰好の宣伝文句となっている現実。

気持ちは分かるのですが、何ごとも行き過ぎはよくありません。

「入っているから危険」ではなくて「50%致死量」(Lethal Dose 50、通称LD50)とは、物質の毒性を示す値

もっとみる

引き寄せ・念力・テレパシー ‥を科学する

現代科学でエビデンスなしとされている現象

もしそれが存在するならどうやって?

科学でどこまで迫れるのか
改めて考える

「引き寄せは『波動』で説明できます」⇦じゃ、その「波動」って何?

「引き寄せは『波動』で説明できます」⇦じゃ、その「波動」って何?

「波動」のみならず、
「エネルギー」、「波長」、「次元」、「宇宙○○」、「○○フィールド」‥

いかにも科学的に語られる「量子力学」が巷間をにぎわしています。

アカデミズムとは
過去に蓄積された膨大な量の人類の知恵に学び、
一足飛びには進まず労苦の多い研究活動に支えられるもの

あなたが今目にしているその「量子力学」は、
本当にアカデミック?

例えば、「『波動』を身体に照射して健康になる」とい

もっとみる
念力 ~人の思念は物理的作用を及ぼし得るか?~

念力 ~人の思念は物理的作用を及ぼし得るか?~

「『波動』が共鳴して引き寄せる」
「『波動』で身体の不調を治す」

「波動」のみならず、「エネルギー」、「次元」、「○○フィールド」‥

このブログ内でも指摘してきたように、
(例えば「引き寄せは『波動』で説明できます」⇦じゃ、その「波動」って何?)
科学用語を多用した曖昧な言い回しが闊歩しています、
さも「科学的」であるかのように。

ではそのように、
非科学的かつ曖昧な「波動」論議で
「説明」

もっとみる
水は言葉を理解する?

水は言葉を理解する?

今年の冬(2020年~2021年)は雪が多く、
日本海側の各地で災害も。

雪はもちろん氷の結晶。
この氷の結晶にまつわるトピックについて考えます。
それは‥

「水が人の言葉を理解し記憶し結晶化に反映する」
というもの。

具体的には、故江本勝氏がかつて出版した本。
様々な「水の結晶」の写真が載っています。
その主張は、というと‥

「ありがとう」、「好き」などのような
ポジティブなキーワードを

もっとみる
「死」のその先に何を期待する?

「死」のその先に何を期待する?

宮城県亘理町にお住いの亀井繁さんの妻と次女は、
2011年の東日本大震災の時津波に流されました。
以下は亀井さんの述懐です。

成仏なんかしないで「二人が発見されたのは、震災の日から二週間経ったころ。
私はその間、風呂に入れなかった。
二人が冷たい水にさらされている中、
自分だけ温かいお風呂につかるなんてとっても申し訳ないと思いました。

納骨しないと成仏しないと言われましたが、
成仏してどっかに

もっとみる
誰でもできる「思い込み」撃退術

誰でもできる「思い込み」撃退術

天文学者と物理学者と数学者の仲良し3人組が
鉄道でスコットランドを旅していた。

のどかな丘陵地帯の草原の風景が流れる。
その中に一匹の羊がいた。

その羊はなぜか黒かった。
それを見て3人はそれぞれこうつぶやく。

天文学者:
「スコットランドの羊は黒いのだ」

物理学者:
「スコットランドには少なくとも一匹、黒い羊がいる」

数学者:
「スコットランドには少なくとも一匹の羊がいて、
その少なく

もっとみる