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エッセイらしきものばかり

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何がエッセイなのかよく分かっていない人が書いたエッセイらしきものです。
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2023年4月の記事一覧

平凡で非凡な泡立て器

平凡で非凡な泡立て器

 自分の考えや言動が他人と重複する時があります。いわゆる「かぶる」というやつですね。何かを表現するなどオリジナリティが重視される場合には、あまり歓迎されない現象のようです。人とかぶるということは発想が平凡だと見なされ、酷い時にはパクり疑惑をかけられかねません。

 とは言え、同じ人間である以上、何かが似通ってしまうのは仕方がないと思うんです。それに、みんながやりがちな言動は「ベタ」と言われたり「あ

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怪談で余計な真実を掘り当ててしまった

怪談で余計な真実を掘り当ててしまった

 怖い話が苦手だったんですが、よりによって怖い話はそこら中に溢れています。どうにかしなければいけないと思った少年時代の私が選んだ手法は、自らぶつかっていくことでした。怖い話を見聞きしまくり、慣れてしまえば怖くなくなるだろうという算段です。

 誰彼構わず勧められる手法ではないでしょう。ただし、実際に慣れたんで、私にとっては正解だったんだと思います。チキンなのは相変わらずですから、ホラーな映画やゲー

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小人が閑居して不善をなしまくったんです

小人が閑居して不善をなしまくったんです

 「小人閑居して不善をなす」という言葉があるんです。「ダメなやつは暇になるとよくないことをする」というような意味で使われているようです。

 ポイントは「不善」です。字を見ても明らかに「よくないこと」なんです。「悪いこと」ではない。ネットで調べると、「悪いこと」と訳されているページもございますが、ニュアンスとしては「よくないこと」とか「ロクでもないこと」とかのほうが近いように思われます。

 先日

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評論は、するのもされるのも難しい

評論は、するのもされるのも難しい

 その昔、ちょっとしたクリエイティブな学校に通っていたことがあるんです。何しろクリエイティブな学校ですから、授業でクリエイトするんです。要は作るわけですね。もしくは創る。そして、クリエイトしたものを先生に提出して「ここはこうした方がいい」とか「ここはよくできている」とか教えてもらう。いや、言ってるのが先生だから「教えてもらう」と書いてしまいましたが、つまり評論をしてもらうわけです。

 生徒はみん

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白菜でオリジナルおまじない

白菜でオリジナルおまじない

 道端や他人の土地にゴミを捨ててはいけないことは誰でも、それこそゴミを捨てている本人でも分かる話だと思うんですが、微妙なのは自分の土地にゴミっぽい何かを置くことだと思うんです。他の人から見ればどう考えてもゴミなんだけど、置いた本人は「ゴミじゃない」って言ってるし、何より自分の土地に置いている。

 それが酷くなると、いわゆる「ゴミ屋敷」として問題となり、結果的に周辺住民へ迷惑がかかります。現在では

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伝染性鉄道事故症候群

伝染性鉄道事故症候群

 ペーパードライバーなんです。理由は明確で、自動車免許を強制的に取らされたからです。

 事の始まりは大学1年生の時です。夏休みに帰省してみると、母がこんなことを言いました。

「明日から教習所に行ってきなさい。お金は払っておいたから」

 少なくとも私の周囲では頑張ってバイトして貯めたお金で教習所へ通う大学生が圧倒的に多かったです。彼らからして見れば、なんていい親だと思うに違いない。しかし、免許

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名前にこもる強烈なイメージ

名前にこもる強烈なイメージ

 世に名前がある限り、名付けるという行為が存在します。そして、いろんな人がいろんなものに名付けてゆく。そうなると、どこかの段階で名前はよく見るタイプとなかなか見ないタイプに分かれてくるでしょう。つまり、同じ名前でも「これは普通」とか「あれは特殊」とか、異なる評価をされるようになっていく。そして、特殊な名前は往々にして注目されるようになります。

 山手線の駅名はその典型でしょう。「東京」とか「新宿

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今は「すげえ」と言われるのが楽な世の中

今は「すげえ」と言われるのが楽な世の中

 生きてて思うのは、いかに自分は限られたことしかできない人間か、ということです。家を建てたくてもまず材料を集める段階で挫折しそうですし、早く遠くへ行きたいからといっていきなり飛行機を運転するわけにもいかない。重たい怪我や病気には呆れるほど無力ですし、食べ物の調達だってひとりではなかなか困難です。無人島にひとり放り込まれたら、日常生活だって危ういでしょう。

 もちろん、怪我や病気の知識がある医者だ

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機械に心を奪われてはならない

機械に心を奪われてはならない

 機械の動いているところは見ているだけで楽しいものです。工事をしている重機とか、電車が連結する瞬間とか、何なら自動シャッターでも未だに「おおー」と思いながら見てしまうんです。

 機械の最たるものはコンピューターの類です。現在ではパソコンとかスマホなんかが身近なコンピューターの筆頭でしょう。新しいものを買うたびにビックリするような新機能がくっついてくる。「え、何、こんなんできんの」と毎度毎度驚かさ

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接待お化け屋敷

接待お化け屋敷

 お化け屋敷が嫌なんです。暗いし怖い。しかも、こういう施設のビビらせ方は、お化けの力を借りている癖に物陰から「ワッ!」と叫ぶような、不意を突くものが多いんです。純粋にお化けの不気味さだけでビビらせてくれたらいいものを、なんて心臓に悪い。勘弁してほしいんです。

 でも、お化け屋敷に行ったことは何度もあるんです。理由は明確で、同行者が行きたがったからです。私は必死に抵抗するんですが、気づくと一緒に行

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変わり種焼きそばでおこなうゲン担ぎ

変わり種焼きそばでおこなうゲン担ぎ

 ゲン担ぎを敢えてしない人がいます。その気持ちはよく分かります。

 毎回、忘れもせず律儀にゲンを担げる人ならいいと思うんです。積み重ねられたゲン担ぎが精神の安定に繋がるでしょう。問題は忘れる人であり、なおかつゲン担ぎを気にする人です。そういうタイプは、ゲン担ぎを忘れたと気づいた瞬間から落ち着かなくなるでしょう。落ち着かないから普段はやらないミスをして、「ああ、ゲンを担がなかったからだ」と自分自身

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靴下神経衰弱

靴下神経衰弱

 好みは皆さんありますよね。私もあります。見たところ、ヒト以外の生き物にも余裕であるようです。前にも書きましたけど上野のパンダは笹よりも先にリンゴを拾って食ってましたし、牛は牧草よりペレットを優先して食ってましたし、カメはペレットより豚肉のほうが食いつきがよかったです。

 別に食べ物に限った話ではありません。生きているといろんなところで好き嫌いが発生します。どうしてなんでしょうかね。好みはいろん

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挨拶にはスランプがないどころか

挨拶にはスランプがないどころか

 どういう過程で出来上がったのかは知りませんが、挨拶を発明した人はすごいと思います。あんまり知らない人でも挨拶を交わすと、少しは心が通い合ったような気がして、その後のやりとりがやりやすくなる。いや、挨拶によって本当に心が少し通い合っているんでしょうし、その「少し」が意外とデカいんです。必要なのはほんのわずかな勇気と時間。全ての挨拶がうまくいくとは限りませんが、費やすものに対してのリターンはきっと大

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「日本一の下足番」の先にあるもの

「日本一の下足番」の先にあるもの

 「場合による」って便利なのでつい使ってしまいますけど、考えたら当たり前の話なんですよね。場合によらないものを探すのが難しいくらいです。だから、「場合による」と言うと、なんか答えに窮した時の逃げの一手みたいな感じにとらえられることもたまにあります。でも、本当に「場合による」としか言いようのない時もあるわけです。

 例えば、小林一三の名言です。小林一三は阪急東宝グループの創業者として知られる実業家

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