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内側のこと

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自分の内面について。その他なんてことない日記。
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#エッセイ

残した食事も諦めて

残した食事も諦めて

友人の結婚式に参列したものの、出された食事の2割ほどしか食べられなかった。
結婚式の知らせが届いたとき、一番に頭に浮かんだのはコース料理のことだ。

完食したのはたしか、前菜のワイングラスみたいなガラスの器に飾られた生魚と謎のソース、それから飲み慣れない味のコーンスープ、ウーロン茶、食後のジェラート。

新卒時代に社長に連れられた中華のコース料理を思い出し、微妙な気持ちになった。

昔はいわゆる会

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実績を解除していく

実績を解除していく

人生って「どれだけ実績解除できるか」なのかな、と最近気付いて、なんかそこから少し楽になってきた。ような気がする。

要するに「人生って色んな経験した方が面白いんじゃない?」というだけの超平凡な気付きだけど、経験って言い方だと堅苦しくてちょっとテンションが下がるっていうか。その手のあらゆる名言は、これまで全然刺さって来なかった。

実績を解除することが目的になると、とりあえず「〇〇をした」という事実

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空っぽの部屋を埋めて

空っぽの部屋を埋めて

山が近い町に来た。山並みの輪郭に並び立つ謎のタワーとか、夜になればそこで輝く光だとかを毎日眺めている。
ウグイスもメジロもオナガもここには居ないけど、真っ黒で大きな鵜と、アオサギがときどき居たりする。

気が重かった引っ越しは、思い返せば存外あっさり終わって、平気な顔して普通に暮らしている。今は仕事を探している最中で、みんなどんな風に働いて生きてるのか教えてほしい。3年の無職期間はとんでもなく重い

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誰かに話すみたいに

誰かに話すみたいに

本当は、全部言えたらいいのにな、とは長いこと思っている。

ずっとふらふらしていることも、情けない姿も、何年も前にした、一緒に住んじゃう?なんて話も、引っ越すのは、本当はめちゃくちゃ寂しくて嫌かもしれないってことも。

物心ついた頃からずっとここで育ってきた。思い出は全部ここにある。坂だらけで緑と花が多いまち。自転車が使えない不便さはあるけど、高台に行けば見晴らしが良くて、虫も多いけど、心は安らい

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私はどこで誰といれば

私はどこで誰といれば

「きみが一人暮らしをする最後のチャンスだと思うよ」

友達はそう言った。ね、実家暮らしってやっぱり世間体がよくない?自立した方がいい?そりゃそうか。

いぬが可愛くて離れたくない、15年やそこらしか生きない命の、今を離れたら後悔しないのかな。実家の犬を理由に一人暮らしをやめることなんかあるの?みんなきっと実家の動物を置いていくよね。
父は趣味人で、大体いつも作業部屋に籠っているし、よく出掛けて忙し

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暗いキッチン、暗い居間、あつあつ雑炊

暗いキッチン、暗い居間、あつあつ雑炊

夕飯がパスタだったから、お腹空いたなあ、と母が布団に潜りながら、ぼやいていた。

私もなんとなく感じた空腹を、いつもなら無視して眠っているところだった。
今から鍋をガチャガチャやる煩わしさ。夕飯の後に夜食なんか普通食べないし、片付けもしなきゃだし。さっきお風呂で歯磨いちゃったし。髪の毛がまだビチョビチョだし。

食べない理由がぽんぽん浮かんだところで、今年は「いつもしないこと」をするんだった、と思

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大人になったら、どうしよう

大人になったら、どうしよう

「大人になってからの方が楽しい」って、自分が学生の頃に大人から聞いた。
だけど実際大人になった今、小学校、中学校、高校と区切りがあった学生時代より、なんの区切りもない大人、先行きが見えない大人は、ずっと不安ばかりで、気が遠くなる。
大人の果てはどこにある?死?
学生が終わってから、人生が本当に始まった気がする。

引っ越す予定がある。次の家を探している。
次に住むかもしれない地域を見て回った。

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サラダプレートと軽やかな友達

・お茶をしに入ったカフェは思ったよりかなりリーズナブルで、脳がパチパチするほど甘いプリンが来た。頼んだ取り皿もお冷のおかわりも来ず、厨房からは何度もお皿をドンガラガッシャンと落とす音が聞こえた。
それでも足を休めて話が出来て、エネルギー補給ができるんだから、全部のカフェって、これくらいいい加減でも良いのかもしれない。これくらいで良いのなら、私でもへっちゃらで働けるのかもしれなかった。

・友達と中

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それでも人生が続く

それでも人生が続く

中高生の頃、「死にて〜」って言う友達が多かった。私もきっと沢山言っていたはずだ。

だけど23歳にもなると、もう誰もそんなことを口にしない。今そんな言葉を軽はずみに言おうものなら、病院を勧められそうなくらいだ。

23歳にもなって、まだ死にたいとか言ってるのがかなりイタイってこと、分かっていても「もうおしまいがいい」とずっと思っている。

「死にたい」は実のところ言葉のあやで、本当は全然死にたくな

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結婚報告を聞くと、どうして少し寂しくなるのか

結婚報告を聞くと、どうして少し寂しくなるのか

1年の間に何度か聞く、報告。
「大切なお知らせ」「いつも応援してくださる皆様へ」みたいなやつ。

基本的に私は芸能人の結婚や離婚についてあまり関心がないけれど、母はよくテレビを眺めながら、「この女優さんって○○の奥さんだっけ?」「こんなに綺麗なのに独身(子どもがいない)なんて、遺伝子が勿体ないね」なんてことを口にする。

私は誰が誰の奥さんで旦那さんなのか分からないことが多いし、遺伝子が勿体無いと

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夢じゃない

戦争が始まって、1ヶ月が過ぎた。
相変わらず状況は悪化するばかりで、私はもう、毎日戦争についての情報を得ることに心が疲弊して、2、3日に一度しか見ることが出来ていない。

誰か狂った王様を止めて。こんなことがこの現代に起きていることが、まだ信じたくない。全部夢だと言って欲しい。

私がこれまで生きてきた20数年の間、きっとずっと地球のどこかで、紛争も戦争も起きていて、生活をめちゃくちゃにされた人が

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いくつ名前があったって

いくつ名前があったって

私はインターネットで、複数の名前を持つ。ハウルは言った、「自由に生きるのに要るだけ」名前が必要だと。

こうやって言葉を紡いでいるのは、誰かに聞いて欲しいからではあるけれど、私のことを知る誰にも、聞いてほしくはない。
知り合いにも友人にも、家族になんて以ての外。SNSで何度か身バレをしたことがある。アップしている写真で、描いた絵で、内容で。案外すぐにバレてしまうものだ。毎回大焦り。ときには憤慨して

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英雄になんかならないで

まったく状況が好転しない。

もちろん昨日始まった戦争が、1日経っただけでマシな状況になるなんてこと、あり得ないのは分かっていたつもりだった。

朝も昼も夜も、ウクライナの現在の状況を確認するのをやめられない。お陰でだいぶ気が滅入ってしまったように思う。

戦車が民間人を轢いた。ミサイルが家に突っ込んだ。戦闘機の飛行音とサイレンの音。ウクライナの皮を被って紛れ込む人。地下に身を隠す人々。幼稚園への

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怒りに震えることしかできなくても、平穏を願っている

怒りに震えることしかできなくても、平穏を願っている

戦争が始まったらしい。

こんなことを書くべきではないかもしれないと思ったけれど、これはただの私の日記だ。きっと誰も読んじゃいない。好きにさせてもらおう。

昼頃、私がサバの味噌煮缶の残り汁を味噌汁に入れて食べていると、いぬが目を覚ました。それちょうだい!と言ういぬを誤魔化すため、食事を中断して、ポヨポヨと鳴るボールを投げて遊んでいたところだった。流し見で付けっぱなしにしていたお昼のニュースから、

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