英雄になんかならないで

まったく状況が好転しない。

もちろん昨日始まった戦争が、1日経っただけでマシな状況になるなんてこと、あり得ないのは分かっていたつもりだった。

朝も昼も夜も、ウクライナの現在の状況を確認するのをやめられない。お陰でだいぶ気が滅入ってしまったように思う。

戦車が民間人を轢いた。ミサイルが家に突っ込んだ。戦闘機の飛行音とサイレンの音。ウクライナの皮を被って紛れ込む人。地下に身を隠す人々。幼稚園への砲撃。平和への訴えが力で捩じ伏せらる。島での玉砕。

もうたくさんだ。たった2日でこの有様。この世の地獄を全部煮詰めたみたいな現実。一昨日まで街でケーキを食べていた人たちが、きっと私たちと同じように暮らしていた人々の生活があっという間に破壊されていく。橋が壊され家が壊され、命が壊される。こんな状況を見ているのがつらいのだ。テレビをつければいつも通りのバラエティ番組。SNSを開けば、みんなが自分の推しの話。あまりの違いに心が追いつかない。

現実にスーパーヒーローはいないから、破壊されていくのを眺めることしかできない。劇的な変化は訪れない。平和を願って破壊行動を非難して、それで何か変わるだろうか。話の通じない相手に、何ができると言うんだろう。

こんな勝手がまかり通るなら、法律も条約もなんの意味も持たないように思う。一方的に生活を破壊することが出来るのなら、手を出したもん勝ちだ。そんな世界で、心穏やかに生きてなどいけるものか。

絶対に許さない。許されて良いはずがない。安寧を壊す権利なんて、誰にもあるはずがない。人々の暮らしなど考える気もない傲慢な態度に、はらわたが煮えくり返る。私には権力も財力も知力も無いけれど、絶対に許さずにいる。心に決めた。これまで選挙権を行使するとき、譲れないことなど無いかもしれない、と思っていた。それが撤回できる。人の命を奪うな。死んでも殺しても、英雄になんかなるな。戦争の被害者と、人殺しがそこに居るだけだ。ただの人間として散ってくれ。


今日は定期検診をサボりにサボり続け、10ヶ月ぶりに歯医者に行った。虫歯がひとつも無くあっさり帰宅して、良い気分だった。推しの新曲はすごく好みだったし、今日もいぬは可愛い。
だけど私がのんびりと暮らしている今も、生死を分ける決断を迫られている人がいて、守るべきもののために命をかけている人がいる。私の平穏が、いかに不安定なのものなのかを思い知らされる。エンターテイメントも響かない瞬間がある。

私の日常と、戦争を見つめるバランス。
とりあえず情報を得るのは1日に2回だけとする。この状況から目を背けてはいけないのは分かっている。それでも私たちは今の生活を続けるしかない。痛みを自分ごとと捉えるのは大切なことだけど、潰れてしまっては意味がない。

平和ボケしてなにが悪い。平和ボケを馬鹿だと笑う世界が悪い。一日も早く人間らしい交渉ができることを願う。どうかもう、誰も死なないで欲しい。お願いだ。

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