松田 律史

2013年札幌医科大学卒業。聖隷三方原病院初期研修、同院高度救命救急センターにて1年間…

松田 律史

2013年札幌医科大学卒業。聖隷三方原病院初期研修、同院高度救命救急センターにて1年間救急科として勤務、その後札幌東徳洲会病院救急科にて病棟チームの立ち上げなどに従事。同院画像・IVRセンターでの救急IVR研修を経て、救急集中治療センター兼任。研修管理委員長。

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DutyとExtraの間

久々に筆を取る。 この一年色々あったが、臨床能力は個人としてもチームとしても伸びている。でも、まだ足りない。理想を求めると足元が見えなくなる可能性はあるが、やっ…

松田 律史
7か月前
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内科でも外科でもない僕の在り方

知らないことも少なくないし、できないことの方が多いのが現実。でも、死なせない術は沢山持ってる。それが救急医と言う生き物。 だから、止血ができなければ開腹・開胸に…

松田 律史
1年前
1

どうにもならない毎日をどうにかするのが仕事だよ

そもそも無茶がある。 そんな生活を本格化させて、なんだかんだで3ヶ月。結構全力投球して来たけど、まだbreakthroughじゃないし、そもそも大きく変えられている事は何も…

松田 律史
1年前
2

何だかんだで、コレはアレに似ている

本当のところ、何が何処まで分かっているのか、自分でもよく分からないけど、修羅場はそこそこに経験してきたから乗り切り方は割とすぐに思いつく。 多分、今のタスクはM&…

松田 律史
1年前

結局、どんな人材が欲しいの?

初期研修医の採用に関わっている。 悩ましいのは、どうやって採用するか、と言う話。 今まで当院は筆記試験で医学知識の確認、面接と小論文?で人格や素養の確認をしてい…

松田 律史
1年前

自責を自責

唐突ではあるけどさ… 正しい診断を即座に下せず、患者が苦しむ時間が長引いた場合、そこで仕方無かったと言えるのか、タラレバであっても自分を責めるのか、医者の生き方…

松田 律史
2年前

思考を止めるな

ここ数日、胃腸炎で仕事を休んでいた。 こんな事、どれくらいぶりだろう?と思うが、やっぱりCOVID19流行から院内感染の流布に警戒する世の中なので以前よりも正しい対策…

松田 律史
2年前
1

Beyond the limitation

スーパーマンになれない僕らには、必ず限界がある。 努力を重ねれば全領域を超えて戦える存在になれると信じていた時期が僕にもあった。総合診療と言うフレームを外科に導…

松田 律史
2年前
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人間が人間に正しく接する為に

大それた話ではないが、人は間違える、と言う話題だ。 手出ししなければ死ぬと思えば、僕に逡巡は無い。やらずに看取る事を勧める事はあまり無い。生存確率が5%あるなら治…

松田 律史
2年前
1

患者の命日

時には折れる事もある 全力でやってできない事を恥じてはいけない。最後の最後まで戦い切ったなら、むしろ、胸を張るべきだ。 そんな風に割り切れたなら、人生もっと簡単…

松田 律史
2年前
4

存在意義を見詰め直す

あれこれできるようになると見え難くなるが、自分のコアなんなんだろうか。他科に所属する救急医と言う存在は何なんだろうか。僕にとってはIVR修行機会の取得、その他診療…

松田 律史
2年前
2

不確実だから医療なのだと思う 

中長期的な予後が厳しいと思いながらも、予後不良と確定できない症例を全力で戦うと言うのは、救急医の独善なのだろうか。予後は無いと確信できない以上、全力を尽くすと言…

松田 律史
2年前
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トンネルを抜ける途中

辛い時もある。それは否定しない。人生、辛くないことの方が珍しい。 例えば手技の話。合併症が起こってしまえば辛い。本人の方が辛いと分かっていても、やっぱり手技をし…

松田 律史
3年前
2

正直しんどい時もある

大義名分を重ねて、使命感で支えて、矮小な自尊心で取り繕う。 そうやって理想の主治医像を固めて走り続けてきたと思う。 それでも時折、しんどくなるし立てなくなる。 人…

松田 律史
3年前
2

誠意とか全力とか、難しい

気付けば春がそこにある。 ちゃんと病院の外に出ている。家に帰ってもいるし軽くドライブに出たりもしている。でも、春が来たと実感する瞬間は少ない。時々、ふと気付いた…

松田 律史
3年前
3

ResponsibilityとObligation の間

正しい事を突き通すのは意外に難しい。 今年から大学院に通い始めた。週一回平日に通学、単位を稼ぎつつ研究を進める。自分が興味を持って意味があると思えるテーマをやれ…

松田 律史
3年前
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DutyとExtraの間

DutyとExtraの間

久々に筆を取る。

この一年色々あったが、臨床能力は個人としてもチームとしても伸びている。でも、まだ足りない。理想を求めると足元が見えなくなる可能性はあるが、やっぱり頑張らんとならんと思う。

では、どうする?一人で学んでも限界がある。チームを底上げするしかない。仮にワンマンでやるにしても、自分が居ない間は必ずある。その間を凌いでくれる仲間とか必要だと認識して呼んでくれる仲間が必要だ。それを育てに

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内科でも外科でもない僕の在り方

知らないことも少なくないし、できないことの方が多いのが現実。でも、死なせない術は沢山持ってる。それが救急医と言う生き物。

だから、止血ができなければ開腹・開胸に移行する。自分自身の能力不足とかマネージメント不全で患者を殺さないと言うのが救急医。

でも、死なせないだけじゃ足りないよね。死なない患者の方が多い二次救急で死臭を嗅ぎ付けてヤバい病気を見付け出す。それらを否定した後で残った鑑別診断を整理

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どうにもならない毎日をどうにかするのが仕事だよ

どうにもならない毎日をどうにかするのが仕事だよ

そもそも無茶がある。

そんな生活を本格化させて、なんだかんだで3ヶ月。結構全力投球して来たけど、まだbreakthroughじゃないし、そもそも大きく変えられている事は何もない。現状の価値基準を押し上げて、少し前を向かせられたか?と言う程度しか貢献できていない。

それでも微々たる進歩が明日何かを変えるかも知れない。今は信じて馬鹿になろう。変に賢くやるよりも馬鹿正直に働き通す方が良い事もあるさ。

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何だかんだで、コレはアレに似ている

何だかんだで、コレはアレに似ている

本当のところ、何が何処まで分かっているのか、自分でもよく分からないけど、修羅場はそこそこに経験してきたから乗り切り方は割とすぐに思いつく。

多分、今のタスクはM&Aに似ている。

日本人的には他者に領域を踏み込まれるとか乗っ取られると言う印象を受けるが、本質はそこじゃない。M&Aの本質は異なる組織の合流による新たな価値の創造である。足し算に留まらず、シナジー効果も期待できるようにするのが本当の目

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結局、どんな人材が欲しいの?

初期研修医の採用に関わっている。

悩ましいのは、どうやって採用するか、と言う話。

今まで当院は筆記試験で医学知識の確認、面接と小論文?で人格や素養の確認をしていた、とのこと。

構造的な部分としては多角的に人物を見ようと言う試みには見える。でも、果たして本当に意図した結果を担保できているのかは悩ましい。従って、今後再構成を考える必要がある。

しかし、それであれば、そもそも自分達はどんな人物が

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自責を自責

唐突ではあるけどさ…

正しい診断を即座に下せず、患者が苦しむ時間が長引いた場合、そこで仕方無かったと言えるのか、タラレバであっても自分を責めるのか、医者の生き方を決めるのってそう言う性格なのかなって思うんだ。

その意味で俺は本来的には医者に向かない性格なのかも知れない。イマイチな経過となった場合、これが不可避であったと理解していても受け入れられない。10年近くも医者やってて、そりゃないだろうっ

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思考を止めるな

思考を止めるな

ここ数日、胃腸炎で仕事を休んでいた。

こんな事、どれくらいぶりだろう?と思うが、やっぱりCOVID19流行から院内感染の流布に警戒する世の中なので以前よりも正しい対策として仕事休んで結果として隔離、と言う展開がし易い。

患者さん達に迷惑をかけると言う気持ちと逆に流布させたら余計に迷惑やろって理屈に揺れているが、前者はチーム内で託せる仕事や託せる相手ができた事で是正されて来ていると思う。ただ、約

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Beyond the limitation

Beyond the limitation

スーパーマンになれない僕らには、必ず限界がある。

努力を重ねれば全領域を超えて戦える存在になれると信じていた時期が僕にもあった。総合診療と言うフレームを外科に導入して、腹だろうが胸だろうが頭だろうが自分でオペする医者になりたいと思っていた。

でも、現実は違う。一つは各領域の深さだ。プライマリーな部分は比較的全領域に精通しているが、より深いレアケース診断とかコントラバーシャルな治療の選択とか、自

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人間が人間に正しく接する為に

人間が人間に正しく接する為に

大それた話ではないが、人は間違える、と言う話題だ。

手出ししなければ死ぬと思えば、僕に逡巡は無い。やらずに看取る事を勧める事はあまり無い。生存確率が5%あるなら治療して欲しいのか、奏功率が90%無ければ手を出して欲しくないのか、最終的には個人の価値観によりますよね。

ただ、その価値観が医療者によってはならないと思う。患者自身が納得して決めた事ならば僕は受け入れる。必要あれば一蓮托生と思ってリス

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患者の命日

患者の命日

時には折れる事もある

全力でやってできない事を恥じてはいけない。最後の最後まで戦い切ったなら、むしろ、胸を張るべきだ。

そんな風に割り切れたなら、人生もっと簡単だろう。何度辿っても同じ道しか選べなくても、反復して診療内容を噛み締めては血を流す。

いっそ医療をする機械になりたい

存在意義を見詰め直す

存在意義を見詰め直す

あれこれできるようになると見え難くなるが、自分のコアなんなんだろうか。他科に所属する救急医と言う存在は何なんだろうか。僕にとってはIVR修行機会の取得、その他診療ができる疾患層の拡大と言う利点がある。診療科として多少の重症例でも引き受けられると言う利点はある。

ただ、もう一つ、忘れてはならないのは、Safty netだろうと思う。侵襲的処置をする、リスクを常に抱える診療科において、こいつがきれば

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不確実だから医療なのだと思う 

不確実だから医療なのだと思う 

中長期的な予後が厳しいと思いながらも、予後不良と確定できない症例を全力で戦うと言うのは、救急医の独善なのだろうか。予後は無いと確信できない以上、全力を尽くすと言うのは、その人が生き延びたとしてQOL低いと切り捨てるより傲慢ではないと信じて来た。

不確実性の高い診断の中で、最良だと信じる手を打つ。予後予測も診断も基本的には不確実なものだ。治療開始してみて初めて見える景色がある。最初から予測できるこ

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トンネルを抜ける途中

トンネルを抜ける途中

辛い時もある。それは否定しない。人生、辛くないことの方が珍しい。

例えば手技の話。合併症が起こってしまえば辛い。本人の方が辛いと分かっていても、やっぱり手技をしている当人も辛い。善意が凶器になる世界だからこそ手が震えることもある。

例えば会議の話。切迫した中で締め切りが迫るのは辛い。ケアに注力したいし集中したいのだ。でも、理想を叶える為には打つべき布石を間違えてはならない。無駄な投資ほど首を絞

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正直しんどい時もある

正直しんどい時もある

大義名分を重ねて、使命感で支えて、矮小な自尊心で取り繕う。
そうやって理想の主治医像を固めて走り続けてきたと思う。
それでも時折、しんどくなるし立てなくなる。
人間だから仕方ないと知ってはいるけど絶望する。
やっぱり僕は凡人で、コミックのヒーローのように生きられはしない。
歳を重ねて来て、直面し、痛感した現実の群れに心安らかにはいられない。

かと言って逃げ出すこともできない。
現実的に難しいが、

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誠意とか全力とか、難しい

誠意とか全力とか、難しい

気付けば春がそこにある。

ちゃんと病院の外に出ている。家に帰ってもいるし軽くドライブに出たりもしている。でも、春が来たと実感する瞬間は少ない。時々、ふと気付いた時、季節の去り際に季節の移ろいを自覚する。

日々葛藤の連続だ。手を抜かず全力で向かっても、時として結果が付いてこない事はある。それは理解していても、やはり結果が出ない日々は辛い。自分より辛い当人を思うと、胸が詰まる。

サラリーマンとし

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ResponsibilityとObligation の間

ResponsibilityとObligation の間

正しい事を突き通すのは意外に難しい。

今年から大学院に通い始めた。週一回平日に通学、単位を稼ぎつつ研究を進める。自分が興味を持って意味があると思えるテーマをやれるのが有り難く、また、その副産物的な副科目で縁が広がっていくと言う構図も面白いなぁと感じている。

ただ、そうなれば、病院から離れることになって、どうしても診療密度は落ちる。それが直ちに質低下となるような臨床はしていないつもりだけど、それ

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