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医学の話

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自責を自責

唐突ではあるけどさ…

正しい診断を即座に下せず、患者が苦しむ時間が長引いた場合、そこで仕方無かったと言えるのか、タラレバであっても自分を責めるのか、医者の生き方を決めるのってそう言う性格なのかなって思うんだ。

その意味で俺は本来的には医者に向かない性格なのかも知れない。イマイチな経過となった場合、これが不可避であったと理解していても受け入れられない。10年近くも医者やってて、そりゃないだろうっ

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不確実だから医療なのだと思う 

不確実だから医療なのだと思う 

中長期的な予後が厳しいと思いながらも、予後不良と確定できない症例を全力で戦うと言うのは、救急医の独善なのだろうか。予後は無いと確信できない以上、全力を尽くすと言うのは、その人が生き延びたとしてQOL低いと切り捨てるより傲慢ではないと信じて来た。

不確実性の高い診断の中で、最良だと信じる手を打つ。予後予測も診断も基本的には不確実なものだ。治療開始してみて初めて見える景色がある。最初から予測できるこ

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辿り着く為の壁

僕はまだ若い。
しかしながら、1年前に比べれば体力は落ちて行き、救急医としての全盛期は過ぎていく。
間も無く33歳、自分の目指す所を考える。

先日、とある人から言われた。
自分と同じかそれ以上のレベルの人と切磋琢磨する機会があれば、もっと伸びるのにね、と。
知らぬ間に見て見ぬふりをしていた自分自身に再度認識を迫って来たな、と言う感覚だ。
それは間違いなく正しいと思う。
若い内に自分が一番の組織で

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備忘録:勝算の掴み方

備忘録:勝算の掴み方

現在の売り上げならは赤字になる事はありません、ちゃんとペイできます。
これが最初のプレゼンテーションであったが、次の手はどれくらいの付加価値とか黒字を出せるかって話だと思っている。
当院のキャパであれば安全にできる買い物です、と言うことは十分に示したが、その機械によって得ることができる利益はなんぞや、と言う話題が次なるテーマである。
つまり、収益を上げるだけの力がなければ、新規の買い物をしてちゃん

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勤労自体が存在証明

勤労自体が存在証明

業績を上げないとクビになるわけじゃないけれど、自分の存在価値を示すことは必要だと思う。
誰から見ても分かり易い必要不可欠な存在ではない雑兵故に戦果を示さねばならない。
これは自分自身の利益になる事はもちろん、自分の師匠や上司への恩返しだと思う。
特に僕のようなイレギュラーバウンドに理解を示し放牧してくれた上司の評価を上げることになるのだと思う。
別に上司の為に働いてる訳ではないけど、努力した結果で

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多分、僕は疲弊している。その自覚はあるけれど、今は立ち止まれない。自分の限界が患者の予後規定因子であってはならない。歯を食いしばって切り抜けることが間違っていることは百も承知だが、それでしか救えない事もある。

最初の大きな一歩

最初の大きな一歩

Hybrid ER system導入に向けて一歩踏み出します。

運用をどうするか、どれくらいの稼働数を目指すか、何年でペイできるのか、などなど。考える事が多く、なかなか一筋縄では行きません。一時は三次救急でも無い当院で必要なのかとか諸々考えましたが、運営の方法を考える事で解決できる話題が多いようです。

自分自身が能動的に関係するはじめての高額医療機器であり、病院の存在自体を左右する機器です。無

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全力を費やさない理由など無いだろうに

僕は幸運な生き物だ。

口惜しいが生まれた環境は恵まれていた。毎日生きると言う事自体の苦労は味わった事がない。のうのうとドラ息子らしく生きて来て、その延長線上にしか今は無い。ハングリーに生きているつもりだが、言わば、イミテーションワイルドだ。

とある人から、そこまで臨床に打ち込めるのは何故かと問われた。僕のスタンスとしては、逆に、どうして打ち込めないのが普通なのか、と言う形なので、若干答えに窮し

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ぐるっと巡って原点回帰

ぐるっと巡って原点回帰

そこそこ全力疾走で生きて来たと思う。自分が生きて来て、キャリアの積み方とか教育のされ方とか、特に気にせず今に至る。

正直、今の職場は居心地が良い。新しい技を授かり、それでいて自分の思う臨床を、ある程度できる。こう言う環境で働けるのは、上司の理解があるからだろうと心から思う。

だからこそ、うちのボスが求めるものを恩返しとして何とかしたい。ソフトとハードと取り揃えて、最善の環境で仕事ができるように

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あ、ちょっと疲れたのかな?

あ、ちょっと疲れたのかな?

24時間365日、戦うつもりで生きている。

それでもスペックが思うように上がらないとか、体力面で厳しいとか、そう言う事は少なくない。時には、酒の一つも煽りたい気持ちの時もある。心身の不調と言うのを自覚する時、少し自分が疲れているんだなと判断する。この判断ができるようになった分だけ、昔と比べれば僕も大人になったと思う。

そう言う自分自身のメンタルがあるので、僕が苦手と思っているのは若者の教育だ。

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僕は何処に向かうのだろう

僕は何処に向かうのだろう

人生において大きな不安はない。どうしたってなるようにしかならない。だから、漠然とした不安を感じるだけ無駄だ。ただ、抗えない宿命と言うのがあるなら、それくらいは知っておきたいと思う。

救急と言う道を選び、タナボタ的にサブスペシャリティとなる手技を身につけ、今は一番習熟度を高める時期と思う。平たく言えば、毎日やる事もあり、楽しい。自分自身ができることが増えた実感も多い。じゃあ、それで良いのか、それだ

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ここは今、何合目?

ここは今、何合目?

長い長い道の中、全力疾走もあれば持久走もあるが、今日はちょっと足に来ている。朝方呼ばれて緊急処置だったから、単純に寝不足と言うことだ。

ただ、メンタリティーとしては、まだまだやれるとも感じている。処置が上手くいき、迅速に事が進んだ、そんな些細な事が、僕には未だ原動力になる。

師匠だったらもっと迅速にやっただろうけど、無駄な作業がほぼ無かったと言う意味で、僕にとっては良い治療だったと思う。少なく

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匍匐前進でも前進は前進

匍匐前進でも前進は前進

気が付けば真夏日のような毎日。確かに季節は変わっている。

思えばゴールデンウィークに入る直前の勅命から日々自転車操業で戦ってきた気がする。ここのところ自分自身のスペックが落ちてきた自覚はしているが、疲労困憊と言うのはあながち間違っていないのだろう。

臨床医としては、多少疲れてはいるけれど、平時とは変わらないスペックで戦えていると思う。IVRの手技的な部分はexpertには程遠いけど、novic

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玄関で人が倒れています。

玄関で人が倒れています。

この設定でオリエンテーションしたのが2月前。同じスタートで異なるシナリオ、異なる側面でのフィードバックをして、諸々学びを抽出できたかと思います。

1.BLS
 先ずはシンプルな心肺停止シナリオ。これができるなら次のステップ…だけど、まぁ、なかなかできないことが多い。Call for helpの方法とか、先ず身体で困ってもらって院内急変サービスの呼び方などを学習してもらう。冷や汗を伴う記憶は、やっ

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