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【春弦サビ小説】エピローグつくりました

【春弦サビ小説】エピローグつくりました

空も海も花も ーエピローグー (300文字)

「笑ってもいいの?」
うん、いいよ。
「泣いてもいいの?」
ああ。いいさ。……ふふ、なんて表情なんだい?
「だって〜」
いいよ。いいのさ。それでいいんだよ。

ーーそして二人は、笑いながら泣きながら、黙ったままたたずみました。ここでは、山も空も海も花もみんなまるでやさしくほほえんでいるようです。

「ねぇ、きれいだね」
うんうん。きれいだ。……きれい

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童話のはじめの方少し

星空そうじ屋さんわたしは星空そうじ屋さん。天空の星屑や塵を、そうじして綺麗にするの。

星は磨いて光らせて、暗黒は真空掃除機で吸うのよ。銀河はブラシで整えて、青い星には水やりもするの。

……続きはこちらへ。

以前、下書きのままあったものに追記しました。
ありがとうございました。

春ギター

俺はミュージシャン。ボーカル担当。美しい青春は音楽活動に捧げた。老いてもなお新宿のクラブで音楽担当をしてきた。

先日、大切な友人が亡くなった。彼は腕の良いギター弾きだった。

彼の遺品として、『春ギター』を受け取った。

冷たい冬の季節が、熱い夏に向かう季節、春。そんな春のように、人生の冷たい冬の時期から熱い夏の時期に、彼が使ってきたものだった。

「縁起物だな、あいつらしいよ……」

こいつを

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エイプリル・ループ

#ショートショート

エイプリル・ループ四月馬鹿と云うのは悪しき習慣で有る。

「ところで今日は何日だい?」

「四月一日じゃ」

嘘。

ごみだめのメッセージ

#ショートショート

ごみだめのメッセージごみだめの中から這い出る。
わたしの朝がはじまる。

スマホのメッセージ。
いつもどおりの返信。

このごみだめから逃れたい。
ほんのひとつの夢はメッセージにも出来ない。

ごみだめの中へ戻る。
わたしは夢にうなされる。

パー明日

#ショートショート

パー明日ジャンケンポン! パーとパー。

そのままパーをヒラヒラ、ヒラヒラ。

また明日ね!

ノートくんの物語

プロローグ、ノートくん編あるところにノートがいました。

『ぼく、ノートくん』

文具屋さんで平積み、上から三冊目にいました。

だれかが一番上を手に取り、ノートくんは上から二冊目になりました。

そしてまた一番上を取り、ノートくんはいよいよ一番上になりました。

『ワクワク』

一人のお客さんがノートくんを手に取りました。

……しかし、そのままもとに戻しました。

また一人のお客さんがノートく

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#宇宙SF 儚い欠片

儚い欠片私達は何処まで行くのだろうか。この宇宙船に乗って。星星はその生涯を永きに渡り己を燃やし尽くす。我々人間もその命を燃え尽きるまで生きる使命があるというのなら。何故、この宇宙に儚い命を。短すぎる時間を与えられたのだろうか。

星は次第に遠のいて行く。過去の思いも次第に遠のいて行くはずなのに。今でも鮮明に蘇る記憶の欠片に映る君の笑顔を。私は一生忘れないだろう。

この儚い時間の片隅に。永遠の宇宙

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途中から嘘〜ポンコツ〜

背中がいたい。疲れているのだろうか。こんなポンコツ私めが。

そうさ。私はボロット。ヨレヨレの上着がほつれている。

そうか。背中が壊れてきたんだな。猫背型ボロットだからしかたないね。

倒れ込んだ雨の日の、踏まれた背中に沁み込んだ。あれは涙というものか。あれが涙というものか。

いや、違う。何故ならば、私はポンコツだから。涙なんて難しいものは知らない。

それより見てみなよ。踏んでもらったおかげ

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途中から嘘〜ギリギリ〜

今朝はギリギリに起きた。
  ……ギリギリセーフの時間に。
昨日あんなに早く行くと誓ったのに。
  ……出勤。

仕方なくカフェインレスコーヒーをパパッと飲み、
  ……とここは外せない。
チャッチャと支度を済ませ、
  ……られたら毎朝遅刻はしない。
急いでゴミ出しをし、
  ……こういうときに限って出し忘れない。
ノソノソ早足のつもりで駅へ向かった。
  ……あくまでもつもりでだ。

駅に着く

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最高の日 ショートショート

今日は最高の日だった。何が最高かというと、頭から卵は降ってくるし、水たまりにはまって足が泥べちゃになるし、色鉛筆はぶちまけて派手な色と音を教室に響かせてしまったからだ。まったく、最高に面白い。私はこういうハプニングが大好きなんだ。
頭から降ってきた卵はナイスキャッチしてもとに戻したし、泥べちゃを水道で洗うと夏の水は気持ちがいいし、色鉛筆を拾っていたら君が一緒に拾ってくれたんだ。
人生あざなえるなわ

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おおきなそらが やさしくなったわけ

おおきなそらが やさしくなったわけ

むかしむかし あるところに

おおきなそらが ありました。

おおきなそらには とっても じしんが ありました。

「わたしは あめも ゆきも にじも つくれるんだよ。わっはっは。わたしが いちばん すごいんだ」

そらにはなんでも できるんだ って

いつも おたかくとまっていました。

あるおかに

うさぎさんがいました。

うさぎさんは そらをながめて

おもいました。

「ぼくは にんじん

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貧乏な彼にはしかし夢があった。ある日彼は大金を手に入れた。彼は夢を買ってみた。その手に掬うと夢は現実になった。ところが彼はたいそう落胆した。なにかがちがった。空っぽの手。見つめていた手に小さな光がともった。それは愛する人の温かな涙であった。やっとみつけた。さて彼は何をみつけたか。

何時間眠ってないんだ?
ざっと二日さ。
大丈夫か?
その前に二日眠っておいたさ。