オガワヒカリ
note創作大賞2024/お仕事小説部門/バンビィガール置き場
note創作大賞2024/恋愛小説部門/恋愛小説、書けません。置き場
オガワの日記。
エッセイだったりナイショ話だったり。小説の裏話もあるかも。
オガワの小説をまとめています。
おはこんばんちは、オガワヒカリです。 本日、『バンビィガール』最終回をアップいたしました! 14万文字ギリギリという綱渡り文字数でしたが(笑)終わることが出来て嬉し…
終わりが来ることを考えていたら、集中できなくなる。 それからの私は任期のことを考えず、目の前にある仕事をきっちりとこなすことに重点を置いた。 2月号のバレン…
「僕が淋しくないって言うと思う?」 悲しそうに、でも微笑みながら沢渡さんが言う。 私が頭を振ると、沢渡さんは私の頭をぽんぽんと優しく叩く。 「帰ろう。できるこ…
クリスマスはおうちで過ごし――とは言ってもケーキとチキンぐらいしか用意していないささやかなものだけれど――誕生日祝いとクリスマスプレゼントを兼ねたお祝いをお父…
「あら、きれいねえ」 「何かの撮影かしら」 うどん屋さんで美味しいきつねうどんをいただいて、すぐにスタジオへ戻り着付けし直し、東大寺へ向かった。 ベージュ地の…
治すのに3日かかったけれど、撮影には間に合った。 風邪の間は気合い入れなおし! と食べ物取材のイラストを仕上げ、バンビィガールの連載記事を仕上げ、とにかく余…
季節はあっという間に過ぎてゆく。 月2回の食べ物連載にも慣れて、表紙撮影などもこなしていると、12月が来ていた。 1月号は12月25日に発売されるので、巻頭…
「おめでとう!」 「おめでとー菅原!」 「お幸せにね!!」 沢山の人々の祝福の言葉を受ける一組のカップルが、色取り取りのフラワーシャワーを浴びる。幸せそうに微笑…
気が付けばお互いに外せない用事がない限り、土日を利用して絢乃が耀介の自宅にやって来る。バスルームには、女性物のシャンプーにコンディショナー、そして絢乃愛用のク…
風邪は忘却の彼方へ。耀介はダークグリーンのスーツを身に纏い文華社へ向かう。 使い込んだ皮の鞄には、ちゃんと出来上がったプロットが入っていた。 あれから耀介…
絢乃のお泊り看病から3日後のこと。絢乃から電話が掛かって来た。 『具合、落ち着いた?』 「ああ。お陰様で。絢乃様に感謝している」 『絢乃で結構。それで用件は?』…
絢乃が笑うと、俺の心は満たされる。 絢乃が怒ると、正直辛い。 どうしてそう思うのだろうか。耀介は悩んでいた。 昨日の帰り際の抱擁は、一体何だったのだろうか…
耀介が目を覚ますと、南向きのバルコニーのガラス戸から燦々と太陽が降り注いでいた。気がつくと、ガラス戸が開け放たれ、髪の毛を一つに纏めたジャージ姿の女性。 「耀…
『大丈夫、そばにいるから』 『私はここにいるから、耀介の隣に』 『怖くない、怖くない』 『一人じゃないわよ』 『汗が凄いわね。拭いてあげるから』 『明日になったら、…
耀介は食べ終わると医者に処方された薬を飲み、ベッドへ潜った。 その間、絢乃はキッチンの後片付けをしていた。 絢乃が用事を済ませ耀介の寝室へ入り、今度は寝間着…
2024年6月12日 21:07
おはこんばんちは、オガワヒカリです。本日、『バンビィガール』最終回をアップいたしました!14万文字ギリギリという綱渡り文字数でしたが(笑)終わることが出来て嬉しい気持ちと淋しい気持ち、両方あります。オープニング→エンディング→その他の章という順番で書いたので、14万文字リミットが怖くて怖くて……(震)。最後の方は電卓叩きながら書いていました。マジです。この物語は私の経験が基になっています
2024年6月12日 14:35
終わりが来ることを考えていたら、集中できなくなる。 それからの私は任期のことを考えず、目の前にある仕事をきっちりとこなすことに重点を置いた。 2月号のバレンタイン特集では県内の美味しいチョコレート屋さんを巡る旅に出たり、3月号では県内のショッピングモールを攻略するという、ちょっと変わった特集で営業中のイオンモールの中で表紙撮影をしたり。 そして4月号。春を呼ぶスイーツ特集は――シュークリー
2024年6月11日 23:23
「僕が淋しくないって言うと思う?」 悲しそうに、でも微笑みながら沢渡さんが言う。 私が頭を振ると、沢渡さんは私の頭をぽんぽんと優しく叩く。「帰ろう。できることなら帰りがてらメシに付き合ってくれる?」「え?」「マクドナルドで大人買いするよ」 え、マクドで大人買い?「ど、どれだけ食べるつもりなんですか?」「え、だってビッグマックにポテトにナゲットにデザートにアップルパイ」「私は無理で
2024年6月10日 22:33
クリスマスはおうちで過ごし――とは言ってもケーキとチキンぐらいしか用意していないささやかなものだけれど――誕生日祝いとクリスマスプレゼントを兼ねたお祝いをお父さんから貰い、それなりに満足したクリスマス。 一昨日から「地獄の忘年会ラッシュ」を過ごしている。一日目はバスケットサークルの忘年会。アキヒロもいたけれど、無視されたりすることなくいつも通りの口悪で、色んなお酒を飲みながらワイワイ過ごし、
2024年6月9日 15:12
「あら、きれいねえ」「何かの撮影かしら」 うどん屋さんで美味しいきつねうどんをいただいて、すぐにスタジオへ戻り着付けし直し、東大寺へ向かった。 ベージュ地の振袖は本当に可愛くて「今は重ね襟にもフリルなどつけたりするんですよ」と石田さんから教えてもらい、イマドキの振袖事情に少々詳しくなったり。髪飾りはうんとゴージャスにゴールドの大きなリボン。 一人ではすってんころりんこけてしまいそうなので
2024年6月8日 12:15
治すのに3日かかったけれど、撮影には間に合った。 風邪の間は気合い入れなおし! と食べ物取材のイラストを仕上げ、バンビィガールの連載記事を仕上げ、とにかく余計なことを考えないようにした。 もしかしたらこれからアキヒロとは普通の関係には戻れないかもしれない。そんな不安を抱えすぎないよう、自分にできることをこなす。当たり前だけれど、それがアキヒロへの恩返しでもあると思ったから。【20XX/1
2024年6月6日 18:34
季節はあっという間に過ぎてゆく。 月2回の食べ物連載にも慣れて、表紙撮影などもこなしていると、12月が来ていた。 1月号は12月25日に発売されるので、巻頭特集は冬遊び、そして――。「え!それって」「そうやねん、向こうから是非って」「わあ、めちゃくちゃ嬉しい!」 矢田さんの言葉に私の表情筋が緩む。 なんでも、バンビィを見てくださった老舗呉服店の方が「良ければ是非うちの着物を衣装とし
2024年6月5日 12:15
『恋愛小説、書けません。』無事最終回を迎えました!読んでくださった全ての方にありがとうございます♡を。オガワの作品の中で1番のハッピーエンドになったと思っています。バンビィガールも終盤に向けてラストスパートかけているので、こちらもお楽しみいただけると嬉しいです😊
2024年6月5日 11:05
「おめでとう!」「おめでとー菅原!」「お幸せにね!!」 沢山の人々の祝福の言葉を受ける一組のカップルが、色取り取りのフラワーシャワーを浴びる。幸せそうに微笑む新郎新婦は、今日この場にいる誰よりも輝いていた。 ――菅原、と言っても耀介ではなく、今日は侑介と絵里奈の結婚式だった。 晴れ渡った空には雲一つなく、そして春の陽気。チャペルに咲いている色取り取りの花々。この世の全てが二人を祝福して
2024年6月4日 16:53
気が付けばお互いに外せない用事がない限り、土日を利用して絢乃が耀介の自宅にやって来る。バスルームには、女性物のシャンプーにコンディショナー、そして絢乃愛用のクレンジングクリームに基礎化粧品一式。 クローゼットにはレディースのルームウェア。そして何故かワンピースが数枚。 全て、耀介が恥ずかしがりながらも自分で購入したものだ。ワンピースは耀介が絢乃に着て貰いたいと思って購入したもので、それを渡す
2024年6月3日 12:01
風邪は忘却の彼方へ。耀介はダークグリーンのスーツを身に纏い文華社へ向かう。 使い込んだ皮の鞄には、ちゃんと出来上がったプロットが入っていた。 あれから耀介は巻き返すが如く、恋愛小説に取り組んだ。女性心理も男性心理も、結局は「同じところに行き着く」部分があると実感したからこそ、もう迷うことはなかった。 大切なものがそばにあるからこそ、耀介は「書くこと」を捨てずにいられた。「どうでしょう
2024年6月3日 11:51
絢乃のお泊り看病から3日後のこと。絢乃から電話が掛かって来た。『具合、落ち着いた?』「ああ。お陰様で。絢乃様に感謝している」『絢乃で結構。それで用件は?』「お前の……これは何だ、小さい白いボトルが洗面台に置きっぱなしだったんだ」『あ、それクレンジングクリーム!』「電話で大声を出すな……」『ごめんごめん、じゃあ会社帰りにそっち寄るから』「ああ、待っている」 たまには絢乃を持て
2024年6月2日 21:01
絢乃が笑うと、俺の心は満たされる。 絢乃が怒ると、正直辛い。 どうしてそう思うのだろうか。耀介は悩んでいた。 昨日の帰り際の抱擁は、一体何だったのだろうか。 耀介も絢乃も、子供ではない。大人だ。 しかし絢乃の抱擁は、まるで幼き頃に守ってくれていた絢乃の優しさ、そのもののように耀介は感じていた。 とりあえずは安静に。絢乃の忠告を守って耀介はベッドに潜り込む。 ――夢を見た。幼い頃
2024年6月2日 09:57
耀介が目を覚ますと、南向きのバルコニーのガラス戸から燦々と太陽が降り注いでいた。気がつくと、ガラス戸が開け放たれ、髪の毛を一つに纏めたジャージ姿の女性。「耀介、起きたの?」「……ああ……」 どうにか普通に返答したが、耀介の心の中で鼓動が高鳴るような気がした。熱のせいだな、と勝手な回答を頭の中に浮かべる。 笑顔が眩しく見えるのは、気のせいだろうか。絢乃の笑顔は、何故か耀介の視線を絢乃では
2024年6月2日 09:52
『大丈夫、そばにいるから』『私はここにいるから、耀介の隣に』『怖くない、怖くない』『一人じゃないわよ』『汗が凄いわね。拭いてあげるから』『明日になったら、元気になるからね』 声すらも知らない母のような言葉が聞こえたような気がした。 それは幻聴だったのか、現実だったのか。 ――気が付けば、既に外は明るかった。「ん……」 ライトグリーンの遮光カーテンの隙間から入る陽射しで、
2024年6月1日 17:04
耀介は食べ終わると医者に処方された薬を飲み、ベッドへ潜った。 その間、絢乃はキッチンの後片付けをしていた。 絢乃が用事を済ませ耀介の寝室へ入り、今度は寝間着を着替えさせる為に耀介の汗をかいた肌を拭いたりしていた。逐一「申し訳ない」とうわ言のような耀介の謝罪を「いいのいいの」と軽くあしらう。 弱っている幼馴染から頼られるのは嬉しい、耀介なら尚更。そんな思いで絢乃はかいがいしく世話をしていた。