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【短編小説】ハレルヤが聴こえる夜(2)
📚一昨年書いた、『ハレルヤが聴こえる夜』の続編になりますが、そちらを既読でなくても大丈夫だと思います。ストーリィは架空です。
♪🎶
新宿駅を出たところにライオンがいるというので、私は東口を出てからずいぶんうろうろと探し回った。どうやら逆方向に歩いてしまったらしく、南口の方へ行ってまた引き返そうとしたときにスマホが「ブーン、ブーン」と唸り声をあげた。
ハラダからだった。
「ヨネダーっ、遭
【短編小説】ハレルヤが聴こえる夜
※このお話はフィクションです。写真はイメージで、本文とは関係ありません。
◆ライブハウスの悲劇
ライティングは百花繚乱、色が目まぐるしく背伸びしては縮んでいく作業を繰り返す。もうラストナンバーだ。花火大会と同じ。最後にいちばん派手にするの。
ピアノの音がどんどん圧力を上げて、空気をぎゅっと握りしめていく。ステージの上の人は枯れた声をこれでもかとばかりにぎゅっと絞り出す。
「この曲にはスポッ
【短編小説をひとひら】カサブランカ
※こちらは人の死をテーマに書いています。気になる方は閲覧をお控えください。
萌世(もえよ)から最後のLINEが来たのは3日前のことだった。
あ、順番がさかさまだけど、彼女とは、その前に会って食事をしていた。そのときのことからはじめたほうがいいかな。
彼女は仕事で悩んでいるみたいで、「もう、辞めようかな」とうつむいていた。そのときはもうとっくに彼氏とも別れていた。いろいろなことに疲れてい
【短編小説をひとひら】理系男子による恋愛講座
夜の10時、児童公園で僕はまたマナミと話していた。指定席はブランコだ。3つ並んでいるブランコのうちの2つがまた、人力でゆっくりと振り子運動をはじめる。
「私もう、これ以上は無理かも……」
最近、マナミはどんどんThe Endの方向に向かっているようだ。誤解しないでもらいたい。僕とじゃない。ユウスケとのことだ。僕はそれを聞いているだけ。
ブランコは互い違いにゆれている。キシ、キシと音を立