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342.物事ってね、複雑なものほど単純(シンプル)に、簡単なものほど深く考えるんだよ!

~誰も知らない~イタリアントマト物語(3)

※今回もnote記事11か月記念特別記念号として「~誰も知らない~イタリアントマト物語」の特集号とさせていただきました。ついでに、coucouさんの表紙のデザインも新装開店となりました。(約80作品ごとに色替えしています)
coucouさんの「YES short story」作品ナンバー340、341、342、343の4回読み切り連載となります。どこから読んでもいいように要約してみました。ぜひお読みくださいね。

1.はじめに言葉ありき

イタリアントマトオリジナルマーク©NPО japan copyright association 


 
ネーミングやデザインが決定した「イタリアントマト」

しかし、イタリアントマトが実際、どのように出発して成功したのかは誰も知らない。
あれから数十年経った今、誰も傷つけずに話せる時が来たような気がする。


そこに居たのは、お金も地位も名誉も学歴ない若者たち。

あるのは夢と情熱だけ。

これからお話する内容は、色褪せずに現代の不況下の中でも充分に通用する内容だと思う。

これから独立する人、起業する人、現在事業を営んでいる人、現在の事業に取り入れたいと考えている人、また、何等かの組織拡大を図りたい人、医療や介護の現場の人、行政関係やボランティアの人達、アイデア事業を考えている人達、何か小さな事業を始める人達にもお役に立つと信じている。

coucouさんは最終的にこれらの経験と体験を利用し成功し、失敗もした。
失敗したため、さらにこの方法に自信も持っようになった。
また、失敗後もこの考え方と発想はいまだに実践をし続けている。


 
私は唖然とした。
 
それは、ネーミングやデザイン、イメージを数か月かけて完成させ、これから船出だというのに資金が一銭もないことだった。
彼はあいかわらず夢ばかり語り続けている。

しかし、その夢はかなりの現実性を帯びている夢でもあり、本当の夢なのか、現実なのかの区別がわからなくなるほどだった。

この頃の彼はcoucouさんに会うたびに、
「いいデザインだ…」
「これは必ず、世界に通用する…」
「日本中で展開したら世界制覇を目指す…」というように、
日々このマークを見つめながら語る。

当時の彼の仕事は、六本木に雀荘と焼肉屋、飯倉にライブハウスを経営していた。しかし、それはトマトとはまったく似つかない汚い小さな店だった。また、それらの店はほとんど二束三文で手に入れた居ぬきの店舗で場末の目立たない場所での営業だった。
 
ある日、coucouさんは彼にこう質問した。

「これからどうするのですか?トマトをどう始めますか?」

「ついに来たか…。今の俺は一文無し、店はあるが儲かっていないし、一銭も金などない。ウフフ…」

「しかし、これからトマトはオープンするのですよね・・」

「いいかい、俺は毎日このデザインをまるでイエス像のように壁に貼り付けながら考え、創造し続けている。そこで考えた。俺は一店舗だけで考えていない。あくまでも全国展開だ。そのためには金がいる。それも数億円、数十億円必要になる。俺は想う、これだけ優れたデザインとネーミングだ、これだけあれば資本家だって投資家だってきっと参加するはずだ。「はじめに言葉ありき」と聖書にあるように、最初の《イタリアントマト》というネーミングと《デザインマーク》から次々とアイデアが浮かんでくる。無限にだ。今の俺には金はないが、これが金に見えている」

「投資家ですか?」

「そうだ、アイデアがしっかりしていれば投資家は必ずお金を惜しまない。」

「これから探すのですか?」

「そうだ、ただ投資してもらえば嬉しいが、経営や内容にまで口をだされては困る。俺のやりたいようにするのが条件だ」

「どのような投資家を探すのですか?」

「ハハハ。大手に売り込めば簡単だよ…。しかし、大手は信用できない。やがてメリットを感じれば投資している以上簡単に乗っ取ることも可能だ。多額のお金を出せば口をはさむ、経営に口出す、結果そうなってしまう。」

「大手の投資家以外にどのように考えるのですか?」

「俺には金も名誉も地位もないが、俺には唯一の財産がある」

「どんな財産ですか?」
 
「それはな、人財という財産だ・・」


イタリアントマト六本木店(元焼き肉屋栄光苑あと)©NPО japan copyright association Hiroaki


イタリアントマト六本木店©NPО japan copyright association Hiroaki

 

イタリアントマト六本木店店内©NPО japan copyright association Hiroaki
イタリアントマト六本木店店内©NPО japan copyright association Hiroaki


2.俺には唯一の財産がある


 
「俺は北海道から集団就職で東京に来て、水商売で働いてきた。
掃除のアルバイト、現場の作業員、警備会社、皿洗い、ドアボーイ、営業、雀荘、焼肉屋と様々な仕事をしてきた。
学歴や能力がないため差別され馬鹿にされ、下に見られ、いつの日か見返してやりたいとも考えてきた。ゴルフ場でのバイト中にトラブルが起こり片目も潰され、見えない…。
しかし、俺には俺と同じような仲間がいる。
暗く薄汚れた場末で働いている希望のない仲間たちだ。
彼らもいつか何かをして見返してやりたいというギラギラしている者たちだ。こいつらにトマトの現場(各店の責任者)を任せようと考えている。
現在六本木、青山で働いている友人達だ。
決して日の目を見ないが、一流のケーキを作る友人、一流の料理を作る友人、ボーイ仲間、店長候補たちだ。このメンバーに一斉に声をかけている。体制が整えばいつでも集まってくれる。

さらに足りなければその仲間たちがいる。これが俺の財産だ!」

「わかりました、凄い…」
 
coucouさんはこのメンバーが他店で働いている所へ同行し、ひとり一人に語りかける社長の姿を見ていた。
その片手には、よれよれになったトマトのマークとデザイン物を持参し、あまりによれよれになってしまったので新しいものを準備した。

彼らはまるで梁山泊に集まる若き侍にも見えた。

「俺にはもうひとつの財産がある。それは営業経験と営業実績だ。俺はこの日の為、三店舗ある小さな店だが、すべて黒字にしてある。現金などは手元にはないが、この数年はすべて黒字だ。これも長年この日のために準備してきた実績という財産だ。銀行は赤字会社には金は貸さない。黒字の会社だから金を貸すんだ。問題は返済能力にある。」

彼は学問がないとはいうが、様々な現場でかなり学んでいた。

これで人財と黒字実績が揃った。
そして、友人達が中心で会社を設立する。
名前は株式会社グローリー(栄光という意味)。
 
次は資金集め。

「社長、資金はどうやって集めますか?」
「そうだな、実は候補地があるんだ」

「どこですか?」

「君のいる駅前さ・・。八王子駅前を本店、本部として、中央線沿線の立川、国立、国分寺、三鷹、吉祥寺、新宿、渋谷、原宿、池袋、品川、東京と向かいたい。京王線は高幡不動、聖蹟桜ヶ丘、下北沢、新宿、その他沿線。外国は最初にハワイだ…」

 
この後、数年間ですべて実現した。

「八王子は駅前の土地約300坪だ。」

「えっ・・」

coucouさんは驚いた。
なぜなら当時の価格でも数億円するからだ。

「そこでだ、不動産屋にはある程度話してあるが、問題は購入面だ。地元の銀行をその不動産業者に紹介してもらった。トマトの事業内容と今後の出店計画を君に説明してほしい。」

coucouさんは、また驚いた…。

銀行借り入れなどあまり経験はないし、ましてや大きな金額だ。あまりにも大役過ぎて足は震え、悩んだ…。
「この事は君にとって人生の最大の勉強になるはずだ」
「いや、失敗が怖いのです・・」
「失敗などない。しっかりと《私達は愛と夢を創る会社です》として説明してくれるだけでいい」

coucouさんは夜も眠れず悩み続けた。

しかし、銀行借り入れなどあまり縁のないcoucouさん、逆作用が働いたことは知らないから出来た部分もあったのかもしれない。

そこは当時の大手銀行だった。
銀行の会議室に呼ばれ説明会を行うことになった。

イタリアントマト聖蹟桜ヶ丘店©NPО japan copyright association Hiroaki
イタリアントマト聖蹟桜ヶ丘店©NPО japan copyright association Hiroaki
イタリアントマト聖蹟桜ヶ丘店店内©NPО japan copyright association Hiroaki
イタリアントマト聖蹟桜ヶ丘店店内©NPО japan copyright association Hiroaki
イタリアントマト聖蹟桜ヶ丘店店内©NPО japan copyright association Hiroaki


3.担保なんてない


 
生れて、初めての銀行内でのプレゼンテーション。

トマト側は社長に役員全員。
銀行側は融資担当から支店長まで同席した、10数人の席だった。
coucouさんは緊張のあまり、当然、舞い上がっていた。
言葉も説明も、しどろもどろになりかなり慌てたが、作品の著作者はcoucouさん自身なのだから作品説明になってようやくマイペースを取戻し、うまく説明できた。

coucouさんの役割は、事業内容の説明、事業の今後の店舗展開、投下資本に対する収入計画、支出計画、利益計画、返済計画だった。
(これらをすべて作成した。見本参照)

まったくのcoucouさんの会社とは規模は違うが、基本は同じだと考えていた。

そして質疑に入る。

銀行の担当はcoucouさんの作成した企画書案をじっと眺めながら、質問が繰り返される。これからの未来に対する返答はなんとか出来きたが、過去、現在の事となると説明が出来ないため、トマト側の経理担当と交代した。
そこでほとんどの質疑が終わるころ、銀行側はこのような質問をしてきた。

「お話を聞いた内容は十分に理解しました。とても素晴らしい企画だと思います。現在の地元や近隣にはない事業ですし、駅前立地ということでの好条件も理解します。ただひとつだけ質問があります。それは、《保証》です。銀行は融資はしますが、そのための保全としての《保証》が必要になります。その点はどうお考えですか?」

「……」

当たり前のことだったけれど、知識のない、coucouさんも予想していなかった。他のメンバーもこの事には口を閉ざしてしまった。


しばらく沈黙が続く。

すると、社長は堂々と言い返しした。
「私どもの会社を信用できないのですか?」


さらに沈黙…。


「いや、大変失礼を申し上げました。私ども銀行の宿命なのですが、信用というのは物的担保であるとか人的保証を求めざる得ません。決して信用していないわけではありません…」
 
沈黙が続く中、社長が話を切り出した。

「まず、この契約には銀行側にもメリットがある。このトマトは必ず評判になり、やがてはブームを起こすでしょう。私達は現在小さな会社ですが、良いお手本にもなるでしょう。また、私どもは銀行さんを一本とは考えず、複数の取引を考えています。この事業計画での月商売り上げ3000万円の計画に対して、一店舗年間3億6000万円の商いです。日商100万円のお店が現在のこの地域にあるでしょうか?銀行さんは毎日100万円の現金を集金すればかなりの成績と実績が作れるはずです。それに当然ながら、土地の申し込みの融資のお願いです。建築資金(8000万円)は準備しています。また、この土地価格は駅前という好立地に対して実売価格よりもかなり低く、融資の案件としては取はぐれのない、完全に近い融資になるはずです。不動産鑑定士からも調査済みです。そのため十分な補償能力と保全能力がある物件です。まあ、今が買いのチャンスだとも思っていますがいかがでしょうか?」
 
銀行側はそわそわとしだした。

後に聞いた話だが、社長は不動産、建築、銀行融資に関してはかなり独学で勉強していたようだった。また、その知恵を授ける不動産業の友人(人財)の存在があった。
 
「確かに、そうですね。もうひとつ希望があるのですが、それ以外の何か担保とか保証人になられる方はおりませんでしょうか?」

すると、彼は「このお話はやめましょう。個人の担保や保証人など必要のない物件ですよ。これ以外の担保はないし、あったとしても今後の店舗展開に利用する考えですから、他の銀行をあたって見ますから!」
 
互いがしばらく沈黙していましたが、銀行側から口火を切りました。

「社長の情熱にかけて見ます…」

これで融資は決定した。


 
この銀行との大仕事の後、彼と話をした。

「もし、銀行で断られた場合は、他の銀行はあったのですか?」

「ハハハ、他の銀行はみな断ってきた…。金額が大きすぎると判断したようだ。しかし、それでも俺は諦めないよ…。俺は事務屋じゃあない、だから心で話す以外ない。その心が通じただけだ…。この銀行は大したものだ!ハハハ。」

 
これは今から35年前のバブル前の話だ。


イタリアントマト飯倉店(レストラングローリー、ライブハウス後)©NPО japan copyright association Hiroaki


イタリアントマト飯倉店©NPО japan copyright association Hiroaki

 

イタリアントマト飯倉店、初めての地下店舗©NPО japan copyright association Hiroaki

 

イタリアントマト飯倉店©NPО japan copyright association Hiroaki
イタリアントマト飯倉店(スポーツトマト)©NPО japan copyright association Hiroaki
イタリアントマト吉祥寺店©NPО japan copyright association Hiroaki
イタリアントマト吉祥寺店店内©NPО japan copyright association Hiroaki
イタリアントマト吉祥寺店店内ケーキケース©NPО japan copyright association Hiroaki



4.資格なんて必要ない


 
coucouさんは、こうてし、銀行の体質と銀行融資というものを学んでいった。

ある日、彼にこのような事を聞きました。
「社長はどうやって情報を吸収しているのですか?どうして不動産や建築、設計や経営の事を学んできたのですか?」

「俺は、片目出し、目が見えない。もうひとつの目もすぐに疲れてしまう。だから本は読めない。文章だって名前以外は書くのは得意じゃあない。
だが、それでも俺には武器がある。
それは《聞く耳》だ。
そして、現場の言葉しか信じない。信じれない。君にも現場に入ってもらったように、現場を知らない者は机上の空論にすぎない。

これがもし戦争だったとしたらどうだ。
やはり上官の考えよりも情勢を把握している現場の声が正しいだろう。
生きる、生き続けるというのはそういうものだ。」

「不動産や建築の事も聞いただけなのでしょうか?」

そうだ、資格なんて何の役には立たない。
弁護士の資格があれば食えるなんて妄想だよ。
いずれ日本は弁護士だらけの世になると思うが、資格だけでは生きて行けない。現場を知る、お客の声を聞くものだけが弁護士だって生き残るだろう。体験、経験のない医者や弁護士に人間を救えるわけがない。
人の痛みや悲しみのわからない奴がどうして人を救えるのか…。
人の痛みや体験のない奴は人の痛みや体験を聞き、知るべきだ。

俺は不動産屋よりも詳しく勉強している。
それは体験と多くの問題点を聞いているからだ。
銀行も同じ、銀行の問題点など銀行員より俺は勉強してきた。
素直な心になって人の意見を聞き、知るだけでも学べる。
俺はそれを実践してきた。
君も資格に拘らず、不動産、建築、飲食業、経営を学んでみたらどうか、トマトを通して…」
 
coucouさんはその日から、不動産、建築、設計、銀行、会計、宣伝、事業計画、経営計画のすべて学んでいった。

現在のcoucouさんのコンサルの仕事のすべては、この時に学んだものだ。
 
その後のトマトの銀行借り入れはcoucouさんが企画担当となり直接銀行に出向くようになった。実際に店を構える事での信頼性、売り上げ収益を上げたための外部からの評価、評判店、人気店の強みも知っていく。

これは今の世も何も変わってはいない。

©NPО japan copyright association

coucouさんです、みなさん、ごきげんよう!

いやあ~
あと1回で一応終わる「~誰も知らない~イタリアントマト物語」やはり、終わらない、まとめきれない~

あまりにも膨大な出来事とエピソードがいっぱいある、まさに~誰も知らない~ノウハウだね。

どんなにネット、デジタル社会になっても基本は何も変わらない。
表現の変化だけの問題なのに世の中は大変化したと大騒ぎ。

でも、いくらネットで注文したからといって、
まだドローンか配達するまでにはまだまだ時間がかかるよね。

それに、すべての配達は人間が手作業で運んでいるんだよね!

いくらAiだと騒いでも、5月の連休明けには567は数万人のクラスターが起こると専門者会議のメンバーと同じことを言ったけれど、Aiを持ってしてでも当たらない。
もし、日本が、世界中が停電を起こしたら経済のすべては止まってしまい、スマホに依存している者たちは恐怖心に襲われる。

このイタリアントマトは一見アナログの世界の話だけれど、人間の知恵(アイデア)はコンピュータより無限かもね。
だって、考える、創造する、想像する、妄想する、発想や感性は人間の唯一残された五感だからね。
そう簡単にSF映画のような物語にはならないよ。

イタリアントマトの社長、彼はこの五感の優れた人物だと思う。目があまり見えなくともゴルフのスコアは誰にも負けない。飛距離も凄い。若い頃、野球少年だったという。
目の見えない部分、この五感が物凄く鋭く成長し、人の心を見抜く能力もあった。だから、どんな嘘でも簡単に見破ることができる能力があった。

彼はcoucouさんにこう言った。
「物事は複雑なものほど単純(シンプル)に、簡単なものほど深く考える」
ことなんだ、と教えてくれた。

coucouさんはいまだに、物事の見かたや考え方をそのように崩さないようにしている。

だけど、人間は頂点に上り詰め、その心の重圧を感じるようになったとき、本当の人間らしさが現れるのかもしれない。


そう、coucouさんも彼も苦しみ続けていく…。


いやあ~
おさまんない~
どうしよう~

要約文なんだけれど~

では、また、あした~

最終回m(__)m


イタリアントマト吉祥寺店©NPО japan copyright association Hiroaki
イタリアントマト吉祥寺店©NPО japan copyright association Hiroaki
イタリアントマト吉祥寺店©NPО japan copyright association Hiroaki
イタリアントマト吉祥寺店©NPО japan copyright association Hiroaki


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