ニッポンのヒャッカ

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記事

メガネの町・鯖江生まれの「常識外れの」レンズたちーニッポンのヒャッカ第12回ー

「めがねのまち さばえ」というキャッチコピーを掲げ、地域産業としてメガネ製造に取り組む福井県鯖江市。その町で66年以上続くサングラスレンズ専門メーカー・乾レンズのオリジナルサングラスが、発売10年目にして公益財団法人日本デザイン振興会主催の2019年「グッドデザイン賞」を受賞した。
その名は「オールタイムサングラス®」。
開発のきっかけと乾レンズについて、常務の諸井晴彦さんに話をきいた。

発売か

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伝統に「かわいい」をオン!した熊野筆ーニッポンのヒャッカ第11回ー

周囲を山々に囲まれた、人口2万5000人ほどの小さな町、広島県安芸郡熊野町。10人に一人は筆づくりに関わるとされるほどの、国内屈指のブランド筆「熊野筆」の産地だ。

 熊野筆の歴史は江戸時代から。農閑期の仕事として筆づくりを学んだ者が熊野に帰り、その技術を広めたことに始まるという。昭和になると、書道筆づくりの技術を生かして化粧筆なども生産されるようになり、広島県の伝統工芸品にも指定。熊野筆は技術と

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おもてなし文化の残る島・伊是名島が選んだ「自分たちらしさ」ーニッポンのヒャッカ 沖縄編2ー

「うちの商品は、良さを分かってくれる人に買ってもらえればそれでいいんです」

そう語るのは、沖縄の伊是名島で、島の素材を使った商品開発を行う「島の元気研究所」の代表・納戸(のと)義彦さん。はじめ、あまのじゃくにも聞こえたこの発言は、のちに、伊是名島の人々にとって重要な意味を持つ言葉だと知ることになる。

伊是名島は、那覇から車で2時間ほど北上し、本部半島にある「運天港」からフェリーに乗り換え、1時

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開拓者スピリッツと独自のチャンプルー文化で「しまちゃび」を切り開く 絶海の孤島・北大東島の挑戦 ーニッポンのヒャッカ 沖縄編1ー

「しまちゃび」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
沖縄の方言で、意味は「離島苦」という。

適切な治療を受けられない、インフラの料金が高い、住居を構えるのに費用が倍以上かかる、激しい台風、それによって長期間途絶える交通手段……など、離島には、本島に住む者が経験したことのない苦労が数多く存在する。

そんなしまちゃびに挑み続ける離島のひとつに、「北大東島」がある。

(写真提供:北大東村)

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「人がにっこりする」切り絵のある暮らしーニッポンのヒャッカ第10回 ー

「絵を描くことは独学で学びました。モチーフや図形、形態を組み合わせて絵をつくる切り絵は、僕にとって自由に表現しやすい方法でした。個展を開いたことがきっかけになりましたが、まさか仕事にするとは思ってもいませんでした」

 話してくれたのは、切り絵作家であり、イラストレーターとしても活躍するYUYA(ユウヤ)さん。東京・中野区にアトリエ・フォークを構え、鳥や動物、木や花、太陽など、自然や身近な暮らしの

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紙を超えた紙。越前和紙職人ファミリーの手仕事ーニッポンのヒャッカ第9回ー

和紙と聞いて誰もが思い浮かべるのはまずは障子紙や習字紙、千代紙…あと身近にある和紙といえば和室の襖紙くらいだろうか。

 その襖紙。和室なら必ず目にするその丈夫な紙を、1909年から手漉きで作り続けているのが福井県越前市の長田製紙所だ。ここは日本一、和紙の種類が豊富で、手漉き和紙の産地として知られる越前和紙の地。長田製紙所は昭和の初めに先々代が確立した手漉き模様の技術を継承しながら、襖の柄付けを応

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業界の非常識!? 本物を極めるカシミヤニット専門店ーニッポンのヒャッカ第8回ー

「無理だったら前職の旅行業に戻るしかないと思っていました。いろいろやってダメだったけれど、大好きなカシミヤで失敗したら本望と、覚悟を決めました」。

 そう話し出してくれたのは、世界的にも珍しいカシミヤニット専門店、株式会社ユーティーオー(以下UTO)の宇土社長だ。
 ウール、アンゴラ、アルパカ、モヘア、コットン、麻、シルク……。1992年の創業当初はさまざまな素材を扱っていたが、小さな資本での薄

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ヘアブラシは美容アイテムだと知る衝撃  ーニッポンのヒャッカ第7回ー

どこの家庭にも少なくとも1つはあるヘアブラシ。
しかし、毎日何気なく使っているそのブラシが何でできているのか、意識している人はそう多くはないだろう。「ヘアブラシでのブラッシングの仕方ひとつで、髪本来の健康や艶の状態は全く違ってきます。こめかみからグッと頭頂に向かってマッサージするようにブラシを動かしていただくと、お顔の美容にも効果があります」と教えてくれたのは、大正時代から続く老舗ブラシメーカー・

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職人技のコラボで咲いた「Cohana(こはな)」 ーニッポンのヒャッカ第6回ー

67年前、洋裁道具メーカーとして創業して以来、現在も東京・日本橋に本社を置く老舗の手芸道具メーカー。ヘビーユーザーのファンも多い株式会社KAWAGUCHIが3年ほど前に立ちあげたハンドメイドの道具ブランドが「Cohana(こはな)」だ。
 「Cohana」とは、富士山信仰にもゆかりがあり、日本神話に登場する女神「コノハナサクヤヒメ」に由来するという。日本の伝統美を象徴するブランドだけあって、「Co

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江戸切子。“未完成”の流儀とは? ーニッポンのヒャッカ第5回ー

「江戸切子は自由なのです」。
「自分たちが完成した時点では、未完成なのだと思っています」-。
 東京・江戸川区で伝統工芸・江戸切子をつくり続ける三代目。堀口切子の堀口徹さんが紡ぐ言葉は、まるで哲学者のようだと感じた。当たり前を疑問視する気づきを促してくれるような。
 ガラスの表面を削り、美しい文様を施す繊細な江戸切子。江戸時代後期の天保5年(1834)、江戸・大伝馬町のビートロ屋・加賀屋久兵衛が切

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