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あしたの小窓から。

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小窓のむこうに、ちいさな「あした」が見える。 ここでは音楽、教育、投資、霊性などについて、考えたり感じたりしたことをつれづれに綴っています。
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2020年10月の記事一覧

人が人間になるとき。

人が人間になるとき。

居酒屋で飲んだ。何年ぶりだろう。
僕は基本的にお酒を飲まない。
家にもないし、外でも飲む機会はほとんどない。

だから居酒屋に行くことも皆無で、久しぶりすぎて新鮮だった。
もちろん、博多で居酒屋に行くのははじめてだ。

飲んで気づいたのだけれど、居酒屋って人が人間になる場所なんだなと思う。お酒が入って、いろいろゆるんで、話せることも増えて、いつもの立場なんかも溶けて、ようやく人間になる。そんな感じ

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忙しいってこういうことか。

忙しいってこういうことか。

「そうか、忙しいってこういうことか」と、このところよく言っている。
奥さんにも「おれ、いま、忙しいかもしれない」と言って確認したりして。

というのも、僕は「忙しい」からずっと逃げ回っていたからだ。
新入社員だった20代からずっと、要領の良さもあって残業をすることも少なかったし、それを強制されるようなところからはさっさと逃げていた。忙しそうにしている人をみると、きゅっと胸が苦しくなったし、自分も「

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文字数がへってきています。

文字数がへってきています。

書くことがない日、というのがある。

以前からそんな日のことは書いてきたけれど、今度のは新種だ。

書くことがありすぎる。ありすぎて、書くことがない。
というか、言葉が追いつかないのだ。書こうと思っているそばから、新しい面白いことが起こる。書くためにはある程度、時間をかけて咀嚼する必要があるのだけれども、二、三口噛んでいる間に次のごちそうが来てしまう。そうして出来事がとりすぎた回転寿司みたいになっ

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あこがれているのだ。

あこがれているのだ。

最近、一年前に書いたこの記事がよく読まれている。

それに仕事をする上でも「敬意」という言葉をつかうことが多い。

互いに敬意がある人との仕事は、心が通いあう感じがしてぐんぐん進むが、そうでない人との仕事は、どんなに力や実績がある人とでも冷めていくばかり。

人はどんなに弱い立場にあろうと、相手から敬意を払われているかを敏感に察知するものだし、その感覚は初対面のときから変わらない。心地よい方にいこ

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健全な負荷。

健全な負荷。

最近、よく話していることなのだけれど、僕の住む南畑では、お年寄りの姿勢がいい。

今日もお二人、作業着を着て草刈りに行くとのことだったので「行ってらっしゃい」と声をかけたのだけれど、年齢を聞いたらなんと70代後半。でも、背筋はピンとして、戦士のように格好よかった。人生100年時代になって、お年寄りの定義は変わってきているにしても、ちょっとビックリだ。

で、そんな先輩たちの姿を見ながら、これもよく

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しゃべりすぎた夜に。

しゃべりすぎた夜に。

誰かと話をして、あんまり盛り上がったんで、お酒が入ったわけでもないのに、ついつい話しすぎてしまったと反省することがある。

そういうとき、ハッと正気にかえって「なんであんなことを話してしまったんだろう」と思ったり、偉そうなことを言ってしまったなあと自分を責めたりするのだけれど、でも、そのときはきっと、楽しかったのだ。

人がなにをしゃべるかというのは、実は誰にもコントロールできない。
相手とのキャ

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新しいルネサンス。

新しいルネサンス。

いま、南畑美術散歩の作家さんのインタビューを文字起こししている。
その中に「ルネサンスは、ヨーロッパにペストが流行した80年間、活動できなかった作家たちが、ここぞとばかりに集まって、一気に創作しはじめた時代だ」という話があった。

バネが高く跳躍するためには、その前に一度、思いっきり縮む必要がある。そんなふうに、ルネサンスの前には、ペストでヨーロッパの三分の一の人が亡くなる悲劇があったのだ。

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街に行くと、自信がなくなる。

街に行くと、自信がなくなる。

街に行くと、自信がなくなる。
街に行くと、ほんとうにたくさんの店があるからだ。

購買意欲に乏しい僕には、こんなにたくさんの店が、こんなに違うしつらえで営みつづけていることが、奇跡に思えて仕方がない。

だって、なにかを買ってもらうって大変だ。知ってもらって、関心をもってもらって、お財布のひもをゆるめてもらって、そのあとも愛してもらって。しかもたった一人じゃだめで、かなりの人数にそうしてもらわなけ

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いい人というのは。

いい人というのは。

南畑にきてから、名古屋にいた時より一気にたくさんの人に会うようになった。

それで思ったのだけれど「いい人だな」と感じる人は、キャパが大きい。
いいよいいよと言ってくれる。ぜんぜん怒らない。なんなら、いいんですかというところまでしてくれることさえある。なにを話してもよさそうだし、通じる感じがするから安心する。

親切な人でも、無理してそうしている感じの人からはそれを感じない。
やさしい、のだけれど

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解像度がちがう。

解像度がちがう。

今日、久しぶりに歌の先生とオンラインでお話しした。

別に教わっている編曲の先生もそうだけれど、一つ一つ解説を聞いているうちに、ぼんやりと一体になっていたものがきれいに区分けされていく感覚があった。

今日尋ねたのは、歌い方にまつわることだったんだけど、いろんなシンガーの例を挙げてもらって、この人はこういう歌い方、この人はこう、と言葉にしてもらううちに、頭の中の「歌い方」の地図がクリアになっていく

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勤続疲労。

勤続疲労。

じぶんの顔を外側から指でなぞって、ほお骨の下、上あごのつけ根を押すと、ちょっと痛い。「こんなところに痛みがあったか」と驚いてしまう。

お風呂の中で、そのつけ根に指をぐっぐと押し込みながら、ここにも、ここにも、と痛みのありかを探るうちに、ずーっとあごを支えている顎関節のことを「さぞかし疲れるだろうよ」と思った。

人のからだはこんなふうにぜんぜん意識しないところで頑張っている。
心臓も呼吸も細胞分

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