記事一覧
「号泣する準備はできていた」 江國香織
図書館の直木賞コーナーを眺めていて手にした。題名にもインパクトがあって惹かれて。
江國作品は、「冷静と情熱のあいだ Rosso」 辻仁成「冷静と情熱のあいだ Blu」読んで映画を見た。男性と女性のそれぞれの視点で、すれ違いと葛藤が対の長編小説として語られて面白かった。
あくまで個人の感性として、本作品は出口のない日常という感想。女性の感情は、大胆で、繊細で、逡巡する。機微が、雑な男性として届
「かんかん橋の向こう側」 あさのあつこ
あさの作品は、「バッテリー」が最初の出会いだった。若者の起伏の激しい葛藤に共感する。
第一章「十七歳の日付」
石鎚真子は、山陰の温泉地 津雲に住む高3で進路に悩んでる。食堂「ののや」の母子家庭の一人娘だが、父を亡くし母は後妻の奈央さん。鮮魚店の池内夫妻、公務員を退職した野々村さん、写真館の国見さん、看護師長の久本さんと息子の和久くんが織り成す騒がしくも心温まる日常。
育ててくれた奈央さんへ
「4月になれば彼女は」 川村元気
何年か前に読んだ本。4月に映画を観て、再び読み返してみた。「億男」を読んでから一通り読み通した作家。完全な答えのない、悩みに共感する。
突然届いた昔の恋人からの、旅先から届いた手紙で始まる。医学部3年の写真部 副部長 藤代俊(フジ)と文学部の新入生の新入部員 伊予田春(ハル)。二人は出会い、恋に落ち、写真部のOB大島さんの片思いが絡みついて、永遠だと信じた恋は遠い昔に突然に終わった。
現在
「サミュエルソンかフリードマンか」経済の自由をめぐる相克 ニコラス・ワプショット著
久しぶりに経済専門書を手に取った。「複合不況」宮崎義一、「資本主義の自壊」中谷巌の書のように理論経済と実証経済の歪を示唆してくれる。
ポール・サミュエルソンとミルトン・フリードマンは、ともにユダヤ人でシカゴ大学で学んだ。ニューズウィーク誌で永年コラムでの論争を重ねた経済学の巨匠で、ノーベル経済学賞の受賞者。
ハイエクとケインズの時代を経て、保守派でケインジアンとして「経済学」を著したサミュ
「世界でいちばん透きとおった物語」杉井光
題名に惹かれて手にとった。流れるような文章で読みやすい。
推理小説の作家の婚外子 藤阪橙真は校正の仕事をする母と二人暮らし。母を突然なくし、書店バイトで色褪せた日々を過ごしていたら、、、
一度も会ったことのない小説家の父が亡くなった。多くの女性関係があった見知らぬ父への感情はないが、長男と名乗る松方朋晃が現れ、未発表の原稿を探して欲しいと頼まれる。母親の仕事関係の霧子さんが協力してくれて、
「魔女と過ごした7日間」東野圭吾 ラプラスの魔女3
読みやすさと展開のスピード感が、ハリウッド映画のような東野圭吾作品はほぼ読んでいる。
彼の作品に度々登場する、特殊な才能を持つ羽原円華という魔女。元見当たり捜査官という警察官の父が殺害された。中学生の息子の陸真が、同級生の純也と謎めく羽原円華と脇坂刑事で事件を追う。
ゲノム・モンタージュという科学の未来に、マイナカード、ビッグデータの扱いについての問題提起。警察の威信と権威に歪められる事実。
「青瓜不動」宮部みゆき
好きな作家の一人で、時代小説から、杉村三郎シリーズなど幅広い。理不尽、不条理をのみ込んで重たい心情を映しながら、ふっと息をつける感覚が好き。火車、小暮写眞館など。
三島屋変調百物語九之続
語って語り捨て、聞いて聞き捨ての百物語
おちかを引き継いだ、聞き手は三島屋の富次郎
第一話 青瓜不動
お奈津が懸命に一途に生き、枯れた地を青瓜で土を改良して畑にして、荒れ寺の洞泉寺が弱き者に拠り所となる。そ
「くもをさがす」西加奈子
雲を探すだと思い本を手にした。蜘蛛なんだ、あれっと思いながら読み始めた。カナダ バンクーバー湿疹で病院へ。くもに噛まれた虫刺されと診断。気になった胸の痼が乳がんと判明。「まさか私が」病に寄り添い歩む生活が心に沁みる。現地の会話まで軽快な関西弁で綴られ、読み手の沈み込む辛い感情をふわりと支えてくれる。作家ならでは、随所に本、歌詞、ニュースクリップが挟み込まれてアクセントになっている。
私は幼児の
温泉 南アルプス市 天恵泉白根桃源天笑閣
甲府駅から15キロ、30分ほどの山の中の素朴な日帰り温泉。地元のおじいちゃん、おばあちゃんの憩いの場。市外の人はクーポン使って500円。熱湯、普通と水風呂の3種。源泉かけ流しでトロッとした肌触りが心地よい。サウナ代わりに熱湯と水風呂を交互入るのがお勧めとある。肌が生き返る実感。泉質がおすすめ。山を下ると左手に富士山が見送ってくれる。