「くもをさがす」西加奈子
雲を探すだと思い本を手にした。蜘蛛なんだ、あれっと思いながら読み始めた。カナダ バンクーバー湿疹で病院へ。くもに噛まれた虫刺されと診断。気になった胸の痼が乳がんと判明。「まさか私が」病に寄り添い歩む生活が心に沁みる。現地の会話まで軽快な関西弁で綴られ、読み手の沈み込む辛い感情をふわりと支えてくれる。作家ならでは、随所に本、歌詞、ニュースクリップが挟み込まれてアクセントになっている。
私は幼児の頃、盲腸で一泊手術入院の経験しかない健康な身体を親から授かり自身でケアしてきた。