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藍色の空と君と

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小説と詩の混合作。 ブルーアワーを撮る君に惹かれた僕は目を擦り空を仰いだ。綺麗な空が1日に何度も色を変える。 素敵な事実を教えてくれた君に僕は何かを届けたいと思い…
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#日記

日の出が綺麗ね

空想の果て
手の届かない空を想う

君に伝えられない真意は
深夜に置いたまま

今は目の前を見つめよう
希望を胸に朝日を浴びるの

夜が明けるね
新しい年の始まりだよ

ここが私のお気に入りの場所
海が綺麗でさ 静かな波の音が好き

君にだけ打ち明けるの

水平線にオレンジが浮かび
空は滑らかな青に切り替わる

あと少し
あと少しで今年初めての朝

ああ
君の晴れやかな笑顔が昇って嬉しい

二人き

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藍色と君だけ

朝 目を覚ますと光が差すから目を背けたくなる

1日の始まりが朝だって誰が定義付けたの

私にとっては藍色の空が
微かに世界を跨ぐ瞬間に始まるの

皆が目を瞑る頃
世界を切り取って

皆が目を覚ます頃
夜明け前の仄かな暗さを引きずる

長い前髪は何のため?
見つめたいものを選ぶため

君は私の写真を褒めてくれて
君は私にとって暖色そのもの

深海に差す君の笑顔と藍色の空
それだけを視界に入れられた

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騎月雨の詩

夜を彷徨う雨がしずかな時を奏でてくれる

未明にブルーアワーを撮る君も今日は天井を眺め朝を迎えるだろう

年を跨ぐ度 月を跨ぐ度 夜を跨ぐ度
胸に手を当てて鼓動に耳を澄ます

夜に交わすメッセージは
世界を潤す雨のように僕の心を君で満たす

雨は月を隠すね 月が隠れても露わになっても
この想いは不変で雲に覆われた方が君を考える時間は長い

月が変わっても月が変わる直前でも
雨の日は電波を通して君と

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未明の刻に

君は歌う。未明から桟橋で横たわり歌を歌う。

空の色が藍色と紫と黒のグラデーションで曖昧な今に自己投影する。朝が来たら毅然とした青空と太陽が君を炙り出す。

陽が登らない頃にだけ見える世界。不安も高揚も過去も未来も、この刻だけは許容できる。

18時30分になれば星空が跨ぐ、君は誰も星を仰がない時間に自分を見つめる。

君が最も君らしいこの時刻に寝ている僕は、君を理解したそぶりを見

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小説版:未明の刻に

朝の4時。LINEの通知音が鳴った。バイブを消していなかったかと後悔しながら表示された送り主を確認した。

ああ、あの子か。あの子と言っても同級生だ。
変わり者と揶揄されて未明の夜空を撮ることに定評がある女の子。

大体の人は彼女を嗤う。変なやつ。不気味。近づきたくない。

前髪は目にまでかかり、少し青白い不健康そうな肌が目立つ。それにお昼休みはあまり話さず、狂気性を孕んだ純文学を読んでいる。

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ブルーアワーを君に送る

未明の頃合いに私は外に出て桟橋に横たわり写真を撮る

この時間にだけ姿を現す紫と青が入り混じった空、ブルーアワーを瞳とカメラに収めるのが日課だ

私がこの空を撮る理由はまだ私が始まっていないから
陽が登らないこの時間が私に味方してくれるような気がした

私は未熟で未完で未成年で
物語は始まってさえいない

誰か1人、理解者が欲しかった
派手なブランドや飾りのための恋愛、
見栄だけに留まらない人と繋

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ブルーアワーを撮り続けて

君が撮ったブルーアワーが
コンテストで大賞を受賞して
第三者に評価された それは喜ばしい

でも実際のところは

君の辛さや願いが込められた
その写真が誰かに届いたこと

君が早く起きて撮り納め
努力が報われたこと

その背景に僕は心打たれるんだ

君が切り取る世界は
白昼に空を仰ぐことを躊躇う人に
きっと届くだろうね

明るくない空でも
日が出づる前の空でも
夜明けを望む空は綺麗だって

想いは

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ブルーアワーを撮らない日

「今日はブルーアワーん撮る気分じゃない。」

夜明けを待つ時刻に君から届いたメッセージ。

「どうして?」
僕の返信にすかさず答えた。
「わずかな時間に空を占めるブルーアワーの色が好きだったみたい。」
「うん。」
「無理して早起きして仰ぐブルーアワーが好きだったみたい。」
「うん。」
「無理して早起きしてわずかな時間、集中して撮るより好きな習慣ができたみたい。」
「それは何?」

少しの間、と言っ

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