見出し画像

ふとーこーエッセイ【7】笑顔のない惰性の登校

笑顔のない惰性の登校

欠席が続いてからは、もちろん塾にも行けていない。
休むときは必ずメールで知らせることになっていた。今どきはメールだ。

週4日は通っていたから、たて続けの欠席連絡で、暴君はすぐに異変に気づいた。

休み始めて一週間たったころ、
暴君からの電話…

中間テスト初日から休んだこと…
胸の痛みが発端だったこと…
検査では異常はなかったこと…
一週間、欠席が続いていること…
しばらく欠席が続くかもしれないこと…

経緯をこと細かに説明した。

暴君は、最初こそ少し驚いた様子で聞いていたが、しだいに淡々とした受け答えになっていった。

息子に、暴君と話したことを伝えると

「塾も…どうしよ…先生はなんて?…」
「うん、心配してた。元気になったら来てねって」
「…そっか」


※ ※ ※


日曜日の夜
「明日からいく」と息子は言いだした。
学校を休んで2週間、2回目の日曜。

わたしも月曜から行くのがいい気がした。
みんなも休み明けだし、すこしはまぎれるかもしれない。

私自体、もうそろそろという空気を作っていたから
察していたのは間違いない。

「そう…。だいじょうぶ?」
心配そうな素振りを見せたけれど、内心はホッとしていた。



月曜の朝、息子を送りだした。

正直わたしには、2週間でも長かった。
久しぶりにひとりの時間がもどってきた。

息子が一人いたって、仕事が大幅に増えるわけではない。
けれど、日中の風景は2週間前に戻っていて
気分よく家事もはかどった。

それでもときどき
ふっとわずかな不安が脳裏をかすめる。

「このまま行けるようになるといいけど…」


久しぶりの学校は、やはり疲れたようだ。
それはそうだ、ずっと横になってゴロゴロ過ごしていたんだから。

2週間分のノートを見せてくれる女子生徒がいたみたいだ。
何教科ものノートを、休み時間だけでは見切れるはずはなく、
先生にたのんでコピーをもらったそうだ。
ありがたい…

学校の授業は、欠席の間もカリキュラム通りに進む。
休んだ子など、お構いなし。
先生によっては、声をかけてくれるが、その程度。
息子はその間の内容がスッポリ抜け落ちた状態で授業を受けていた。

その日は、明日に備え、早めに布団に入いるよう促した。


次の朝、
息子は起きて来ない…

「遅刻するよ!」
「…うん、…わかってる」

数分後
「どうするの?」
「…とりあえず、2限からいく」
ため息混じりに答える。

次の日も起きてこない。
「…とりあえず、3限からいく」

その次の日は、いつもに増してウダウダと決めかねていたが
結局、欠席することになった。

最後の金曜は、給食から行った。

(2週間なら何とか取り戻せると思ったけど、このままじゃ、ますます遅れてしまう…!)
(ま、塾で先取りしてる貯金がある、まだ何とかなるかな)


次の週も同じように毎日遅刻の日々が続いた。

日によって行く時間を変えながら、
何とか一週間を乗り越える。
行けた日は、何とか最後までは過ごせていた。

この間、毎日
「遅刻します、〇限からいきますので。」
と学校に電話を入れていた。


そうこうしているうちに、期末テストが近づいてくる。

もう見ていられなかった。
何のために 毎日 ふりしぼって行っているのだろう?
何のために 毎日 ふりしぼらせて行かせているのだろう?


夜は惰性で机に向かうが、長くは続かない。

息子からは、笑顔は消えていた。


あれから塾には行けていないまま。
学校もままならないのに、塾どころじゃない。

とにかく、エンプティ寸前なのだ。

そのまま行けるようになる。
と描いていた絵図は、

あっさり崩れた。


その後は
遅刻よりも欠席する日が増えていった。

そして息子は…
期末テストも受けることができなかった。


↓イッキ読みはマガジンから


#毒親 #毒親サバイバー #母と娘 #母娘 #親子関係 #子育て #親子の悩み #母親の悩み #縁を切る #自立 #依存 #共依存 #エッセイ #不登校 #元不登校 #子育ての悩み #子育て日記 #義務教育 #中学生 #スキしてみて #子どもに教えられたこと #子育てママ #子育て #学校教育 #結婚 #恋愛 #男女 #トリセツ #毒母 #学び #結婚生活 #愛 #自立 #生涯幸福  

この記事が参加している募集

#スキしてみて

526,418件

#子どもに教えられたこと

32,890件

全てのできごとは捉え方次第で「春の陽気」にも「冬の北風」にもなります。 あなたの視界が、北風から陽気に変わりますように♡ そんな想いで、日々記事を更新しています!