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学際研究

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記事一覧

量子的クオリア仮説:量子認知から量子知覚へ

量子的クオリア仮説:量子認知から量子知覚へ

以下は、結構専門的です。

我々が書いた仮説論文 "量子的クオリア仮説:量子認知から量子知覚へ” が、Frontiers in Psychologyにアクセプトされた! https://osf.io/preprints/psyarxiv/9m5yp

by 土谷、ブルーザ、山田、西郷、ポトス著。

この論文を書くプロセスでは、本当にたくさんのことを学んだ。最終的にアクセプトされ、嬉しいし、ホッと

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記号論・言語学と意識・クオリア研究の関係性について(諸事情により期間限定有料記事)

記号論・言語学と意識・クオリア研究の関係性について(諸事情により期間限定有料記事)

(本文は3500字くらいです。参考文献が結構多いので。。。コメントあればよろしくお願いします。)

■意識研究の変遷 ー 意識研究の第一世代(科学的探求の開始)と第二世代(意識の神経相関NCCの探求)

私たちが主観的に経験する意識は、哲学においては、古くから思索の対象であった。そこでは、自分や他人の意識の本質や、その構造を考えるために「言葉」を道具として主に用いてきた。言語は思考の抽象度を高め、

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客観的科学の側をどうレベルアップすると、主観が扱えるようになるのか?

客観的科学の側をどうレベルアップすると、主観が扱えるようになるのか?

Moonshot 9 というプロジェクトは「こころゆたかな社会の実現」というのを目指している。で、私は山田真希子さんのプロジェクトの一員として、多少プロジェクトに関わっている。そこで運営しているSlackで出た話がちょっとおもしろい。

Moonshot9のタイトルとウェブサイトは以下の通り。Moonshot Goal9: Realization of a mentally healthy and

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最新の脳科学と意識の理論から予測する、人工知能(AI)の意識の可能性について

最新の脳科学と意識の理論から予測する、人工知能(AI)の意識の可能性について

ちょっと事情があって以下の記事を有料で(おそらく期間限定)で公開します。フィードバック、コメントいただけると幸いです(5月1日までに。)

1.AIは意識を持つか?

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学術変革領域A クオリア構造学創成 2023年4月から5年間開始!

学術変革領域A クオリア構造学創成 2023年4月から5年間開始!

学術変革変革領域A「クオリア構造学の創成」が採択されました!
詳細は追ってホームーページやNote, Twitter, YouTubeで報告します! 4月開始に間に合うのか?

応募領域の研究概要

主観意識と客観的な物質としての脳は、全く異なる世界に属すのだろうか? 意識の中身であるクオリアと脳はいかに関係しているのか? 意識と脳の問題は、科学的な興味に留まらず、現実社会における人の気持ちの理解

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意識の授業についてのアンケートの結果 日本語と英語のツイートで。(For English version, see at the end of this essay)

意識の授業についてのアンケートの結果 日本語と英語のツイートで。(For English version, see at the end of this essay)

2022 Oct 7 に、北大CHAINの吉田さんと、大学生・大学院生向けに行っている意識の授業についてZoom/Youtube上で話しました。

そこで出てきたマーケティング的なアイデアで、実際、授業を受ける側の人がどんなトピックを求めているかについて、アンケートをYoutubeの視聴者に聞きました。サンプル数が少なかったので、先週一週間かけて、Twitter上で日本語・英語で同じ質問をしました

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久々のNote! 今度心理学ワールド99号に載る予定の原稿。タイトル「意識・クオリアを科学するには?」

久々のNote! 今度心理学ワールド99号に載る予定の原稿。タイトル「意識・クオリアを科学するには?」

ノートに書くの久しぶり! グラント書きに追われ(3月、5月、7月と、でかいのが続いている。。。)、なかなか時間が取れず。

表紙はサーターアンダギー。今日の昼から沖縄へ行きます!2年ぶりの日本一時帰国。2019年の11月に北海道(CHAIN opening)と奈良(Quantum Cognition)に行ったのが最後かな。

以下は、2022年10月発行予定の心理学ワールドの「こころの測り方」とい

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新しすぎるアイデアを発表するタイミングはいつが良いのか? その1(寸止め)

新しすぎるアイデアを発表するタイミングはいつが良いのか? その1(寸止め)

Originals by Adam Grant は、色んな角度で研究に参考になることが書いてある。

今日、Part 4の「イノベーターかフォロワーか ー ビジネスの優位性」 のセクションで自分がとったノートを見直していて、色々思うことがあったのでまとめてみる。

自分自身がこれから応募する研究グラントについての考えをまとめるというのが第一義。これから研究のグラントをたくさん書こうと思っている若手

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意識研究、量子論、仏教の接点が見えてきた。気がする(その3ーこの世界の根本は関係性)

意識研究、量子論、仏教の接点が見えてきた。気がする(その3ーこの世界の根本は関係性)

その2で私が書いたのは、
1)脳内のニューロン同士の相互関係という関係性、
2)我々の身体の外にある世界のモノ同士の関係性、
3)1)の関係性と2)の関係性をつなぐ関係性、
この3つは、世界の構成要素として根源的に違うのか、という疑問だ。

私は、この3つが根源的に違う、ということを指し示すような実験・観測事実は無いと思っている。それは、マッハが「感覚的要素一元論」を提唱した時以降も変わっていない

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意識研究、量子論、仏教の接点が見えてきた。気がする(その2ー実在)

意識研究、量子論、仏教の接点が見えてきた。気がする(その2ー実在)

一番「世界は『関係』でできている」で私に納得が言ったのが、世界の根本をどんどんと突き詰めていくと何か「モノ」が出てくる、わけではないという話。

これはおそらく、普通の考えと異なるだろう。

大栗博司さんの「重力とは何か」にも次のように書いてある

「結論から申し上げましょう。それがクォークかどうかは別にして、この玉ねぎには必ず「芯」があります。… 「プランクの長さ」が、宇宙という玉ねぎの「芯」で

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意識研究、量子論、仏教の接点が見えてきた。気がする(その1ー寸止め)

意識研究、量子論、仏教の接点が見えてきた。気がする(その1ー寸止め)

意識研究をやっていると、その研究費獲得のために書く書類の中で、

「この研究は科学と宗教の対話に貢献する」

とかそういうことを書きたい時がある(ちゃんと覚えていないが書いたことも多分ある)。これまでははっきりと「どのように」貢献する、ということは書いていなかった。おそらく、審査員に突っ込まれたらはっきりと返す言葉をもたなかった。自分の中でその関係性は確実にあったが、それを言葉にできるほど、明確な

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独立ラボを持った時、共同研究者との中型・大型グラントを提案したり、運営するときに、読んでおけばよかったなぁと思う、最近読んで超参考になった本たち。 ー その1

独立ラボを持った時、共同研究者との中型・大型グラントを提案したり、運営するときに、読んでおけばよかったなぁと思う、最近読んで超参考になった本たち。 ー その1

最近色んな事情があって、以下の本を読んでいる。
オリジナルズ
ビジョナリー・カンパニー2
良い戦略、悪い戦略
学習する組織

これらの冊を熟読していて、自分の身にしていたら、Monashで自分の独立ラボを運営しはじめた2012年以降の10年間、相当人生が変わっていただろうな、と思う。

とったノートの量は半端ないし、それぞれの本にはこういう要約サイトがあるので、ここでは、なぜ、私が自分の独立ラボ運

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学問分野がつながった時のでかい効用:FishOilとRaynaud's syndrome

学問分野がつながった時のでかい効用:FishOilとRaynaud's syndrome

今日から(ロックダウン以降)ほぼ2年ぶりに、旅行! 

来年のグラントに向けて準備する中で、Don Swanson という人の 1986: "Fish oil, Raynaud's syndrome, and undiscovered public knowledge." Perspectives in Biology and Medicine という論文に出会った。

1)魚油 Fish oi

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