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エルピスが描かなかったもの
私は『エルピス』を実家で常に流れていたいわゆる2時間ドラマとの比較で観ていた。我が家では母親の趣味から四六時中各局のサスペンス、刑事ドラマ、探偵もの、〇〇の女、そして冤罪物といった2時間ドラマといわれる類のドラマが再放送なども含めて常に流れていたのだ。その中でも冤罪物は、よくある展開で、刑事、弁護士、検察官、裁判官、新聞記者、主人公たちの立場はそれぞれあれど、いわゆる"99.9%"の壁を越えようと
もっとみるヒロアカと呪術のはなし
『呪術廻戦0』についてのこの随筆は、「純愛だよ」と言い放った主人公乙骨の話に続いていく。「正しさ」なんてないと開き直るニヒリズムや暴力の理由を大義名分に押し付けず、自らのエゴとして引き受けるその姿勢はかっこいい。そして強い。とてつもなく。
でも私は万人を救う「平和維持装置」であろうとする、そうであろうとしたキャラクターたちのことを考えてしまう。
それは例えば五条悟。
五条が「平和維持装置」とは
なぜ阿良々木暦は羽川と付き合わなかったのか
物語シリーズ最大の謎と言ってもいいだろう問いについて。
阿良々木暦は、春休みに羽川から助けてもらい、その後羽川への恋心を自覚する。
だが、彼は結局その恋心をなかったことにする。決定的になるのが以下の忍野との問答だ。
ここからわかるのは、阿良々木は羽川への恋心をなかったことにするのが、①一番幸せだと感じたということ。②羽川から直接助けを求められていないことを気にしているということだ。この「幸せ」と
【進撃の巨人、呪術廻戦、ほか】リトル・ピープルといかに向き合うか
1、「リトル・ピープル」の時代「高くて硬い壁と、壁にぶつかって割れてしまう卵があるときには、私は常に卵の側に立つ」
そういったのは作家の村上春樹だった。「壁」とは私たちの前にそびえるシステムのことであり、「卵」とは他ならぬ私たちのことである。だが一方でこの言葉をして以下のようにも言われる。
壁=システムは、私たち=卵が築き上げたものだ。それも、私達が生き延びるために必要に応じて築き上げたものだ
「書く」ということ~ちょっと暗くて重いけどEpisode 0的な話~
単純に、社会人を前にして「書く」習慣は大事だよなと思ってnoteを始めたのだけれど、そうやって始めたnoteの下書きにあった、多分1〜2年前の私の書いた駄文。供養の意味を込めて。
わたしは「書く」こと、「伝える」ことが怖い。だけどそんな私が「書こう」と思ったそのいきさつを最初に書いておきたい。
小さいころから本を読むのが大好きで、人に話をするのも大好きだったわたしは「書く」こと、人を感動させ