妙風堂

運命学研究家です。1999年から運営している、雲切ネット「タオの風水学教室」の作者でも…

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運命学研究家です。1999年から運営している、雲切ネット「タオの風水学教室」の作者でもあります。 noteでは、自分のサイトとはまた違う視点で、新しい書き下ろしコンテンツをお届けしてゆきますので、お楽しみ頂ければ幸いです。サイトはhttp://www.kumokiri.net/

マガジン

  • 九天九地~高島嘉右衛門一代記~

    昭和の易聖、高島嘉右衛門の活躍を辿るシリーズです。嘉右衛門は伊藤博文の暗殺を予言したことで知られていますが、実際は横浜を開いた大実業家。運命学に興味を持つ方、持たない方、日本人なら彼の活躍と人となりには感動することでしょう。躍動感あふれる物語を、易の深淵な解釈を交えつつ、多くの資料から抜粋してシリーズにまとめました。

記事一覧

九天九地13:違法売買、身の破滅

金貨密売の報い 嘉兵衛の元に、江戸で金貨売買の片棒を担いでいた山口屋の手代、幸助が顔色を変えて飛び込んで来た。 「旦那、旦那はお宅ですか…えらい、どえらいことに…

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5か月前
5

九天九地12:罠とも知らず、新天地

新天地、横浜へ 借金に苦しむ嘉兵衛のもとに、ある日、鍋島藩の家老、田中善右衛門が訪ねてきた。 善右衛門はもともと微禄の生まれではあったが、神童の誉れ高く、その才…

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6か月前
3

気学の使い方~実家の方位~

意外と気になさっている方が多い問題で、実家への方位、というのがあります。 質問A:実家と現住所の方位関係が、北東~南西ラインになってしまうが、実家とはしょっちゅ…

妙風堂
6か月前
9

土用の丑の日、何故うなぎ?

皆さんは、土用の丑の日にはうなぎを食べる習慣がありますか?それとも、そういう習慣は守ったほうがいい、と思っていますか? 筆者のサイトの読者なら、たぶん「土用って…

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6か月前
2

九天九地11:九天九地が口を開け

墓所の修復 工事完成後、丸二日間というもの、泥のように眠りこけた嘉兵衛は、次に南部藩江戸屋敷を訪ねた。 南部藩は先代嘉兵衛が間に入って一肌脱ぎ、鍋島藩から窮状を…

妙風堂
6か月前
2

気学の使い方~太極~

基本のキ 実際に気学の暦などの話を始める前に、最も大切なことを述べます。 長年、方位鑑定をしていると、意外なほど多くの方が、最も基本的な部分で、勘違いをしておら…

妙風堂
6か月前
7

陰陽五行の話6 四桃花のパワーとは

方位の四桃花 前回少し述べた、四正方位(しせいほうい)について解説します。 四正方位という言葉からして、馴染みが無いと思いますが、要するに、東西南北のことです。 …

妙風堂
6か月前
8

九天九地10:天地騒乱・江戸激震

安政の大地震! 材木の買収を一通り終えた二日後、嘉兵衛は本郷の戸田家屋敷に招かれていた。 嘉兵衛の長姉が戸田家の祐筆として奉公しているうち、主君の寵愛を得て男児…

妙風堂
6か月前
6

九天九地9:なまずが告げる、大地震

釜鳴り 安政二年のこと、二十四歳になった嘉兵衛は、押しも押されもせぬ材木商となり、手広く商売を手掛けていた。 爽やかな秋風が、頬を撫でるようになった九月のある日…

妙風堂
6か月前
4

方位盤は、なぜ上が南なのか?

今回は、タイトルどおりのテーマです。 方位盤はなぜ、上が南で下が北なのか? 見づらいなあ…地図と一緒のほうが分かりやすいのに、と思うだけでなく、考えてみたことがあ…

妙風堂
6か月前
2

陰陽五行の話5 十二支のキモ

十二支の四季 前回、「えと」の説明をして、十干と十二支は違うということを述べました。そして序でに、十二支は季節に該当する、ということをチラッと書きました。 つま…

妙風堂
6か月前
8

九天九地8:天地どよめく、大異変

朝元斎との再会 債務問題が一段落と見えたある日、清三郎改め遠州屋嘉兵衛は、浅草の山口千枝の元を訪れた。 「ほほう、山でご苦労なさったせいか、たくましゅうなられた…

妙風堂
6か月前
2

九天九地7:虚空に描く、富の山

期待外れの鉄鉱脈 宝の山かと期待した鉄石の鉱脈だったが、思わぬ伏兵が隠れていたようだ。 更に悪いことに、南部藩は、借財の返済ぶんとして、開発資金を出資する、とい…

妙風堂
7か月前
3

必ずわかる、本当の気学~気学で開運ってホント?~

気学で開運ってホント? 世の中には、気学というものがあります。 吉方位へ行くと良いことがあり、凶方位へ行くと悪いことが起こる。だから吉方位だけを使おう。 ホントに…

妙風堂
7か月前
7

感覚器官の五行五気

からだが資本だよ! 今回は私達にとってもっとも身近なものである、自分の身体と精神に、五行がどうかかわっているのかを述べます。 陰陽五行って、別に占いのツールでは…

妙風堂
7か月前
4

九天九地6:思うに任せぬ、難事業

水山蹇! 「これは…四大難卦の一つが出てしまったな。水山蹇(すいざんけん)だ」 「と、いいますと?」 「行く手には非常な危険がある。険しい山道に、更に激しい水が…

妙風堂
7か月前
2
九天九地13:違法売買、身の破滅

九天九地13:違法売買、身の破滅

金貨密売の報い

嘉兵衛の元に、江戸で金貨売買の片棒を担いでいた山口屋の手代、幸助が顔色を変えて飛び込んで来た。

「旦那、旦那はお宅ですか…えらい、どえらいことになりました…」

歯の根もあわないようなおびえ方である。
奥座敷へ通して話を聞いた嘉兵衛は、さすが愕然としてしまった。
江戸の両替屋でこれも売買仲間の玉井幸太郎親子と手代三人が、この朝召し捕られ、小判密売の件を残らず白状してしまったとい

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九天九地12:罠とも知らず、新天地

九天九地12:罠とも知らず、新天地

新天地、横浜へ

借金に苦しむ嘉兵衛のもとに、ある日、鍋島藩の家老、田中善右衛門が訪ねてきた。
善右衛門はもともと微禄の生まれではあったが、神童の誉れ高く、その才能を藩主に見込まれて、家老に抜擢されたほどの人物である。

嘉兵衛も何度か会って面識はあったのだが、仮にも一藩の家老ともあろう人物が、一出入り商人の店を訪ねてくるというのは、普通ではない。

田中の用件は、翌年六月に開港となる横浜に、鍋島

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気学の使い方~実家の方位~

気学の使い方~実家の方位~

意外と気になさっている方が多い問題で、実家への方位、というのがあります。

質問A:実家と現住所の方位関係が、北東~南西ラインになってしまうが、実家とはしょっちゅう行き来するので、この方位関係は心配だ。

質問B:実家への方位は見なくて良い、と聞いたが、今年は五黄殺に当たってしまう。本当に影響は無いのだろうか?

等々…けっこう、ご心配になっている方が多いようです。
これは、気学が創始された頃と全

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土用の丑の日、何故うなぎ?

土用の丑の日、何故うなぎ?

皆さんは、土用の丑の日にはうなぎを食べる習慣がありますか?それとも、そういう習慣は守ったほうがいい、と思っていますか?
筆者のサイトの読者なら、たぶん「土用って年に四回あるよね。何も夏に限った話ではないのに」と思われることでしょう。

この習慣は、江戸中期に、異才の人として名を馳せた平賀源内が作ったとされています。

何でも、真夏の暑いさかりに、やや味のくどいうなぎが売れなくて困っていたうなぎ屋さ

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九天九地11:九天九地が口を開け

九天九地11:九天九地が口を開け

墓所の修復

工事完成後、丸二日間というもの、泥のように眠りこけた嘉兵衛は、次に南部藩江戸屋敷を訪ねた。
南部藩は先代嘉兵衛が間に入って一肌脱ぎ、鍋島藩から窮状を助けられたという経緯がある。嘉兵衛は家老の楢山佐渡に会った。

「大変申し訳ないと思いながらも、鍋島様御屋敷の建築を仰せ付けられまして、日夜を分かたぬ仕事が続きました。ご当家へのご挨拶が遅れまして、面目次第もございません。鍋島様のほうのお

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気学の使い方~太極~

気学の使い方~太極~

基本のキ

実際に気学の暦などの話を始める前に、最も大切なことを述べます。

長年、方位鑑定をしていると、意外なほど多くの方が、最も基本的な部分で、勘違いをしておられるのに出くわします。
こういう自己流の勘違いがあると、鑑定以前に既につまづいてしまっているので、まずそれらの問題を解決しましょう。

それは、どこを中心に見るか、ということです。
例えばこういう勘違いが、非常に多くあります。

「アメ

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陰陽五行の話6 四桃花のパワーとは

陰陽五行の話6 四桃花のパワーとは

方位の四桃花

前回少し述べた、四正方位(しせいほうい)について解説します。
四正方位という言葉からして、馴染みが無いと思いますが、要するに、東西南北のことです。

方位を区切る時、30度・60度の方法の場合は、30度の範囲が四正方位ですが、四正方位の更にその中心線を、正中線と言います。

ちなみに、東西南北以外の方位、つまり北東とか南東は「四隅方位」(しぐうほうい)と言います。

方位の話をする

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九天九地10:天地騒乱・江戸激震

九天九地10:天地騒乱・江戸激震

安政の大地震!

材木の買収を一通り終えた二日後、嘉兵衛は本郷の戸田家屋敷に招かれていた。
嘉兵衛の長姉が戸田家の祐筆として奉公しているうち、主君の寵愛を得て男児を出産、その子が戸田家の家督を相続するという、目出度い祝宴の場である。

酒を振舞われて、何とも気持ちの良いほろ酔いでいた嘉兵衛は、駕籠の中で居眠りしていた。

ほろ酔いついでに、吉原を目指していた駕籠が、湯島切通しの加賀藩の長屋に差し掛

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九天九地9:なまずが告げる、大地震

九天九地9:なまずが告げる、大地震

釜鳴り

安政二年のこと、二十四歳になった嘉兵衛は、押しも押されもせぬ材木商となり、手広く商売を手掛けていた。
爽やかな秋風が、頬を撫でるようになった九月のある日、普請中の大名屋敷の現場を見回った嘉兵衛は、帰宅途上で弟の徳右衛門と出会った。

久々のことなので、二人は一緒に銭湯に行くことにしたのだが、徳右衛門が何か言いたげながらも、妙に口ごもっているのに、嘉兵衛は気づいた。
問いただしてみると、家

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方位盤は、なぜ上が南なのか?

方位盤は、なぜ上が南なのか?

今回は、タイトルどおりのテーマです。
方位盤はなぜ、上が南で下が北なのか?
見づらいなあ…地図と一緒のほうが分かりやすいのに、と思うだけでなく、考えてみたことがありますか?

その前に、確認しておきましょう。
よく来る質問なのですが、「方位盤は上下を逆さに見るそうですが、上を南、下を北にすれば、右側は東、左側は西でいいんですね?」というのがあります。

これは考えすぎというか、明らかに誤解です。

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陰陽五行の話5 十二支のキモ

陰陽五行の話5 十二支のキモ

十二支の四季

前回、「えと」の説明をして、十干と十二支は違うということを述べました。そして序でに、十二支は季節に該当する、ということをチラッと書きました。
つまり、十二支は季節と関連して考えることができる、ということです。

この部分は、東洋運命学の基礎であり、十二支を理解する上でのキモの部分でもありますので、今回もう少し、詳しく述べます。

前回の表は大切な基本なので、もう一度、じっくりと眺め

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九天九地8:天地どよめく、大異変

九天九地8:天地どよめく、大異変

朝元斎との再会

債務問題が一段落と見えたある日、清三郎改め遠州屋嘉兵衛は、浅草の山口千枝の元を訪れた。

「ほほう、山でご苦労なさったせいか、たくましゅうなられたものじゃのう」

「あの時は先生、私は苦労を切り抜ければ、万両分限になるとおっしゃっていましたが、今は数千両の借金を抱える身です。もう万両分限の相は、消えたことでしょうな」

「いや、消えてはおらぬ。万両分限の相は変わってはおらぬが、そ

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九天九地7:虚空に描く、富の山

九天九地7:虚空に描く、富の山

期待外れの鉄鉱脈

宝の山かと期待した鉄石の鉱脈だったが、思わぬ伏兵が隠れていたようだ。
更に悪いことに、南部藩は、借財の返済ぶんとして、開発資金を出資する、という約束を守らず、嘉兵衛親子は、坑夫達の賃金の支払いにさえ、事欠く始末だった。

清三郎は、老齢の身で山奥の鉱山で苦労する、嘉兵衛の姿を見るにつけ、胸が痛んだ。
何とかしてこの苦境を脱して、父に平穏な余生を送らせたいと、祈るような気持ちで、

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必ずわかる、本当の気学~気学で開運ってホント?~

必ずわかる、本当の気学~気学で開運ってホント?~

気学で開運ってホント?

世の中には、気学というものがあります。
吉方位へ行くと良いことがあり、凶方位へ行くと悪いことが起こる。だから吉方位だけを使おう。
ホントに、これで簡単に開運できたらいいですよねー。毎月、吉方位にお水取りに行ったり、家のあちこちに、方位にあったグッズを置くだけで、運勢が良くなるなら。

筆者のサイトによく来られる方で、しょっちゅうお水取りに行っておられる方は、たぶん少ないと

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感覚器官の五行五気

感覚器官の五行五気

からだが資本だよ!

今回は私達にとってもっとも身近なものである、自分の身体と精神に、五行がどうかかわっているのかを述べます。

陰陽五行って、別に占いのツールではなく、全てのものに存在するので、占いに関心のない人にも、役立つ話です。
体質とか健康問題を考えるにあたり、みんな同じではなくて、個人によって違いがありますよね。

例えば、私は呼吸器系が弱いとか、いや自分は消化器系に問題があるとか、めっ

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九天九地6:思うに任せぬ、難事業

九天九地6:思うに任せぬ、難事業

水山蹇!

「これは…四大難卦の一つが出てしまったな。水山蹇(すいざんけん)だ」

「と、いいますと?」

「行く手には非常な危険がある。険しい山道に、更に激しい水が流れて行く手をはばむという、非常に困難な卦だ。この場合の水は、雪とか氷とも解釈できるから、おそらく半年は雪が消えないような場所なのだろう。また、蹇の卦は坤(こん、ひつじさる=西南)によく、艮(うしとら=北東)によくない、と相場が決まっ

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