妙風堂

運命学研究家です。1999年から運営している、雲切ネット「タオの風水学教室」の作者でも…

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運命学研究家です。1999年から運営している、雲切ネット「タオの風水学教室」の作者でもあります。 noteでは、自分のサイトとはまた違う視点で、新しい書き下ろしコンテンツをお届けしてゆきますので、お楽しみ頂ければ幸いです。サイトはhttp://www.kumokiri.net/

マガジン

  • 九天九地~高島嘉右衛門一代記~

    昭和の易聖、高島嘉右衛門の活躍を辿るシリーズです。嘉右衛門は伊藤博文の暗殺を予言したことで知られていますが、実際は横浜を開いた大実業家。運命学に興味を持つ方、持たない方、日本人なら彼の活躍と人となりには感動することでしょう。躍動感あふれる物語を、易の深淵な解釈を交えつつ、多くの資料から抜粋してシリーズにまとめました。

最近の記事

九天九地13:違法売買、身の破滅

金貨密売の報い 嘉兵衛の元に、江戸で金貨売買の片棒を担いでいた山口屋の手代、幸助が顔色を変えて飛び込んで来た。 「旦那、旦那はお宅ですか…えらい、どえらいことになりました…」 歯の根もあわないようなおびえ方である。 奥座敷へ通して話を聞いた嘉兵衛は、さすが愕然としてしまった。 江戸の両替屋でこれも売買仲間の玉井幸太郎親子と手代三人が、この朝召し捕られ、小判密売の件を残らず白状してしまったというのである。 もう山口屋と肥前屋の召し捕りも、時間の問題であることは間違いない。

    • 九天九地12:罠とも知らず、新天地

      新天地、横浜へ 借金に苦しむ嘉兵衛のもとに、ある日、鍋島藩の家老、田中善右衛門が訪ねてきた。 善右衛門はもともと微禄の生まれではあったが、神童の誉れ高く、その才能を藩主に見込まれて、家老に抜擢されたほどの人物である。 嘉兵衛も何度か会って面識はあったのだが、仮にも一藩の家老ともあろう人物が、一出入り商人の店を訪ねてくるというのは、普通ではない。 田中の用件は、翌年六月に開港となる横浜に、鍋島藩特産の伊万里焼の店を開きたいが、嘉兵衛にその店を商ってみないか、という話だった

      • 気学の使い方~実家の方位~

        意外と気になさっている方が多い問題で、実家への方位、というのがあります。 質問A:実家と現住所の方位関係が、北東~南西ラインになってしまうが、実家とはしょっちゅう行き来するので、この方位関係は心配だ。 質問B:実家への方位は見なくて良い、と聞いたが、今年は五黄殺に当たってしまう。本当に影響は無いのだろうか? 等々…けっこう、ご心配になっている方が多いようです。 これは、気学が創始された頃と全く同じことを、教科書どおりに自動的に教えたり覚え込んでしまうので、心配になってく

        • 土用の丑の日、何故うなぎ?

          皆さんは、土用の丑の日にはうなぎを食べる習慣がありますか?それとも、そういう習慣は守ったほうがいい、と思っていますか? 筆者のサイトの読者なら、たぶん「土用って年に四回あるよね。何も夏に限った話ではないのに」と思われることでしょう。 この習慣は、江戸中期に、異才の人として名を馳せた平賀源内が作ったとされています。 何でも、真夏の暑いさかりに、やや味のくどいうなぎが売れなくて困っていたうなぎ屋さんの為に、平賀源内が「本日丑の日」と、貼り紙をするよう、提案しました。 そこから

        九天九地13:違法売買、身の破滅

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        • 九天九地~高島嘉右衛門一代記~
          14本

        記事

          九天九地11:九天九地が口を開け

          墓所の修復 工事完成後、丸二日間というもの、泥のように眠りこけた嘉兵衛は、次に南部藩江戸屋敷を訪ねた。 南部藩は先代嘉兵衛が間に入って一肌脱ぎ、鍋島藩から窮状を助けられたという経緯がある。嘉兵衛は家老の楢山佐渡に会った。 「大変申し訳ないと思いながらも、鍋島様御屋敷の建築を仰せ付けられまして、日夜を分かたぬ仕事が続きました。ご当家へのご挨拶が遅れまして、面目次第もございません。鍋島様のほうのお仕事は目出度く終了いたしました上は、ご当家のほうの御用を、遅ればせながら承りとう

          九天九地11:九天九地が口を開け

          気学の使い方~太極~

          基本のキ 実際に気学の暦などの話を始める前に、最も大切なことを述べます。 長年、方位鑑定をしていると、意外なほど多くの方が、最も基本的な部分で、勘違いをしておられるのに出くわします。 こういう自己流の勘違いがあると、鑑定以前に既につまづいてしまっているので、まずそれらの問題を解決しましょう。 それは、どこを中心に見るか、ということです。 例えばこういう勘違いが、非常に多くあります。 「アメリカに旅行に行きます。ニューヨークに行って、ワシントンDCに行って、ロサンゼルス

          気学の使い方~太極~

          陰陽五行の話6 四桃花のパワーとは

          方位の四桃花 前回少し述べた、四正方位(しせいほうい)について解説します。 四正方位という言葉からして、馴染みが無いと思いますが、要するに、東西南北のことです。 方位を区切る時、30度・60度の方法の場合は、30度の範囲が四正方位ですが、四正方位の更にその中心線を、正中線と言います。 ちなみに、東西南北以外の方位、つまり北東とか南東は「四隅方位」(しぐうほうい)と言います。 方位の話をする時には、四正方位ですが、十二支全般の性質と結びつけての話をする時には、四正、又は

          陰陽五行の話6 四桃花のパワーとは

          九天九地10:天地騒乱・江戸激震

          安政の大地震! 材木の買収を一通り終えた二日後、嘉兵衛は本郷の戸田家屋敷に招かれていた。 嘉兵衛の長姉が戸田家の祐筆として奉公しているうち、主君の寵愛を得て男児を出産、その子が戸田家の家督を相続するという、目出度い祝宴の場である。 酒を振舞われて、何とも気持ちの良いほろ酔いでいた嘉兵衛は、駕籠の中で居眠りしていた。 ほろ酔いついでに、吉原を目指していた駕籠が、湯島切通しの加賀藩の長屋に差し掛かった頃である。駕籠の中で、心地よい揺れに身を任せつつうたた寝していた嘉兵衛を、

          九天九地10:天地騒乱・江戸激震

          九天九地9:なまずが告げる、大地震

          釜鳴り 安政二年のこと、二十四歳になった嘉兵衛は、押しも押されもせぬ材木商となり、手広く商売を手掛けていた。 爽やかな秋風が、頬を撫でるようになった九月のある日、普請中の大名屋敷の現場を見回った嘉兵衛は、帰宅途上で弟の徳右衛門と出会った。 久々のことなので、二人は一緒に銭湯に行くことにしたのだが、徳右衛門が何か言いたげながらも、妙に口ごもっているのに、嘉兵衛は気づいた。 問いただしてみると、家で不思議なことが起こったというのだ。徳右衛門の家の釜が、全く火の気もないのに鳴り

          九天九地9:なまずが告げる、大地震

          方位盤は、なぜ上が南なのか?

          今回は、タイトルどおりのテーマです。 方位盤はなぜ、上が南で下が北なのか? 見づらいなあ…地図と一緒のほうが分かりやすいのに、と思うだけでなく、考えてみたことがありますか? その前に、確認しておきましょう。 よく来る質問なのですが、「方位盤は上下を逆さに見るそうですが、上を南、下を北にすれば、右側は東、左側は西でいいんですね?」というのがあります。 これは考えすぎというか、明らかに誤解です。 上下を逆さにしているのではなく、地球は丸いですから、地図に写し取ったものをぐるり

          方位盤は、なぜ上が南なのか?

          陰陽五行の話5 十二支のキモ

          十二支の四季 前回、「えと」の説明をして、十干と十二支は違うということを述べました。そして序でに、十二支は季節に該当する、ということをチラッと書きました。 つまり、十二支は季節と関連して考えることができる、ということです。 この部分は、東洋運命学の基礎であり、十二支を理解する上でのキモの部分でもありますので、今回もう少し、詳しく述べます。 前回の表は大切な基本なので、もう一度、じっくりと眺めてみてください。 春=木性、夏=火性、秋=金性、冬=水性です。 春=木性、夏=

          陰陽五行の話5 十二支のキモ

          九天九地8:天地どよめく、大異変

          朝元斎との再会 債務問題が一段落と見えたある日、清三郎改め遠州屋嘉兵衛は、浅草の山口千枝の元を訪れた。 「ほほう、山でご苦労なさったせいか、たくましゅうなられたものじゃのう」 「あの時は先生、私は苦労を切り抜ければ、万両分限になるとおっしゃっていましたが、今は数千両の借金を抱える身です。もう万両分限の相は、消えたことでしょうな」 「いや、消えてはおらぬ。万両分限の相は変わってはおらぬが、その後の人災が問題だ。念の為に一筮立てて進ぜよう」 天地否! 二代目遠州屋嘉兵

          九天九地8:天地どよめく、大異変

          九天九地7:虚空に描く、富の山

          期待外れの鉄鉱脈 宝の山かと期待した鉄石の鉱脈だったが、思わぬ伏兵が隠れていたようだ。 更に悪いことに、南部藩は、借財の返済ぶんとして、開発資金を出資する、という約束を守らず、嘉兵衛親子は、坑夫達の賃金の支払いにさえ、事欠く始末だった。 清三郎は、老齢の身で山奥の鉱山で苦労する、嘉兵衛の姿を見るにつけ、胸が痛んだ。 何とかしてこの苦境を脱して、父に平穏な余生を送らせたいと、祈るような気持ちで、一心に働いた。その気迫が通じたのか、荒くれ者の坑夫たちも、清三郎の指示にはよく従

          九天九地7:虚空に描く、富の山

          必ずわかる、本当の気学~気学で開運ってホント?~

          気学で開運ってホント? 世の中には、気学というものがあります。 吉方位へ行くと良いことがあり、凶方位へ行くと悪いことが起こる。だから吉方位だけを使おう。 ホントに、これで簡単に開運できたらいいですよねー。毎月、吉方位にお水取りに行ったり、家のあちこちに、方位にあったグッズを置くだけで、運勢が良くなるなら。 筆者のサイトによく来られる方で、しょっちゅうお水取りに行っておられる方は、たぶん少ないと思いますが、気学で開運できるというのは、大筋ではホントです。 でも人間の運命っ

          必ずわかる、本当の気学~気学で開運ってホント?~

          感覚器官の五行五気

          からだが資本だよ! 今回は私達にとってもっとも身近なものである、自分の身体と精神に、五行がどうかかわっているのかを述べます。 陰陽五行って、別に占いのツールではなく、全てのものに存在するので、占いに関心のない人にも、役立つ話です。 体質とか健康問題を考えるにあたり、みんな同じではなくて、個人によって違いがありますよね。 例えば、私は呼吸器系が弱いとか、いや自分は消化器系に問題があるとか、めっちゃ太りやすい…水飲んでも太るとか、反対に、どうも虚弱でなかなか太れないなど。

          感覚器官の五行五気

          九天九地6:思うに任せぬ、難事業

          水山蹇! 「これは…四大難卦の一つが出てしまったな。水山蹇(すいざんけん)だ」 「と、いいますと?」 「行く手には非常な危険がある。険しい山道に、更に激しい水が流れて行く手をはばむという、非常に困難な卦だ。この場合の水は、雪とか氷とも解釈できるから、おそらく半年は雪が消えないような場所なのだろう。また、蹇の卦は坤(こん、ひつじさる=西南)によく、艮(うしとら=北東)によくない、と相場が決まっている。」 「非常な難所であることは、承知しております」 「普通ならば行くの

          九天九地6:思うに任せぬ、難事業