古川蓮(OLD)

しがない詩人。つまりヒト。 短歌やってます。

古川蓮(OLD)

しがない詩人。つまりヒト。 短歌やってます。

記事一覧

you and me

◆ 僕がひとりでいる時は誰かとふたりでいる時のためにある、いつでも。僕は誰かと一緒にいるとき、その人に合う僕を演じる。先輩の前だったら可愛がられる後輩の僕、面白…

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光は遠くに行くと見えない(短歌20首)

□ 地上絵をタトゥーとして彫る 僕らには黒歴史がある はるか遠く ナイフとフォークを外側から使うときに準備された言葉の輝き うまく言えない (人身事故のニュース…

4

Logical (短歌20首)

□ エモくなる、構造として愛されるようなイルミネーション このまま (音速で、いや光速で) 死者として生まれ変わったあのシャイボーイ 光という泡に包まれていたん…

古川蓮(OLD)
1か月前
2

ReRecal

◇ 思い出の解像度が薄まるのを怖がりながら、なんとなく生きている感じがする。画像フォルダにはその時の断片だけあって振り返ることは許されているけど、時間は不可逆。…

古川蓮(OLD)
3か月前
11

-273℃ (短歌20首)

∮ One chapter ざらざらとした夜だから皮の分厚い指の質感 複数の光/複数の思考を経て きみはチャイナドレスで来た ネトフリの契約が2月で切れる 恋人は1月に死んだ …

古川蓮(OLD)
4か月前
3

詩の温度

□ 詩は殺すつもりで書かなきゃならない。対象ははっきりしないが、影のようなものを切るような感覚。 そして冷たくあるべきだ。わざとらしい温度を感じる詩はいらない。…

古川蓮(OLD)
4か月前
4

Aoharu no uta

青春はみんなが思っているより濁っているものだとおれは思う。 青春はいつも淡く描写される。二人きりのプール掃除での水のかけあい、屋上での時間、シーブリーズの蓋の交…

古川蓮(OLD)
6か月前
2

Hakuchumu

◾︎ ポエムを読むなんて営みをやっていると、文化というもののことを嫌ってほど考える。 ◾︎ セーラー服を着てプールサイドで女性同士がディープキスをしている映像が…

古川蓮(OLD)
6か月前
5

Electoronic night (短歌20首)

〇 電子の砂漠の中できみは、いつでも、ア・イ・シ・テ・ルで眠る ・ 急速に視聴回数が伸びてゆくアニメ そうしてこわれた青の 遠くに韻律を感じた イマジネーション…

古川蓮(OLD)
7か月前
4

Metaphor/零° (短歌30首)

◇ <萌え萌えきゅん♡>と口ずさんだら強くなるぼくらの未来のロマンチスト エモーショナルなケミカル 真夜中の廃墟に佇むルイズ・フランソワーズ わたしたちのAirpod…

古川蓮(OLD)
8か月前
3

Antimatter rain

♡ ユーモラス、メカニカルだねって精神科は真っ直ぐ進んで左ですけどね。 Phisically 声はこだまして、美学というのは詩を書くことでしょうか?? #⃣ 木の葉が落ちた…

古川蓮(OLD)
8か月前
1

破壊と再生(『Girl Queen』自評) 

0.C.O.S.Aの往年の名曲『Girl Queen』にあるのは強い男の中で揺れる抒情の塊だった。畳みかけるようなマフィアネタのなかには、力強さが溢れ、ラッパーとしての、そして、…

古川蓮(OLD)
9か月前
4

Girl Queen (短歌30首)

♰ ガールクイーン こうして壊されたきみの抒情のかけらを集め始める 不整脈から始まってく恋愛は ドラゴンムーヴ・ワンダーランド メイド服にライターで火をつけた …

古川蓮(OLD)
9か月前
4

Tokyo (青松輝 『4』評)

<あなた>と<わたし>がいて、そこに言葉がある。飽和した人混みの中で二人はもう一度出会う。歌集全体を通して多く登場する東京というモチーフはその必然性を引き立てる…

古川蓮(OLD)
9か月前
7

Rhythmic (短歌30首)

〇 栞は読書の、シークバーはiphoneの、あなたのcigarは私だけの I can't give my account 触れられない傷が僕らにはつけられている 濡れたラムネ瓶の底に光る目 You …

古川蓮(OLD)
9か月前
4

Civilization (短歌30首)

♢ 僕だけの きみのためだけの叙情詩が 全国ロードショーする 死んで ・ ピンサロ嬢にも春は来る やがて、コーラに溶けてく錠剤のように Zから始まる英単語みたいな …

古川蓮(OLD)
10か月前
6
you and me

you and me



僕がひとりでいる時は誰かとふたりでいる時のためにある、いつでも。僕は誰かと一緒にいるとき、その人に合う僕を演じる。先輩の前だったら可愛がられる後輩の僕、面白い友人を引き立てるツッコミの僕、積極的にボケて空気を作る僕。恋人の前で甘える僕。僕はカメレオンのようにその場に擬態する。そうして生きてきた。僕以外本当の僕を知らない。知らなくていいと思っていた。知らなければ、僕はただ人当たりのいい柔軟な人

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光は遠くに行くと見えない(短歌20首)

光は遠くに行くと見えない(短歌20首)



地上絵をタトゥーとして彫る 僕らには黒歴史がある はるか遠く

ナイフとフォークを外側から使うときに準備された言葉の輝き

うまく言えない (人身事故のニュースへのコメントときみへの告白を)

「I LOVE YOU」とやたらとささやき声で歌う処女のシンガーソングライター

ぼくたちは戦火を知らず戦場のメリークリスマスで泣く ベッドルーム

韻律の上の僕たち・ニュートンのリンゴ なんだってい

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Logical (短歌20首)

Logical (短歌20首)



エモくなる、構造として愛されるようなイルミネーション このまま

(音速で、いや光速で) 死者として生まれ変わったあのシャイボーイ

光という泡に包まれていたんだ わたしの恋だってネットミーム

さいしょのステージに合うサイリウムを想像しているアルケミスト

114106 ほら、激情が形を帯びる 3470

この夏の性愛をいま抒情詩で歌う ざくろの甘さのようで

設定は高画質、高音質で美しさ

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ReRecal

ReRecal



思い出の解像度が薄まるのを怖がりながら、なんとなく生きている感じがする。画像フォルダにはその時の断片だけあって振り返ることは許されているけど、時間は不可逆。完全なその時間は戻ってこない。

シークバーのように現実の時間は可視化できないし、栞を挟むように一旦停止はできないわけで、不完全である過去を愛すことを強制されている。

この間、遠距離になった彼女には小さい手紙を渡した。永遠に会えないわけ

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-273℃ (短歌20首)

-273℃ (短歌20首)



One chapter ざらざらとした夜だから皮の分厚い指の質感

複数の光/複数の思考を経て きみはチャイナドレスで来た

ネトフリの契約が2月で切れる 恋人は1月に死んだ

わたあめが雲に喩えられるくらい処女性で溢れていく東京

わたしの合図で鳥はいっせいに飛び立つ (西部劇みたいだと思いました)

I still memorize your fairy tale ピアノが響く遺体安置所

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詩の温度

詩の温度



詩は殺すつもりで書かなきゃならない。対象ははっきりしないが、影のようなものを切るような感覚。

そして冷たくあるべきだ。わざとらしい温度を感じる詩はいらない。青い炎が燃えたぎるように、冷ややかな見た目から仄かな温度を生み出す。それが理想の詩だと思う。



短歌には韻律がある。韻律はことばたちを冷ややかに目立たせる役割を担っている。「五七五七七」と韻律によって言葉が分けられるとき、意味をも

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Aoharu no uta

Aoharu no uta

青春はみんなが思っているより濁っているものだとおれは思う。

青春はいつも淡く描写される。二人きりのプール掃除での水のかけあい、屋上での時間、シーブリーズの蓋の交換 etc…
消えてしまいそうな儚さという意味での青春はおれたちの頭の中のイメージを出ない。いつしか物議を醸した「パターン化されたエモつまらない…」に通ずるなにかを感じる。実際に「パターン化された青春つまらない」という声はいまもどこかで高

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Hakuchumu

Hakuchumu

◾︎

ポエムを読むなんて営みをやっていると、文化というもののことを嫌ってほど考える。

◾︎

セーラー服を着てプールサイドで女性同士がディープキスをしている映像が𝕏で流れてきた。これがアートならいつかリストカットなんかもアートになるのかなとか思った。そうなったなら、おれはポエムをやめると思う。

◾︎

「クロノスタシスって知ってる?」って聞かれたあとの返答を考えていたら一日が終わるくらい穏

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Electoronic night (短歌20首)

Electoronic night (短歌20首)



電子の砂漠の中できみは、いつでも、ア・イ・シ・テ・ルで眠る



急速に視聴回数が伸びてゆくアニメ そうしてこわれた青の

遠くに韻律を感じた イマジネーション・マイハートフル 夢で

あなたのワンピースに血がついてカプセルに入っている愛よ、光よ

夜風 コカ・コーラの自販機の前であなたとぼくのやさしさのマター

ゾオン系のきみのこと誤解してた ぼくのかたちに、ぐわってなってた

Cook

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Metaphor/零° (短歌30首)

Metaphor/零° (短歌30首)



<萌え萌えきゅん♡>と口ずさんだら強くなるぼくらの未来のロマンチスト

エモーショナルなケミカル 真夜中の廃墟に佇むルイズ・フランソワーズ

わたしたちのAirpodsの中だけで響く不快なシンセサイザー

殺すまでなんどもなんどもループするチワワの動画を見て自戒せよ

きみはいま言葉に変えようとしている スロー再生で <冬の> <光の>

祈りは用量が守られていることを前提に Don't

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Antimatter rain

Antimatter rain



ユーモラス、メカニカルだねって精神科は真っ直ぐ進んで左ですけどね。

Phisically 声はこだまして、美学というのは詩を書くことでしょうか??

#⃣

木の葉が落ちたら燃やしてしまうことはおれの身勝手だし来世で罰してくれればいい。知恵熱が出ることもあるけど見逃してほしい。きみの手紙はいつまでも青い万年筆で書かれてることに意味があるしさ…

<メーデーメーデー、血の味がした>

目の前

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破壊と再生(『Girl Queen』自評) 

破壊と再生(『Girl Queen』自評) 

0.C.O.S.Aの往年の名曲『Girl Queen』にあるのは強い男の中で揺れる抒情の塊だった。畳みかけるようなマフィアネタのなかには、力強さが溢れ、ラッパーとしての、そして、男としての秩序すら感じる。ではなぜ、そんな強い男がひとりの少女に対して、弱々しくなくてはならないのかわたしにはわからなかった。弱さを見せる強さをわたしは知らなかった。

ただの少女が<あなた>だとして、わたしは<あなた>の

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Girl Queen (短歌30首)

Girl Queen (短歌30首)



ガールクイーン こうして壊されたきみの抒情のかけらを集め始める

不整脈から始まってく恋愛は ドラゴンムーヴ・ワンダーランド

メイド服にライターで火をつけた 心は宝石に似ているといい

なんとなく27で死ぬロックスターを夢見てた Blessed vibes

<エアドロで送られてきたモナリザ> 抱きしめてほしい どこか遠くで

すべてが灰となれと言った王様が金魚の美しさを知るまで

I r

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Tokyo (青松輝 『4』評)

Tokyo (青松輝 『4』評)

<あなた>と<わたし>がいて、そこに言葉がある。飽和した人混みの中で二人はもう一度出会う。歌集全体を通して多く登場する東京というモチーフはその必然性を引き立てるための一種のアンチテーゼとして機能しているように思える。
人の数だけ常識があり、思想があり、セカイがある。東京はそんな抱えきれないはずのセカイを孕んでいる。その中で<わたし>と<あなた>が言葉を交わすことの、顔を合わせることの必然性は二人だ

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Rhythmic (短歌30首)

Rhythmic (短歌30首)



栞は読書の、シークバーはiphoneの、あなたのcigarは私だけの

I can't give my account 触れられない傷が僕らにはつけられている

濡れたラムネ瓶の底に光る目 You are moved to tears

空に浮かぶオノマトペ すごく好きだった桜のような (リズムのような)

球体の憂鬱を見ても言葉にできない (存在しないから)

シュプリーム・きみの舌の動き

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Civilization (短歌30首)

Civilization (短歌30首)



僕だけの きみのためだけの叙情詩が
全国ロードショーする 死んで



ピンサロ嬢にも春は来る
やがて、コーラに溶けてく錠剤のように

Zから始まる英単語みたいな
ヒトが作っただけの神秘性

そよ風は生暖かさを運ぶだけ
さみしいよ サイコキラーマシーン

きっといまコインランドリーにいるよね
虹は僕からそっちに送るよ

夏祭りのあなたの動画
iphoneは海に沈めて 弱く なるから

紅の

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