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光は遠くに行くと見えない(短歌20首)


地上絵をタトゥーとして彫る 僕らには黒歴史がある はるか遠く


ナイフとフォークを外側から使うときに準備された言葉の輝き


うまく言えない (人身事故のニュースへのコメントときみへの告白を)


「I LOVE YOU」とやたらとささやき声で歌う処女のシンガーソングライター


ぼくたちは戦火を知らず戦場のメリークリスマスで泣く ベッドルーム


韻律の上の僕たち・ニュートンのリンゴ なんだっていいのに


天国で鳴っているのは電子音楽 (言葉がない電子音楽)


この場から水平線までのどこから彼方と言うのだろう KISS YOU


ふっおもしれー女、さぁ、息を吐くとあの街中に彼岸花が咲く


気が狂うような永遠の別れが来てしまう夏でも 夏はポケモン! 



べつに気にしてないけどと言いながら会話の端々に揺れる脚韻


if I were an angel きっと僕は祈りの回数だけきみを抱く



リリカルに生まれてきた時のことを綴るタイプライター   いまから


街に向かうにつれてクレシェンドのかかる歌声   それは愛の囁き


あいしてるとフリック入力する指の動きに合わせて目を動かした


蝶として小手先の美しさで踊る 多くの恋の意味を抱えて


はじまるとおわるし、声にならないと離れてゆくよ GOD SPEED


ラスサビの転調で君は主張する (空調の効いたカラオケボックス)


死にたがってばらにしろい息を吐いた Love is the beginning of death 



カプセルホテルのたった一畳で思った 光は遠くに行くと見えない





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