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森野 しゑに
2024年9月8日 15:14
魚座なだけに、私は水辺が好きだ。海辺、湖畔、川べり、池、沼、とにかく水の側に居ると落ち着く。きらきら陽の光を反射し、揺蕩いながら様々な表情を見せる水の波紋を見つめていると、吸い込まれそうになる。いつまででも眺めていられる。セイレーンというギリシャ神話に登場する人魚が岩礁に座り、美しい歌声で船乗りたちを惑わせ、荒海に誘いこみ船を難破させる、という伝説もあるが、水辺にはそんな魔性の魅力も潜
2024年3月24日 07:04
霧雨にしっとりと濡れながら白く煙る景色の中に佇んでいると夢の中に迷いこんでしまったようなぼんやりとした心持ちになってくる港の方では何度も霧笛が鳴っているその音に誘われるかのように靄に包まれ歩いてゆくとこのままどこか知らない世界へ吸い込まれてしまうような気がするこんな霧の朝に自分と同じ姿をしたもう一人の自分ドッペルゲンガーに会ってしまうのかもしれない
2023年11月30日 19:22
11月は、こちらの国の言葉では ”死者の月” と書く。第一週目の土曜日は「万世節」で、死者を弔う日であり、ハロウィンの習慣はないが、「万世節」は大切な日とされていて、故人を偲び、墓参りをしたりもする。だから11月は、彼方人の月だ。彼方人とはあの世の者、別世界の人他国から来た者のことも指すらしくこれは自分のことでもあるな…と思う。私はこの国では永遠に異邦人だ。彼方人は"あ
2023年6月8日 15:12
夢を見たことを久しぶりに起きた後も覚えていた。以前よく夢の中に出てきた、知らないはずなのによく知っている場所に私は居た。煙のように消えてしまった、あの町へまた帰って来たのだ。今までと少し違っていたのは、その町から別の町へ電車に乗って出かけ、またあの町へ帰ろうとしていることだ。だけれど、私は帰れない。降りる駅の名前が思い出せない。夢の中で私は迷っていた。仕方がないので次の駅
2023年2月13日 21:50
朝、海沿いを歩いていると、凍っていた海が溶け出しており、海風に吹き付けられた無数の氷が岸辺に打ち上げられている風景を目にした。薄いガラスの層が幾重にも積み重ねられているようで、一枚ずつ手に取り眺めたくなるような光景だった。透明な氷のプレートが朝陽にきらきら輝いて美しい。まるで自然が作り上げた現代アートのようだ。とりあえずスマホで撮影して、翌日は一眼レフ持参で同じ場所に駆けつけたものの、