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好きな曲を題材に書いたお話

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いいなぁと思う曲を聴いて浮かんだアレコレを形にしたもの。
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記事一覧

理科室で君と

理科室で君と

卒業する時に君も一緒に連れていきたかったけど

人体模型は卒業祝いにはあげられないって先生に言われたから

君の事 しばらくひとりにするけど

私は必ず帰ってくるよ それまで待っていて

時々遊びに来るからね

その時は一緒にチョコレート食べて笑って

頭蓋骨が外れる位にバカ笑いしてくれる君が大好きだよ

ずっと私と親友でいてね

君がいてくれたから ひとりじゃなかった

君と過ごした日々は例える

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夜の底

夜の底

拗れてたり 焦げてたりややこしいから

今はそっと見守っていよう

傍観者にしか見えない世界を楽しんだ後は

もう少しだけ 此処で笑いながら 強い酒を浴びて

記憶が無くなるまで 夜が明けるまで混沌とした宴に酔いしれよう

天翔る調べ

天翔る調べ

移ろう季節の中 未来が見えなくて迷い続けた日々

光が指し示す方を目指してガムシャラに走るだけ

僅かな希望を胸に 口ずさんだメロディは明日の夢を描いて空を翔る

Ah どこまでも高く舞い上がって

戸惑いも 悩みも今は忘れて 羽ばたこう

久しぶりに見上げた空は真っ青で雲ひとつなく冴え渡り

僕らの輝ける明日を現しているようだ

迷いも 憂いも捨ててしまって

自分を信じて1歩先に行こう

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凍てつく夜に

凍てつく夜に

夜の混沌を煮込んだカレーを食べながら君の歌を聴いている

心を揺さぶる歌声は今宵も私の弱いところに突き刺さってくるから‥

強めのアルコールを口にして涙を堪えた

深夜過ぎて澄んだ空気の中に響く君の歌声は荒れた心に染み込んで

カレーを食べ終わる頃には穏やかな気持ちになっているのだ

今宵も 君の歌に救われて無事に夜を越えられそうでホッとする

朝が来るまであと少しだけ

君の歌声を子守唄に‥

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恋文はピアノの音に乗せて

恋文はピアノの音に乗せて

美しく澄んだ音に 今夜も魅せられていく

嗚呼 この音に逢いたくて

今日も生きてきた

彼女の魂の叫びを聴いている

ずっと叶えたい夢を追いかけている

その背中を 私も追いかける

嗚呼 今宵も あなたの音に癒されて

許される

生きていていいのよと

ピアノが囁いてくれる

遠い街から届く恋文のように

熱い想いは音に乗って

心模様は雨のち晴れ

心模様は雨のち晴れ

せっかくの休日なのに…

さっきまで晴れてた空からは嫌がらせのような雨。

私ついてないなぁ。

おろしたてのスカートは、雨に濡れてぐっしょりしているし…

気合いを入れてセットした髪も水分を含んであっちこっちハネ散らかしてる。

慌てて乗った電車は、行き先とは逆方向だし、このままだと待ち合わせに遅れてしまう。

とりあえず遅れそうな事を伝えようとメッセージを送るけど既読がつかないから悲しくなる。

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星の降る街にて

星の降る街にて

世界の最果てにある、星が降る街の小さな工房で、僕は今日も星を作っている。

この輝きがいつの日か 、僕の大切な人達に届くと信じて…

毎日コツコツとひとつずつ星を手作りしているんだよ。

星はどうやって作るのかって?

そんなに知りたいのかい?

それはね…

世界中から集まる、様々な人達の色んな想いや願いを星屑に混ぜてから、うちの工房の秘伝の素を少しだけ加えて煮込むんだよ。

材料を全て混ぜて煮

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musica

musica

世界に解き放たれた

貴方の音を 歌を 言の葉を余す事無く

ひとり楽しむ 優しい時間

嗚呼 夢のようだ この瞬間を‥

ずっと待っていたんだ

1曲ずつ 少しずつ 心に染み込ませていく 大切に 大切に

嗚呼 夢みたいだ このトキメキを‥

何て表現すればいいんだろう

貴方の音を 耳で確かめながら 心で捕らえようとするけれど‥

全ては掴み取れなくて必死になっている

貴方が奏でる音楽はいつ

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冬色ショコラ

冬色ショコラ

あの頃の私は少しだけ背伸びしていた。

いつもの待ち合わせのカフェであなたに合わせて本当は飲めないブラックコーヒーを口にして、渋くて美味しいなんて笑っていたんだ。

渋さを誤魔化す為に、甘すぎるガトーショコラを一緒に頼んで誤魔化していたのを覚えている。

無理してたんだなぁ…

私よりも大人で素敵なあなたに子どもだって思われたくなくて、色々と背伸びをしていたみたい。

服装も、会話も、必死にあなた

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レンズ越しの恋

レンズ越しの恋

彼女はいつもお気に入りのカメラで僕を撮影しては満足気な顔。

季節ごとに撮影スポットを決めていて、必ずその場所で景色の中におさまる僕を撮るんだ。

好きなだけ撮影すると満足気に、もう帰ろうって…

君と過ごした幾つもの季節。

ふたりで映っているのは、たった1枚だけしかない。

後は、全部僕ひとりだけの写真。

桜と僕、海と僕、紅葉と僕、雪と僕…

君はいつもレンズ越しに僕を見つめていて、僕はレン

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巡る春に想いを寄せて

巡る春に想いを寄せて

いつもの待ち合わせのベンチ

少しだけ早めに来て君を待つ

桜並木をゆっくりと歩いてくる君をファインダー越しに眺めたいから

遅くなってごめん!と謝る君に私も今来たところだよと笑ってシャッターを何度も切る

ファインダー越しに眺める君は少し不満顔

舞い落ちる桜の花びらが君の髪を飾って神秘的だから またシャッターを切る

もう撮らないでって言いながら手でバツを作って撮影禁止にされるまで君を撮ってい

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ファインダー越しの君と桜と…

ファインダー越しの君と桜と…

お気に入りのカメラに、大好きな君を収めたくて待ち合わせる度に君を撮っていたあの頃。

時がふたりを分かつ日が来るなんて思っていなかった。

くだらない事でケンカしたり、笑いあっていた日々が懐かしい。

ファインダー越しに映し出される君があの頃の私の世界の縮図みたいで、写真を見ると今でもあの頃にタイムスリップしてしまうけれど…

幼い恋心はいつしか愛に変わり、新しい世界に進む君と別れる事を選んだ。

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ソーダ水の憂鬱

ソーダ水の憂鬱

お金を出して君が手に入れたのは気の抜けた味のないソーダ水

近くにある物 無料で手に入る物より

眩しく見えた物だけど

手に入れて見たら何の価値もないって笑っちゃうでしょ

周りがいいねって言うと良く見えるのは仕方ないけど

見る目を磨いて生きていこうよ

君は磨けば光る原石だけど

間違えた磨き方をしてもすり減るだけだから

気の抜けたソーダ水を美味しいって言い合うような下らない付き合いは止め

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君を振り向かせる音はまだ俺には出せない

君を振り向かせる音はまだ俺には出せない

やけに女の子くさい君の声が耳に残る

置き忘れた青春を取り戻しているのかな

君を女の子の顔にするのはやはりアイツなんだろうか

会った事はないが、顔と声は知っている男を思い浮かべて歯噛みする

いつもは強気で仕事をバリバリして隙を見せない君を頼りない女の子に変えてしまうなんて…

アイツはズルい男だな

冷めた珈琲に気づかずに、珈琲を冷まそうとして息を吹きかける君は未だ恋の魔法にかかったままみた

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