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エッセイ

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エッセイという形を意識しはじめた頃からの作品たち。
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#眠れない夜に

91. 洗濯日和。

91. 洗濯日和。

あー、もうすぐ土日終わっちゃうな。
早く食器洗わなきゃな、と思いながらソファに寝転がり、天井を見ている。贅沢な時間だな。

久々に何の予定もない土日。金曜日の夜に、ベッドカバーとタオルケットを洗おうと決めて寝た。
ただ土曜日はいつも午前中を溶かしてしまうし、なんなら夜にホットヨガに行くまであまり動かないので、いつもあってないようなもの。だからどうせやるのは日曜日か、と思ってたけど、今回は気がついた

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89. 浮気と、自己愛。

89. 浮気と、自己愛。

学生の頃、写真を撮るのが上手な男の子と付き合っていました。
彼は会うとまず、服や髪型を褒める前に私の写真を撮りました。一緒に過ごす楽しい瞬間や嬉しい表情も、全部写真に収めました。たまに、怒っている姿も。

大人になって、一緒に仕事をしたカメラマンさんが言ってた。写真を撮る時、カメラマンは被写体に恋をしてるって。

私は彼が私以外の女の子の写真を撮るのをなんとなくモヤモヤした気持ちで見てたけど、そう

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78. 早寝で夜更かし。

78. 早寝で夜更かし。

早く寝れそうな日。早めにお布団に入ってみたときに限って、なんでもかんでも頭に浮かんで、胸がトクトク高鳴って眠れない。

大事な誰かに会いたいような、お話しに行きたいような、ワクワクするような、いやむしろなんだか泣きたいような、そんな風に気持ちがどんどん駆け巡って眠れない。明日の服とか朝ごはんとか考えて、試してみたい気持ちになって頭の中で何度もシミュレーションしてみたりしちゃう。

こんな時、なんだ

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73. ふと送れる手紙。

73. ふと送れる手紙。

ふと、何してるかなと思ったあの人へ。

話したいことなんて特にないけど、
なんとなく、あなたに会いたいような気分。
ちょっとした贈り物でも、したい気分。

そんな時に送れる手紙があったらいいな
と思って書いてみました。

——

お元気ですか。
どんな毎日を過ごしていますか。

最近、なかなか会えていないけど
流れていく日々の中でふと、あなたを思い出して
この手紙を送ろうと思いました。
これといっ

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68. 噛み締めてても、地球は回る。

68. 噛み締めてても、地球は回る。

新しい本よりもお気に入りの本を持ち歩くタイプ。慣れない場所に行っても、初めての人と会うときでも、その本をひらけば心が満たされる。そういう安心のスイッチをカバンに入れていたい。ま、そもそも本なんて持ち歩いてないんだけどね。そういうタイプって話。

つまり、新しいものに出会うより、お気に入りを噛み締めていたい。穴があくまで。もうこれは、そういう性なんだと思う。いや、癖なのかもしれない。

噛み締めてい

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64. 喧嘩が怖くて、愛が怖い。

64. 喧嘩が怖くて、愛が怖い。

まっすぐ愛情を向けられると、いつかおきる喧嘩が怖くて、目を逸らしたくなる。

好きだよ、という言葉が、(成果や見返りを)期待しているからね、と聞こえてしまう時がある。自分の気持ちが追いついているうちはいいんだけど、いつの間にかその期待が私の気持ちを追い抜いて、せっかく好きだって言ったのに!と喧嘩になるのが怖い。

人と喧嘩をしそうになったら、真っ向から戦うよりも、考えを変えるか、諦めるか、どちらか

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60. 夏休み、終わり。

60. 夏休み、終わり。

お盆が終わっちゃう。私の1週間ばかりの夏休み。

お盆のはじまりに、おばあちゃんの家に行った。いつも通り買っていったお弁当(うなぎ)をみんなで食べて、おしゃべりした。私がこの前初めてモモを剥いて大失敗した話をしたら、おばあちゃんが、今うちにあるから剥いてみたら、ってでっかいモモを出してくれた。
お兄ちゃんと、あーでもないこーでもないとスマホで調べながら、狭い台所で右往左往する。ぐつぐつ鍋にお湯を沸

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57. もう友達には戻れないかもしれない。

57. もう友達には戻れないかもしれない。

同じものを見て、良いねって言い合うのが友達だとしたら、私たちはもう友達には戻れないのかもしれない。

友達ってなろうとしてなるもんじゃないよな。そして同じように、やめようと思ってやめるものでもないような気がする。
これは、大人になって分かったこと。

価値観や言葉や性格は、生まれ持ったものと通ってきた道と今いる環境でできている。私が思うにやっぱり環境の影響は大きくて、善悪も理想も今近くにあるモデル

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54. 幸せの象徴のような。

54. 幸せの象徴のような。

27歳にもなると、周りがどんどん結婚する。
どんどん、どんどん結婚する。どのくらいかと言えば、インスタを眺めていれば1ヶ月に2〜3回くらいは結婚報告を見られるくらい。
私は愛知出身なので、特に地元の子の結婚報告をよくみる。まあ東京に来てから繋がってるのは基本的に会社の人だけだから当たり前と言えば当たり前だけど。小学校から大学にかけて知り合った人たちのうち、たぶん半分くらいは結婚したんじゃないだろう

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53. 寂しくない東京。

53. 寂しくない東京。

東京に来た時、全部が遠くにあった。
仕事も職場も一人暮らしも初めてで、自分が今まで触れてきたものとはまるで違って、なんだか全部にすごくエネルギーが必要だった。自分よりエネルギーに溢れた人や空間に囲まれて、なんとかそれに合わせているような顔をし続けなければいけなかった。その上私は地元にいる彼氏と遠距離恋愛をしていて、もうすでに完成されている社会人たちの世界の中に組み込まれていく私と、心が疲れて休学し

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