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めんま、
2019年4月21日 02:13
東京はもう葉桜だよ、そんなことはどうでもよかった。最終列車に乗り込むのを諦めた。乗りたくなかった。帰りたくなかった。明日が休みだからなのか家に一人だからなのかは考えないようにした。コンビニで買った缶チューハイはもうぬるくなっている。大好きな人が恋人がだったころ、僕は幸せだったかな。僕は笑っていたかな。不安はなかったかな。見ないふりをお互いに続けて、すれ違いは平行線上
2019年3月8日 00:42
「別れよう」チェダーチーズの挟まったサンドイッチを頬張りながら彼女はそう言った。一瞬、内耳でそれが止まったわけだけど“別れ”を切り出されたことを僕は理解した。何も言えないまま、緩い時間が過ぎていくのを左手首で感じながらお揃いの指輪を眺めていた。理由も聞けないままでいると彼女はサンドイッチを食べきって、おもむろに小説を取り出す。お皿に落ちた萎れたレタスが僕のようで、情けない
2019年3月12日 20:27
空虚な心の最上階には漠然とした不安が住み着いていた。まるで冷え切ったトマト缶をぶちまけたみたいな感情だけ。赤が散らばって、酸っぱい匂いが充満する。専ら、人生は楽しくない。強かな弱さ、カビの生えたドーナツの穴。そんな感じだった。よく分からないけど、多分そんな感じだった。“人生とは”、そんなことを考えながら生きる毎日は充実だけが正義みたいだし、丁寧な暮らしとやらは心を殺
2019年2月25日 17:31
彼がお風呂場にもトイレにも携帯を持っていくようになったのが、去年の冬ごろだった。気にしないようにしようと思っていたけど気になるし、そんなちいさなことを気にしている自分が嫌いだった。煙草の銘柄もあれだけ変えなかったくせに、ころっと変わった。それも同じ頃だった。その時、彼になんとなく聞いたことがある。「どうして変えたの?」彼は無愛想な声で答えた。「飽きたからだよ」その時、悟
2019年1月3日 22:19
暑いアスファルトに転がった光が、夏を飽和させた。ビルの隙間を生ぬるい風が横切って、彼女の髪を揺らしてみせる。僕のほうに振り返った彼女の目は赤くなっていて、僕の人生はそこで焦点が合わなくなったのだ。あれから3年と2ヶ月、それから17日経過。何一つ変わらないぼやけた人生に君はいない。「なんかいいことないかな」それが口癖になってから、失ったものは多くなったと思った。それに加えて、
2018年12月18日 22:39
「シティーガールでいたいの」ティースプーンでレモンティーを搔きまわしながら彼女は呟いた。そう言った彼女の目は死んでいて、揺れる目の奥に光は届かない。気取った喫茶店で気取ったお洋服たち、気取った大ぶりアクセサリーに気取った会話。20歳らしい青くささが愛おしい。「へぇ、どうしてなの?」くだらない返事をしてみたのは同い年の僕だった。「特に理由はないのよ」僕の目を睨
2018年12月17日 21:05
終着した。ベッドの隅に落ちた情けない姿の下着を履いて、欠伸を1つ。虚しい朝、シャワーを浴びながら昨夜のことを思い出していた。彼の左手の薬指に光る指輪を見て見ぬ振りしては、身体を何度も重ねた。目を瞑る彼が誰を想像してるかなんて考えたくもない。「先に出るね」事後、愛を一つも残さずにネクタイを締めながら出ていく彼のシャツには、綺麗にアイロンをかけた跡がついていた。優しい柔軟剤の
2018年11月14日 00:36
止まりかけた、何がかなんていうまでもない。「人生だよ、人生」独り言だけがポツンと側に居た。コンビニで安い酒を買った、飲めもしないのに。振られてやった、たいして好きじゃなかったし。 秋雨前線が南下、東京の街を濡らした。終わらない就活、リクルートスーツの裾から雨が垂れている。 使い古した黒いパンプスのヒールが折れた帰り道、転けた、擦り傷、いたい、いたい、いたい。いたかっ