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日向ぼっこ

暑いアスファルトに転がった光が、
夏を飽和させた。

ビルの隙間を生ぬるい風が横切って、彼女の髪を揺らしてみせる。
僕のほうに振り返った彼女の目は赤くなっていて、僕の人生はそこで焦点が合わなくなったのだ。

あれから3年と2ヶ月、それから17日経過。
何一つ変わらないぼやけた人生に君はいない。

「なんかいいことないかな」

それが口癖になってから、失ったものは多くなったと思った。
それに加えて、手に入るものすら何一つない。

天気予報士が伝えた晴天、
それを裏切る雨。
壊れかけた扇風機に遣る瀬無い気持ちが巻き込まれていた。
枯れたひまわりが未だに道端で背を曲げて佇んでいるものだから、気持ちの奥底がむず痒くなる。

“優し過ぎるのもだめなんだよ”
と笑っていた彼女はあの夕焼けの向こうで泣いているだろうか。

いつまでたっても彼女を忘れられない、
そんな僕のインスタのユーザー検索履歴には彼女のアカウントが残っている。
女々しいと笑われたって仕方がない。

もうどうにでもなればいい、
どうにかしてほしい。
どうにかしたい。

もう少し未練をたらしながら自分に酔っ払って生きていこうと思うよ。
彼女の楽しそうな人生を肴に、
僕は今日も野垂れ死ぬ。

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