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しゅうちゃく

終着した。

ベッドの隅に落ちた情けない姿の下着を履いて、欠伸を1つ。

虚しい朝、シャワーを浴びながら昨夜のことを思い出していた。

彼の左手の薬指に光る指輪を見て見ぬ振りしては、身体を何度も重ねた。
目を瞑る彼が誰を想像してるかなんて考えたくもない。

「先に出るね」

事後、愛を一つも残さずにネクタイを締めながら出ていく彼のシャツには、綺麗にアイロンをかけた跡がついていた。

優しい柔軟剤の香りを私の服に残して去っていくのだ。

体も拭かず、バスタオルだけを羽織って、
ベッドの端に座り込んだ。

熱のない皺だらけのシーツに小さな染みが1つ、2つと増えていく。
頬を伝うそれが愚かで、
虚しい自分を責めているように思えた。

執着していたのは私だった。

彼が求めているのは私でもなんでもない。
欲と暇を潰したい。そんなもんなんだろう。
気づかないふりをしていた自分を、
殺したくなった。

背伸びをして買ったピンヒール、
靴擦れに貼った絆創膏、
似合わないワンピース、
慣れないメイク、

どれもこれも偽物だった。

ぼろぼろの自分を抱えこんだ。

携帯を取り出し、彼の連絡先を見つめた。
文字の羅列だけなのに
愛おしいなんてずるいな。ずるすぎる。

そんなくだらない平日が日常化していた。

待つ先には絶望しかないのに。

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