ヨルシカの心に穴が空いたについて考えたこと

ヨルシカさんの心に穴が空いたの歌詞について考察したことです。

「微睡むように深く夜を纏った目の奥に月明かりを見るまで」の深くは、
深く=不覚ふかく=目覚めていない と取れます。
おくに=おくに とすると、
『エイミー』(曲)の「何処か遠くの国」と同じ場所なのかなと。
(月光DVDで言及されている、天国の事なのかもしれません)
自分自身の目の奥は、ある意味で自分から一番遠い場所のように感じます。

微睡む(まどろむ)、纏った(まとった)から、まどを連想しました。
黒目という夜の窓の中に、月明かりが差すのかなと。


「空」の部首は「穴」で、青天井(青空)の穴の底にいる感覚からだという、漢字の成り立ちの説を見ました。
『心に穴が空いた』の「脳裏を埋め切った青空」は、心の暗闇に青空という穴が開いたとも取れます。
海底で見た月明かりも、闇に空いた穴、出口に見えたのかなと。

「窓」の部首も「穴」で、窓は壁に作った穴だと思えるので、
451「胸の窓を開けて」も穴と取れて『心に穴が空いた』に繋がります。
開いた窓から太陽(青空)が見えると。


いた」は、あいた、に掛けている気がします。
心に穴が空いたらおそらく痛いので。

「僕の心に穴が開いた 君の言葉で穴が開いた 今ならわかるよ 「君だけが僕の音楽」なんだよ、エイミー」は、
エルマのheart(心)に空白スペースが開いてhe art(彼の音楽)になった
とすると、エルマがエイミーの音楽だという歌詞に合います。

「開いた」「空いた」という二つの表記は、
エイミーがエルマの心の扉を開けた事(開いた)
エイミーが居なくなって、心に空き部屋ができた事(空いた)
で区別してる気がします。
幽霊(エイミーとの思い出)が棲んでも空き部屋のままで、
心の扉を開けたエイミーの言葉に縋り付いている限り、心に穴が空いたままなのかなと。

心に穴が空いたは、そらいた、つまり心に空ができたとも取れます。
「脳裏を埋め切った青空」の脳裏=心とすれば、心を埋めた青空です。
心に穴が開いたとも、そらで埋まったとも取れる出来事だったのかなと。
心の扉が開いて、青空が見えた、という。

「忘れたい脳裏を埋め切った青空に君を描き出すだけ」は、
心が開いて青空が見えた(開いた)後、エイミーが居なくなり青空だけで埋まった(空いた)、
心に穴が空いたような喪失感を知るぐらいなら、青空を見たくなかった、青空を忘れたい、と思えます。
「貴方を真似たものを書くたびに青空が浮かぶ」と日記帳108ページにありますし。
忘れたい青空に君を描き出すのは、君を忘れられないからかなと思います。

「深く夜を纏った目の奥に月明かりを見るまで」は、
心を埋めた空の中で、月明かりを探しているように思いました。



腔という漢字は、口腔などの熟語があり、体内で空になっている所を意味します。
心に穴が空いて月の空(腔)ができたのかなと。

満腔(まんこう)は体中や心底という意味で、
「夜を纏った目の奥に月明かりを見るまで」は満腔に月を見ると取れます。
「満月の空」と書いて「満腔」なので、
エルマの満腔のなかに、満月の空があるのかなと。
夜紛いでのエイミーの「君に一つでいい、ただ穴を開けたい」が変な意味にも聞こえてきますが。

月差す=つきさす=突き刺す とすると、
月明かりが心に突き刺さって、心に穴が空いたとも取れます。
エイミーは、エルマの詩に月明かりを見て音楽を再び始めました。(たぼ辞めの手紙より)
エイミーにとって「エルマだけが僕の音楽」なので、
エイミーの心に穴を開けた音楽」は、心に穴を明けた音楽、月明かりなのかなと。

「君の残した詩のせいだ 全部音楽のせいだ」は、
君の残した死のせいだ 全部音楽の生だ
と思えそうです。


夜紛い「君に一つでいい 風穴を開けたい」の穴は月の形で、紛い物の月、嘘月なのかなと。
「がらんどうの心が夕陽の街を歩いてく 銃身よりも重いと引き攣ったその嘘の分だけ」とありますし。
「君の言葉で穴が開いた」、エルマは紛い物の月を開けられて、月を探さずにいられなくなった(「月明かりを見るまで」)ように思いました。
夜の闇の中で光る月は、夜空に空いた穴にも見えますし。

エルマ(曲)の「嘘つきなんて わかって 触れて エルマ まだ まだ痛いよ」は、心の穴という嘘月(嘘つき)に触れて痛がってるのかなとか。



『八月、某、月明かり』の「ロックンロールは僕を救った」は
救った=巣くった でもある気がします。
誰かを救ったものは、その誰かの心の中に棲み続けるのでしょう。
それを悪い言い方にすると、巣くう、と表現できそうです。

心に穴が空いたの対の曲『夜紛い』には、マシンガンが出てきます。
マシンガンで蜂の巣にする(穴を空ける)事と、巣くう(救う)を掛けてる気がします。

「君だけが僕の音楽」という歌詞が両方のアルバムにある事を踏まえると、
エルマとエイミーは、お互いに救い(巣くい)あっていた気がします。

「君の心に穴を開けた音楽が何だって言うんだ」
「心に穴が空いたその向こう側に君が棲んだ」より、
音楽はエイミーを救い(巣くい)、エイミーはエルマを救った(巣くった)のかなと。


エルマ(対潜迫撃砲)はスウェーデンで開発されたもので、ヨルシカのエルマを連想します。ノーチラス号(潜水艦)に繋がりますし。
潜水艦に穴を開け、浮上せざるを得なくさせるらしいです(wikiより)。
エルマの詩を見てエイミーは再び音楽を始めた=エルマによって再び浮上した かなと思いました。
ノーチラスに穴が空いたと。
エイミーの心に穴を開けた音楽」「エルマだけがエイミーの音楽」より、
エルマによって穴が開いたと取れます。
夜紛いに「人生ごとマシンガン」「君に一つでいい風穴を開けたい」とありますが、最初に穴を開けられたのはエイミーの方なのかなとか。


心に穴が空いたMVで糸に操られているのは、「繕って」「縋り付いた」という歌詞に繋がる気がします。
繕っても顔のない自分で、糸に操られたまま、君の糸(言葉)に縋り付くと。
蜘蛛の巣の糸に捕まるように、心の穴に棲んだエイミーの糸に囚われたのかなと思いました。 

以上です。