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クロネコ谷の日々

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庭の仕事と猫、時々ものつくりの備忘録。丘陵地にある古い家にて。 2020年6月はじまりから2023年2月
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#ひびのこと

(172)霜月もわずか

(172)霜月もわずか

暖かい日が続いていたのに昨日の朝とうとう庭に霜が降りていた。冬到来だ。ピラカンサスの実がうちでは早くに赤くなり、真っ赤を通り越して熟して枯れて落ちてきたので採取することにした。まるい赤い実と緑の葉がわさわさとしてるとなんだかワクワクしてくる。赤と緑は人間にとって本能的に嬉しくなる色なんじゃないだろうか。 ピラカンサスはピラカンサとも言うらしくて、どうやらピラカンサが主流ぽいが私はピラカンサス

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(112)秋の時間の過ごし方

(112)秋の時間の過ごし方

10月に入ってから再読しているゲド戦記にハマってどんどん読み進めていて、それと同時にラジオを聴かなくなってしまった。一度久々に聴いてみようかとスイッチを入れてみたけど、いつものJ-WAVEもどの局も煩く感じてしまいラジオを消した。若い頃は物語にのめり込み過ぎて、現実と物語が逆転して現実がファンタジーのように思われていたが今はそこまでのめり込むことはなく、客観的に読むのでその分以前読んだ時よりも物語

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(96)暑さが去り

(96)暑さが去り

昨日ようやく庭の草むしりをしている時、紫式部の枝の下がミルクを零したように白くなっていた。はて?と近づいて見て、もしやコレが噂の粘菌かしらとまじまじと眺めたが触ってみる勇気はないので写真を撮った。

ピンク色のミズヒキにタデ、紫色のヤブランやムラサキシキブの実、シロシキブの白い実に黄色のキンミズヒキ、小さな花々が色とりどりに緑の庭にポツポツと咲いている。庭はくしゃくしゃでも、季節が巡って新しい花が

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(92)猫たちのマイブーム

(92)猫たちのマイブーム

今日は携帯を持ち忘れてしまって、身軽な一日だった。やっぱりスマホ見過ぎだなと実感してしまった。だから夕焼けも昨日撮った空。

このところ、私が出かけようとすると猫たちが玄関に寝転んでいる。玄関マットにジジ、たたきの靴の上にモモが寝そべり、四つの目が私をジッと見つめている。

すぐに一匹づつ拾って両脇に大きな黒猫を抱えて、急いでリビングに戻って、猫たちを指定の場所に座らせるのだけど肝心の場所がわから

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(89)梅ごはんと胃カメラ

(89)梅ごはんと胃カメラ

朝の庭に出ると、生き物たちが秋の顔ぶれになってきて、光線の角度が変わるから、気温が高くても秋の色を帯びている。小ちゃかった女郎蜘蛛が立派な巣を張るようになったし、青紫蘇にいつもと違うバッタが堂々としていた。カマドウマかしらと思ったが、これがトノサマバッタで、いつものはショウリョウバッタというらしい。バッタが幾らか減っているのは姿は見えないがカマキリが頑張っているのかも。

最近食欲がなくて食べられ

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(76)もうすぐ雨が

(76)もうすぐ雨が

今朝玄関を掃除しようと靴を動かすと、ニホントカゲの赤ちゃんが隠れていた。捕まえようにもすばしこいので、あっちへ行ったりこっちへ来たり。追い出すと表にいる猫の爪ににかかってしまうが、猫たちは外を眺めてぼんやりして、まだトカゲに気付いていない。そこでまず、猫たちを呼び寄せた。すぐに二匹とも帰ってきてトカゲの赤ちゃんを飛び越えて家の中に入ったので、奥の涼しい部屋へ入るのを確認してから、急いでトカゲの赤ち

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(71)あと一日

(71)あと一日

おはよう、カマキリ。カーテンを開けながら、網戸のカマキリに挨拶する。カマキリの脚はどうなっているのかと、写真を撮ろうとしても上手くいかない。カメラを変えてもダメ、諦めて身体を起こすと、カマキリも大きく息を吐くように身体を揺らした。それはそうか、網戸ごしにお腹側からジロジロ覗かれて緊張していたらしい。

酔芙蓉は、小学校で行事のたびに作らされた、薄紙の花にそっくりだ。水分を多く含んでしっとりした花弁

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(66)猫の適温

(66)猫の適温

朝6時すでに温度計が28℃を指していて、爽やかさがまったくない。気温がどんどん上がってくるので、急いで水遣りをする。猫たちは怠そうに庭を眺めている。モモはテラスの柵に上がって、草むらを見つめていたが、しばらくすると蝉が騒々しく飛んで行った。

家の中でジジの姿が見えなくなり、探していると暑い和室にいた。エアコンの27℃が寒いらしい。モモは暑くて、玄関のタタキに寝ているし、なかなか、温度調節は難しい

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(62)ひと休みしよう。

(62)ひと休みしよう。

みんな元気だけど、あまりに暑くて、するべきことをしただけで、クタクタになってしまったので、晩ご飯食べたら終了モード。モモは首と胸のモサモサをカットしたので、涼しくなってよかったね。ジジは風の来ないテーブルの上に、クッション所望して満足なり。みんなお疲れさま。

(60)盛夏へ向かう

(60)盛夏へ向かう

虫喰い穴だらけの青紫蘇が元気になってきたので、一枚ずつ、ありがとうと葉をもらってくる。零れ種から生えてくるので、あちこちに小さな株があって手間だけれども、以前に植え替えをしたら、途端に勢いがなくなったので、紫蘇は生えるに任せている。

緑がどんどん濃くなって、いきなり盛夏の気配になってきた。梅雨が終わると、シダ類が枯れて茶色くなるので、枯れた葉をのぞく。冬に枯れたシダを素手で折ったときに、硬い繊維

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(58)いきなりの夏本番

(58)いきなりの夏本番

突然始まった夏本番に身体が追いつかなくて猫も大変そうだ。朝早いうちに庭仕事をしないと、暑さに弱い私は何もできなくなる。

花の終わったヤブカンゾウの茂みを細身のシャベルで掘り起こす。シャベルに種類があって、幅広のは掘り起こしには向かないなどというのは、この家に来てから知った。畳二畳くらいの草むらを掘り起こしたら滝のような汗。シャベルに全身の体重をかけるのは、結構なエネルギーがいるらしくて、シャベル

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(56)梅雨が明けたら

(56)梅雨が明けたら

長い長い梅雨が明けたので、庭仕事も再開。東側にある紫陽花を剪定して、きれいな花を乾かしてみる。いつもは梅雨明けに爽やかな風の吹く日があるのに、今年はもういきなり夏本番へ向かう暑さ。紫陽花を乾かすのには向いていないし、つい一昨日まで雨だったから花も水分が多く、うまくいかないかもしれない。

ハランの茂みが増えすぎて、中央付近にアシナガバチが巣を作り、しかもどんどん大きくなる。時折側を通る必要があるの

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(48)スポーツの日に想う

(48)スポーツの日に想う

朝窓から覗くと大きなキュウリが垂れ下がっていたので、染め作業を中断して慌てて取りに行ったついでに、紫式部の紫にならないまだ緑色の実がついている枝と、花の咲いたレモンバームも摘んできた。あんな蒸し暑い庭で元気なのに、活けてみたらとても涼しげに見えて、緑って不思議だなと思う。

夕方仕事が片付かないままバイトへ行ったので、帰宅して猫のごはんをやるとすぐに、染液に浸けて冷ましておいた糸を洗って、作りかけ

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(37)しなやかさへの憧れ

(37)しなやかさへの憧れ

雨雲に覆われた空はどこまでも陰鬱なグレイが広がっている。

パスワードは間違えればロックがかかってしまう。もはや常識だろう。なのに「入力を間違えたからロックがかかった」という事実を受け入れる事ができないとは、どういう心理なのだろう? 五十歳くらいの、一般的な社会人男性らしい落ち着いた話し方だが、〈正しいパスワードを入力した(と思っている)のにロックされた〉時点から一歩も動けないらしい。柔軟性が全く

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