（71）あと一日

おはよう、カマキリ。カーテンを開けながら、網戸のカマキリに挨拶する。カマキリの脚はどうなっているのかと、写真を撮ろうとしても上手くいかない。カメラを変えてもダメ、諦めて身体を起こすと、カマキリも大きく息を吐くように身体を揺らした。それはそうか、網戸ごしにお腹側からジロジロ覗かれて緊張していたらしい。

酔芙蓉は、小学校で行事のたびに作らされた、薄紙の花にそっくりだ。水分を多く含んでしっとりした花弁だけど、くしゃくしゃした雰囲気に白とピンクの色合いとか。今は薄紙の花なんて作らないのかな。

玄関にピッカピカの金色のハナムグリのような虫がいた。カメラを取りに行く間にどこかへ行ってしまったけれど、誰かのペットなのか、この辺りに住んでるのか。どっちなんだろう？

お留守番頼むねと、猫たちに声をかけると、ジジが私の目を見ながら、ニャーッと抗議してきた。わかるよ、わかる。あと一日、がんばろう。