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図書館員、八尺様の夢を見る
こんな夢を見た。
場所は今所属している図書館ではなく同じ自治体の本館で、時間帯は午後3時くらいだったろう。薄曇りの、夏のことだったように思える。
現実とは違って、夢の中の本館は図書カウンターが正方形の形をしていた。上から見るとちょうどロの字になっており、職員は中に入って仕事をするらしい。必然的にお客が四方向からやってくるという構造で、しかもこのカウンタースペースが広い。あっちからもこっち
図書館員、自由研究少年少女のその後を耳にする 自由研究人生台無し編
所変われば品変わる……世代変われば見方も変わる。そして夏休みの宿題の価値も変わる、らしい。らしい、というのは伝聞だからであって、もしかしたらとっくにそういう時代になっていたのかもしれない。そういう時代とは何かと具体的に言えば、夏休みの自由研究の発表がその後のスクールライフを大きく左右するのかもしれない時代ということである。無論、大げさに言っている。言っているけれど小学生たちは小学生たちなりに真剣
もっとみる図書館員、雨には負けぬが水道管破裂には負け……ていられない
『雨ふる本屋』という児童書のシリーズがある。
作者は日向理恵子さん。主人公の少女ルウ子はひろったカタツムリに誘われて図書館の中に現れた古本屋こと「雨ふる本屋」へと入り込む。そこはドードー鳥が店主におさまる不思議な本屋、書棚に並ぶ本は人間に忘れられてしまった物語に雨をかけることでできたものだという……そんなファンタジックなお話は現在5巻まで刊行されており、借りていくお客さんも少なくない。
雨
図書館員、こまったさんレシピで夕飯にする
昔々、自分が小学生だった頃、子供には子供ならではの面倒ごとがあり、しがらみがあり、因習があった。そのうちのひとつが、《男子もしくは女子における読んで良い本いけない本問題》である。男子の本、女子の本……《男子or女子のための本》というくくりと言った方がわかりやすいか……小田雅久仁氏の小説『本にだって雄と雌があります』のような話ではない。
明確にではないにせよ学校の図書室には、男の子が読む本、女
図書館員、その本いつまでもあると思うなと語る 真夏のゲルググ編
こんな本自分しか借りないだろうと思ったのに! と、予想がハズれて憤るお客さんがちょいちょいいる。
真夏の炎天下の中顔を真っ赤にしてシャアゲルググのように目尻を吊り上げ憤慨するお客さんが手汗でくしゃくしゃのレシートを見せてきたことがあった。見慣れてる書籍案内レシートなのに何か違う……なるほど、よく見れば本館で出されたものだ。
話を聞けば、新聞の書評を見て興味を持った本を探そうといつも使って
「こ」は「高円寺」の「こ」、『山形料理と地酒まら』
先日の『アメトーーク《高円寺大好き芸人》』にて『山形料理と地酒まら』が出ていてビックリ……どんなお店かといいますと、酒も美味けりゃ肴も美味い、おまけに米も蕎麦美味い、野球でいうなら打ってよし守ってよしの山形の名産品を食べさせてくれる居酒屋さんです……もちろんアルコールがあったのは緊急事態宣言前ですが。
飲みに行きたいのに飲みに行けない、そんなステイホームの苦杯を舐めさせられている全国の酒好き
図書館員、その本いつまでもあると思うなと語る ワイン編
「いつまでも あると思うな 親と金」……昔の人は含蓄のあることを言った。でまあ、当note的テーマにするとやっぱり「いつまでも あると思うな 書架の本」になる……まあ、今回泣くのはこちらではなくてお客さんの話。
コロナに揺れていた去年の、閉館期間が明けてようやく書架にお客さんも入れるようになったタイミングのこと。お酒についての本コーナーでひとりぶりぶりお怒りの男性客があった。ぶりぶりざえもんな
図書館員、音響コーナーを偲ぶ……いや、あんまり偲ばない
かつてうちの図書館には視聴覚コーナーがあり、CDがクラシックから邦楽洋楽、アニソンや映画音楽、落語から稲川淳二の怪談までずらりと並んでいた もちろん《試聴》ブースも併設され、1日1時間、希望者は思い思いのCDを《試聴》できた。
何故《カッコ》つきなのか?
《視聴》ブースではなく、《試聴》ブースだからである、似て非なるものであるとわかっていただきたい。あくまで試聴なので4枚組の壮大なクラシッ