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パリ在住ファッションデザイナーが語る、 海外ブランドへの転職プロセス

私は、2000年の夏の終わりに日本を離れてから約20年間、ずっとフランス或いはアメリカのラグジュアリーブランド数社でデザイナーとして働いてきた。そして今、次のキャリアアップを図るために転職活動を始めて約8ヶ月が経つ。

現在住んでいるのはパリだが、パリの他にロンドン、イタリア、ニューヨークなどの求人をチェックしている。デザイナー職での転職はこれで5回目になる。



日本の皆さんが転職をされる場合、どのようなプロセスでされているのか分かりかねるが、私が海外で普段している転職活動とは、ざっくり説明するとこんな感じだ。

1、自分が目指すポジションがありそうなブランドやグループの人事や、ヘッドハンターに直接メールを送り、自分が現在求職中であることを伝える。

2、興味を持って返事をくれたヘッドハンターや会社の人事と直接会って、別の国の場合はリモートで、自分の今までやって来た事やポートフォリオの説明、これから就きたい職種などの話をする。

3、もし彼らが現在進行中の求人があったとして、それが私の経歴とマッチしているのであれば、彼らから「このポジションを探しているのだけれどどうですか?」と聞かれたりするので、もし興味があれば応募するし、そうでなければ丁寧に断る。

4、応募した会社の人事、あるいは担当者と面接。面接はたとえ別の国でも直接会社に出向いて面接の場合がほとんどだが、ロックダウン中はリモートで面接やプレゼンを行う。

5、面接はその会社やポジションによって異なるが、人事や上司となるクリエイティブディレクターとの面接で済むこともあれば、更にCEO、営業、MDなど、他の関連部署との面接がプラスされることもある。

ほとんどの場合、プロジェクトの提出とプレゼンが求められるので、何回もある面接をパスしなければならない。

今まで一番回数が多かった時は、5人の面接官と合計8回の面接をした時。これは当たり前かもしれないが、重要なポジションになればなるほど面接の数も面接官の数も多くなる。

6、最終選考者に選ばれた場合、ここから契約内容の交渉に入る。どんなに良いポジションでも話し合いの末、契約内容に納得がいかない場合はこちらからお断りすることもたまにある。

このように沢山の人々がひとつの求人に関わってくるので、実際に応募してから → 面接 → 最終選考者に選ばれる → 契約交渉、サイン → 必要であればビザ申請 → そして初出社まで短くても3ヶ月、長い時には9ヶ月くらいかかったこともある。



ラグジュアリーブランドのファッションデザイナーの求人は、もともとあまり多くはないが、ポジションが高ければ高いほど更に狭き門となる。殆どのポジションはその会社にひとりしかいないので、そのポジションに空きが出なければもちろん求人は出ない。

沢山の応募者の中から、いくつもの面接やプロジェクト提出を経て選ばれた人が一度職に就いたら、よっぽどのことがない限り辞めることはないので「空き」はなかなか出てこない。

仮に「空き」が出て募集が始まったとしても、その求人が極秘に進められる場合が非常に多いので、いわゆる求人サイトなどに募集広告が出るケースは極めて少なく、殆どヘッドハンターを経由して、最初から「ふるいに掛けられた」人々のみに声がかかる。


ちなみにヘッドハンターはいわゆる転職エージェントと違い、エージェントに登録した人の中からクライアントに人材を紹介するのではなく、クライアントの求める人材をいろいろな方法を駆使して世界中から探し出し、クライアントに紹介するのが彼らの仕事だ。

だからどんな求人依頼が来ても直ぐに適切な「人材」を依頼主であるブランドに紹介できるように、普段からヘッドハンターは今業界で活躍している様々な「人材」を探し回っている。



という事で、エグゼクティブ層のデザイナーの仕事に就くにはこちらからも普段からヘッドハンターをコンタクトを取って彼らに自分の存在をアピールしておくことが重要になってくる。

そして、普段から昔の同僚たちと連絡を取り合って、どこのブランドのどのポジションに空きが出るという噂をキャッチすることも大切になってくる。



ただヘッドハンターから声をかけられるのを待つのではなく、こういった普段のまめなコンタクトによって、良い求人があったときに声をかけられやすくなるのだ。





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