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本紹介

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#コラム

エイプリル・フールちゃんの奇跡

エイプリル・フールちゃんの奇跡

昨夜寝床に持ち込んだ、藤野可織著『おはなしして子ちゃん』(2013年 講談社刊)

この本には、10編のめくるめく妙ちきりん世界が収められている。

順不同に読んでいたが、昨夜は読みかけの「美人は気合い」を読み終え、ページをめくってあらびっくり。

目に飛び込んだ次の短編のタイトルは

「エイプリル・フール」であった。

おおー、なんとタイムリーな!そんじゃ明日、エイプリル・フールの日にこれを読も

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イマドキの若いモンのことを

イマドキの若いモンのことを

中3の息子の好むものを、どうにか理解したいと思っているのである。
理解しないと、イライラするだけだからである。

また、学校図書館に日々寄せられるリクエストの多くはラノベと思しき書籍であり、それらを試読して購入を検討せねばならないのである。

しかし、自分の触手が一番避けるところのジャンルが、萌え系イラストが表紙の書籍なのである。

その葛藤に直接効く一冊を発見!

大橋崇行著『ライトノベルから見

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教育のことを

教育のことを

今日は、内田良著『教育という病』を遅ればせながら読了。

ううむ。
「学校」という安全であるはずの場所で、「教育」「指導」の名の下に行われている数々のリスキーな活動。
それらは「感動」「子どものため」という言葉を燃料に暴走していく。
保護者として、考えを改めたいこと、気づかされたことが多かった。

読み終えたところで、ケーブルテレビで『ソロモンの偽証・事件編』が始まったので見てみた。
こちらもまた

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イカ学・タコ学

イカ学・タコ学

今朝、Facebookから、「3年前の投稿を振り返ってみましょう」と促され、振り返った。
そこには、イカに扮した己が写っていた。

3年前くらいまでは、クルポンズというグループで、頻繁にイカタコの出し物をやっていた。
イカやタコのことを気にしないわけにはイカず、常に意識していた日々。
その頃の気分が蘇り、今日は図書館でこの2冊を借りてみた。

『タコは、なぜ元気なのか』奥谷喬司・神崎宣武 編著

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本屋の理想形

本屋の理想形

ここ数年、本屋をやりたいという野望を密かに持っていた。
過去形なのか現在進行なのか、最近はちょっとわからなくなってきていたが…。

この本は、一目見たときから「読んでみたい!」と思っていた。
タイトルがいい。訳者の勝利だと思う。

『ハーレムの闘う本屋』(ヴォーンダ・ミショー・ネルソン[著] R・グレゴリー・クリスティ[イラスト] 原田勝[訳])

1940年代に、ニューヨークのハーレムに本屋を開

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つかれたら やすめばいいんだ

つかれたら やすめばいいんだ

年末年始も無事やり過ごし、気が抜けるのかな。
ちょっと寒さが厳しくなってきたからかな。
「心も体もちょっとお疲れシーズン」の到来だ。

わたしの場合この時期は、「わたしの人生これでいいのかな」「どう生きたら悔いが残らないのかな」などという、ありきたりな問いが浮上してくる季節なのだ。

そんなゾーンに入ると決まって思い出すのがこの絵本。

鈴木まもる作『だんろのまえで』

吹雪の中、道に迷って辿り着

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「好きな本を 一生持ってるのもいいもんだと おらは 思うがな」

「好きな本を 一生持ってるのもいいもんだと おらは 思うがな」

ゲスの極みの人のニュースがショック過ぎて、投稿が滞ってしまいました(ウソです)。

こんな冗談をつぶやいてはいますが、今わたしの瞳は涙で濡れています(本当です)。

久しぶりに乙女の気持ちを思い出したくなり、この本を開いています。

高野文子『黄色い本 ジャック・チボーという名の友人』(漫画です)

「黄色い本」は、主人公の女子高生が片時も離さず夢中で読んでいる『チボー家の人々』のこと。
物語に

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今年の目標が見つかりました

今年の目標が見つかりました

昨日、日経新聞夕刊で、川上弘美の連載小説『森へ行きましょう』が始まった。
挿絵は皆川明。
期待大。

『ミナを着て旅に出よう』(皆川明 著)を本棚から引っ張り出し、皆川さんについて復習。

皆川さんて中学・高校で長距離やってたんだねー。
順調にいってたら箱根駅伝に出てたかもしれないような人だったのかー。
それに、魚市場で働いてたことがあるんだった!
『赤めだか』みたいだなー。

と、いちいち感嘆。

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走る人は美しいなー

走る人は美しいなー

毎年恒例の箱根駅伝沿道応援を終了。
若者が疾走する姿には、感動する。
理由なんかどうでもいいんだ、とにかく「頑張れ」と声が出るのだ(CMそのまんまでスミマセン)。

そして、全くもってそのまんま、直球、なんのひねりもないのだが、やっぱりこの本を引っ張り出してきた。

『風が強く吹いている』(三浦しをん 著)

それまで漫然と箱根駅伝を見ていた私に、駅伝の見どころを教えてくれた一冊である。
読んだ当

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一年が終わるときに

一年が終わるときに

大晦日。
誰しも一年を振り返ってしまう大晦日。
そして、来るべき年に何らかの期待と希望と抱負を抱いてしまう大晦日。

『ぐりとぐらの1ねんかん』(なかがわりえこ と やまわきゆりこ)

久しぶりにこの絵本を開いてみた。
12月のページ。
今年とお別れする「さよならパーティー」に来た人は、「ことし いちばん うれしかったこと」を話すことになっている。

これはいいな。
そういえば、小学校の「帰りの会

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年賀状のサルにお困りの方へ

年賀状のサルにお困りの方へ

年賀状。
今頃作ってます。
もうそろそろやめにしたい…かな?
でも踏ん切りがつかない。
もらったらやっぱり嬉しいし。

干支のイラストも、悩みどころですよね。
「サルかー…書けねーし」
と、思っていたら、こんな便利なものがありました。

「あそびえかきうた」シリーズ(全3冊)より
『はっぱの なかの はっぱっぱ』(よしだていいち作 しのはらよしたか絵)

この絵かき歌絵本に載っている、こちらの歌

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猫 この狂おしい存在

猫 この狂おしい存在

布団からなかなか出られぬ朝。いや、出なくても良いのさ。冬休みだもん!
「もういい加減起きるにゃ〜」と呼びに来た猫を布団の中に引きずり込み、二度寝を決め込むのさ。冬休みだもん!ヒャッホウ!
「猫よ〜、なんでそんなにかわいいの〜」と頬ずりすれば、いきなりほっぺたをガブリ。
ここですね、猫の魅力は。
「あんたのことは結構好きだよ。ゴハンくれるしさ。寒い時は便利だし。でもイヤなもんはイヤっ」

レオナード

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溜め込んだ諸々 そして純文学

溜め込んだ諸々 そして純文学

年末の気忙しさ極まれり。
世間様の大掃除ムードに乗ろうと必死であるが、膨れ上がったファイルボックスにはなかなか着手する気が起きずにいる。

トーベ・ヤンソン『誠実な詐欺師』では、老女が、溜め込んだ膨大な書類・手紙類を下宿人に整理してもらう場面が出てくる。
また、思い入れがあって捨てられない物たちを、凍った湖の上に盛っておく場面がある。
春になって氷が解けたら、盛られた物たちは湖の底へ。目からウロコ

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ジャーナリズムについて

ジャーナリズムについて

昨夜は、古い友達と、3年ぶりくらいに酒を酌み交わしながら語りあった。
彼女は、若い頃はバリバリのカメラマンで、アーティストや市井の人々や静物やらを、とても素敵に撮っていたし、仕事一筋だった。

そんな彼女も母となり、自分のことより子どもや家庭のことを最優先して生きるようになり、カメラを持たなくなって久しい。
「別に写真なんてどうでも良くなっちゃったんだよね」

そんな彼女が、今ふつふつとやりたくな

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