「好きな本を 一生持ってるのもいいもんだと おらは 思うがな」
ゲスの極みの人のニュースがショック過ぎて、投稿が滞ってしまいました(ウソです)。
こんな冗談をつぶやいてはいますが、今わたしの瞳は涙で濡れています(本当です)。
久しぶりに乙女の気持ちを思い出したくなり、この本を開いています。
高野文子『黄色い本 ジャック・チボーという名の友人』(漫画です)
「黄色い本」は、主人公の女子高生が片時も離さず夢中で読んでいる『チボー家の人々』のこと。
物語に入り込んで、昼も夜も、作中人物と語り合う毎日。
そんな少女に、父親が言います。
「その本買うか?」
娘「いいよう もう読み終わるもん ほら」
父「好きな本を 一生持ってるのも いいもんだと おらは 思うがな」
少女は間もなく高校を卒業します。
少女がエピローグを読み終えて、図書室へ本を返却に行く場面では、わたしは必ず号泣してしまいます。
少女時代との別れ。ジャック・チボーとの別れ。
わたしも高校時代にこんな少女でした。
わたしの場合は、四六時中太宰治と一緒におり、太宰と心中する女と同化し、太宰と同時代に生きていない自分を嘆き、太宰と同時代に生きていたら結婚して住むはずの家の間取り図や外観を描いていたクチなので、『黄色い本』の実地子に半端ない感情移入をしてしまいます。
そして、小さい頃から本を買うお金だけは惜しまず与えてくれた親を、思い出して、泣けます。