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心理的描写の作品

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日常の心理的描写をもとに書いた作品をまとめてみました。
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2024年2月の記事一覧

夕暮れが教えてくれた温もりと居場所

夕暮れが教えてくれた温もりと居場所

淡い夕陽がいつもの帰り道を照らし出した夕方のこと。
大好きなあの人が
少し後ろから走ってきて私に声をかける。
お昼の授業のこと。学校での噂のこと。
気になっている謎のAさんのこと。
それから毎日一緒に帰ることになる未来は
少し先だということを2人はまだ知らないでいる。

小さな頃から空を眺めること大好きだった私。
空を飛ぶ飛行機の行き先と空の向こう側に広がる景色を
いつか見てみたいと密かな憧れを抱

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夏を愛せるひとつの理由

夏を愛せるひとつの理由

天窓から入った
日差しの暑さに起こされた午前9時。
輝かしい日光の隙間から彩度の高い青さが
ほんの少し窓の枠内に広がっている。
外に出るのが億劫になるこの時期を
唯一愛せる理由がある。

深く、濃く、どこまでも果てのない
青いキャンバスに描かれた純白のお城。
暑さで歪む道路の境界線。
ボトルに滴る水滴が儚く落ちる光景。
死者を迎え供養するお盆。

眩しいほどの生命たちの輝きや彩度と
生前の思い出と

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夜に魅せられた時の話

夜に魅せられた時の話

誰もいない道路の真ん中を得意気に歩いた。
澄んだ空気と夜空を纏いながら。
昼には人通りが多い道も
180度景色が変わるのが夜のいいところだ。
この道のもつ様々な表情を私は少し知った気でいる。

一歩歩くたびに静かに響く私の足音を聴きながら
少し先にある消えかけた街灯が
点滅するのを見るのが楽しみだった。
この瞬間の私は誰よりも強くて無敵で
まるで夜を独り占めしたかのような
そんな気分に襲われている

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心の調子と見えない世界との繋がり

心の調子と見えない世界との繋がり

3年振りくらいに心が悲鳴をあげた。
たくさん浴びせられた言葉たちを
受け止め切れず、閉ざされていたはずの
心の扉は無理矢理に開かれた。

そして、心の調子が悪くなり
様々な感情が溢れ出してくる瞬間に
この世のものではない何かがやってくることがある。
私は俗に言うこの世に存在しない何かが
日常的に見える存在ではない。
いや、見えなくなったと言うのが正しい表現かもしれない。

幼い頃は視覚的にも見える

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