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「社会の荒波」楽しむスタイル

相も変わらず、社会における対人関係とコミュニケーションがすこぶる苦手で。20歳で社会に出て7年も経つというのに、いまだに冷や汗をかき、思考が止まり、そして周りの人々の時間を止める大事故をたくさん起こしている。バンド活動をしているわたしを知っている人たちは、「そんな風に見えないけどなあ」と思うかもしれないし、「やっぱり見た目通りだね…」と頷くかもしれない。そんな中、またしても仕事環境が変わるイベントが起こったため、改めて”人付き合い”について考えてみることにした。

前々回、職場内で異動することになった(送別されし、ワタシ。)…という話を書いたが、1ヶ月間その部署に籍を置いた結果、再び別部署へ異動することになった。理由は割愛するが、これはひとえに上司の心のこもった計らいのおかげで、わたしのさらなるスキルアップに繋がりそうな部署を上司自らが探し出し、パイプ役となり、異動への手はずを整えてくれたのだ。

異動先となったのは、いわゆる会社の”本部”に近い部署。会社のカオとなる部分であり、世の中に”良いカオ”を見せるために知恵を絞り、働きかけていく部門にわたしは配属された。正式配属は7月からなのだが、その前に一度顔合わせをしましょうと、部署の主要メンバー2人とランチへ行くことになった。今回の異動先ではわたしも主体的に働いていく必要がありそうだったので、色々と仕事の話ができればと思ったのだが、当然まずはお互いの人となりを知りましょうという雰囲気。その”お互いを知りましょう”がわたしにとってハードルが高く、難しいコミュニケーションのひとつなのである。


たとえば趣味の話、自分の性格、休日の過ごし方――それらを明け透けに話して良いわけではない。相手の反応を見ながら、「ここまでは正直に話そう」「これは相手の興味がなさそうだからやめておこう」「社会的に印象が良くないから、この話題は避けよう」などと、その都度判断をしながら自分の内面を発表していかなければならない。まずこれがわたしの感じるコミュニケーションの難しい部分で、その判断に集中するがあまり、人と全然会話ができなくなる。
(「正直に話しちゃえばいいじゃん!」派の方もいると思うし、それでも良いと思う。ただ、わたしは今まで正直に発表するスタイルであまり上手くいったことがなく、発表することで後々自分が疲れてしまう場面が多々あった)

今回も、例外ではなく大変なランチだった。
(詳しくは、次の月曜に更新する『エッセイ漫画』でも触れます!)
相手から「ライターになったきっかけは?」と質問されたので、無難に「本が好きで…」という話に持っていく。さらに「どんな本を読むの?」と聞かれて、ここは正直に応えるパターンや!と思って発表するも、「小説は読まないんだよね~眠くなっちゃうから」と返される。
―――す、すごい!!
言葉のドッヂボールや!!!!


もうこの時点で今日のランチは地獄だと確信した。その後も、わたしが相手の趣味を訊いたり、会話を誘導してみるもなかなか上手く行かず。

相手「昔吹奏楽部だったので、今でもオーケストラを観に行くの」
わたし「贔屓にしている楽団があるんですか?」
相手「特にないかな。そのとき話題になっている楽団を観に行くのよね、2年おきくらいに」
わたし「・・・・・・なるほど!」

相手「映画が趣味なの」
わたし「へえ~!最近どんなものを観たんですが?」
相手「”万引き家族”かな。あまり感動しなかったけど、子どもの演技がすごいってかんじ」
わたし「・・・・・・・なるほど!!!」

もうヘトヘトだった。こんな雑な会話でいいの?!と、疲れている自分がバカバカしくなってくる。そんなものなんだっけ、会話って…と水ばかり飲んで、外の景色を見てしまう時間が多くなった。でも社会での人付き合いって、案外こんなものなのかもしれない。


また今月の出社最終日に、異動先であるフロアへ引っ越し作業を行ったのだが、そこは『きちんとした社会人の姿が正義でありプライド』という雰囲気がムンムンに漂っていた。それが彼らの所作や見た目に十分表れているし、わたしはその中で浮きに浮きまくる存在であった。だから、PCモニター等を運びこんできたわたしを、みんな上から下まで舐めるようにジロジロと見る。(大人なのにそんな無遠慮に見る?!と不安になってしまうほど)隣の席の女性にご挨拶をした際も、一瞬にしてわたしに対する若干の嫌悪と不信が目に見えた。”アンタそんな恰好で働いているわけ?”と喉元から出かかっているようであったし、そんな彼女を満足させられるような低姿勢・謙虚なお手本通りの挨拶ができず、申し訳なかった。

そんなこんなで、もう一悶着ならず二悶着以上は約束されているであろう、わたしの新しい職場。仲間たちと温かい関係を育むことはとうの昔に諦めているから、ともかく、仕事だけはいい感じに取り組めることを願っている。絶望しているけれど、根本からは絶望していない。なぜなら、こうやって社会で全然上手くいかないから、毎週月曜日に面白おかしく漫画が描けているからだ。いつだってわたしの慰めは、日々の失敗を漫画にして発信し、みなさんに楽しく読んでもらうことだ。

「バンドマンと付き合うと(関わると)歌にされるぞ」
SNSではこんなことが呟かれているけれど、わたしの場合は、
「ヒガシノとの間に何かあれば、漫画(エッセイ)にされるぞ」
といった感じである。今回もドカンとありそうですよ!
ぜひ、期待していてくださいね。

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