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日々雑感

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日々思ったこと、感じたことを特にテーマを決めずに書いています。
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2022年9月の記事一覧

私の「金閣寺」(3)

私の「金閣寺」(3)

「金閣寺」を読んでいて戸惑いを感じることの一つに「美」に対する表現があります。

例えば、主人公の溝口が同級の少年たちに自分の吃音をからかわれたときの描写。

『嘲笑というものは何と眩しいものだろう。』

『私には、同級の少年たちの、少年期特有の残酷な笑いが、光りのはじける葉叢のように、燦然として見えるのである。』

「嘲笑」や「残酷な笑い」が「眩しい」「燦然として見える」とは、いったいどういうこ

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日々雑感【好きな歌詞】

日々雑感【好きな歌詞】

歌は自分を支えてくれたり、勇気づけてくれたり、あるいは、懐かしい思い出を呼び覚ましてくれたりします。

「好き」と言って良いかどうかわかりませんが、病気の症状が重くて、助けが欲しかったとき。
自分のことを分かってくれている人がいるという気持ちにさせてくれた歌詞。

SEKAI NO OWARIの「銀河街の悪夢」。

だって昨日も一昨日も変わろうとしてたけど
今日も僕は変われない今ま今日がまた終わっ

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日々雑感【チューリップのアップリケ】

日々雑感【チューリップのアップリケ】

うちがなんぼ早よ 起きても
お父ちゃんはもう 靴トントンたたいてはる
あんまりうちのこと かもてくれはらへん
うちのお母ちゃん どこに行ってしもたのん
うちの服を 早ようもってきてか

1969年、昭和44年発表。
岡林信康。

発表直後から放送が禁止され、おそらく今でも「放送禁止歌」だと思います。
少なくとも、テレビやラジオで流されることはないでしょう。

そもそも「放送禁止歌」というものの存在

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私の金閣寺(2)

私の金閣寺(2)

私にはとても難解な「金閣寺」。
一文一文、あるいは、段落ごとにその意味するところを考えながら読み進めています。

何度も何度も行ったり来たりしながら。

そんな中、特に時間がかかったのが、

『公開すべきものとは………つまり死刑なんだ。』

というくだりを含む、16行から成る段落。

この段落には他にも、

『戦争中の安寧秩序は、人の非業の死の公開によって保たれていたと思わないかね。』

『人の苦

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テレビを見て思うこと

テレビを見て思うこと

あまりテレビを見ない私ですが、それでも見たときに気になることがたくさんあります。

それらを思いつくままに挙げてみると,,,,,

私は19時前後にNHKを見ることが多いのですが、いつも呆れることがあります。
番組の予告や番組の冒頭部分に「迫る」という言葉のなんと多いことか。
「秘密に迫ります」
「真相に迫ります」
「謎に迫ります」
などなど。
他に言葉を知らないのでしょうか。

「他に言葉を知ら

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笑顔の理由

笑顔の理由

何故それを見たのか、どこでそれを見たのかまったく覚えていないのに、印象に残っていることがあります。

ある大学の、多分、文化祭でのこと。
児童教育に関する寸劇でした。

先生役の学生が児童役の学生に言っていた言葉。
「花壇の外で元気に遊びましょう」
「先生のお話は大事なことだから、静かに聞きましょうね」
「廊下を走ると危ないから、ゆっくり歩きましょう」
などなど。

「なるほどな」と感心しました。

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責任感とは?

責任感とは?

私は和太鼓を20年以上続けてきました。

この場に何度か書いている(アイス)ホッケーとともに、私が長いこと大切にしてきた趣味の一つです。
しかし、最近、その和太鼓と「もうすっぱり縁を切ろうか」と考え始めています。
この1年ほど、そういう気持ちが日に日に強くなってきています。

自分が上手くなりたい、という気持ちは3年ほど前に捨てました。
どんなに練習をしても、ちっとも上達しない自分に嫌気がさしたの

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日々雑感【音楽のこと】

日々雑感【音楽のこと】

過去から現在に至るまでいろいろな音楽を聴いてきている中で、特に思い入れのある3組。

ビートルズ(The Beatles)

「好き」とか「嫌い」を超えた存在です。
今でも毎日のように聴くことがあります。
ビートルズにまつわる思い出や思いは、それだけでこの場の一つの記事にできるほどたくさんありますが、それはまた別の機会に譲ることにします。

初めてビートルズの存在を知ったのは1966年の来日のとき

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日々雑感【香港のこと】

日々雑感【香港のこと】

先日NHKで放送された「“染紅” 変貌する香港 ―『自由と民主』が消えるとき―」という番組を見ました。

香港に住んでいたことのある身にとって、とても衝撃的な内容でした。

私が香港に住んでいたのは1993年8月から2000年1月までの6年5ヶ月。
1997年の香港のイギリスから中国への返還という歴史的な出来事を現地で経験しました。

そのときの私の任務は自社の製品を中国で販売するための販路を開拓

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珈琲時間【コモドドラゴン】

珈琲時間【コモドドラゴン】

私の一番お気に入りのコーヒー豆はスターバックスの「コモドドラゴン」です。

ちょっと批判めいてしまいますが、私はスターバックスの店舗で提供されるコーヒーの味の違いを感じたことがありません。
日替わりでいろいろなブレンドを出してくれますが、その違いが分かったことはなく、いつも同じ味にしか感じないのです。
これは私の味覚の鈍さによるものかもしれません。
しかし、スターバックスの豆を買って、家で淹れると

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双極性障害【振り返り】

双極性障害【振り返り】

久しぶりに病気のことを書きます。

今年の初め以来、気分が落ち着いています。
怖いくらいに落ち着いています。

それまでは毎朝、頭が重く、やっとの思いで家を出て職場へ向かっていました。
この頭の重さ、頭重感というのだそうですが、これが私の最大の悩みでした。
それ以外にも、憂鬱な気分になって何もする気にならなかったり、そうかと思うと、とたんに張り切って、できもしない新しいことを始めてしまうことが多々

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私の「金閣寺」(1)

私の「金閣寺」(1)

特別に読書が好きなわけではない、中でも「文芸作品」と呼ばれるものは読んだことがなかった私がこんな題名で文章を書くのはとてもおこがましいことです。

しかし、今、書かずにいられない気持ちなのです。

2年ほど前に三島由紀夫という人物に関心を持ち、その作品を読み始めるにつけ、三島由紀夫に関連した過去の多くの出来事が思い出され、それらについて初めて知ることも多く、そして、何よりも、三島文学の美しさに惹か

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